【10月12日更新】大雪山の紅葉は山麓へ、山は冬支度。秋山紅葉情報2023

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標高の高い山では、季節は冬に移ろいつつある。日本一早い北海道・大雪山から現地発の最新の情報をお届けしよう。

構成=山と溪谷オンライン、情報提供=層雲峡ビジターセンター

北海道や高山は紅葉終盤。紅葉前線は山腹・山麓へ

9月に入ると、緯度の高い北海道の山や標高の高い日本アルプスでは紅葉のシーズンが始まる。花の季節を終えた稜線の高山植物が赤く染まる「草紅葉」は、本格的な秋の到来を予感させる。紅葉前線は少しずつ標高を下げ、10月に入ると高山は初雪の季節を迎える。紅葉の見頃をしっかり見定めて、秋山登山を楽しもう。

北海道・大雪山は雪山に

北海道最高峰の旭岳(2291m)をはじめとする山々が連なる大雪山系は、日本一早い紅葉を楽しめる山として知られる。2023年は10月3日に黒岳で初冠雪し、紅葉は山腹・山麓へと下りている。

黒岳九合目登山道
2022年10月11日の黒岳山頂、黒岳九合目登山道(写真提供=層雲峡ビジターセンター)

10月11日 黒岳七合目から上の登山道は冬山&雪山

2023年10月11日16時 晴れ 気温8℃
10月3日に初冠雪となった黒岳。
ここ数日秋晴れが続き、五合目展望台から見える黒岳の斜面は上部に薄っすら雪が残っている程度です。
五合目周辺や七合目のリフト乗降所付近にはほとんど雪はなく、寒くない格好であれば散策や景色を楽しめますが、七合目から上の登山道は冬山&雪山です。
七合目周辺でも氷が張っていたり霜柱が見られたりしましたし、登山道上にある石や木材の上も小さな氷の粒が敷き詰められたかのように白くなっており、とても滑りやすいです。
八合目から上は雪が解け残っている部分が増え、九合目から山頂までは雪面の厚みも増していきました。
特に、山頂直下の部分は完全に雪面が凍っており、急斜面で足をかける部分もなく、アイゼンが必要な状態となっています。
大雪高原沼の紅葉は見頃を迎えました。
コースから眺める緑岳と白雲岳あたりは雪が積もっていて、葉がなくなった木も増えていますが、川沿いはまだカラフル状態になっています。
ヒグマ情報センターは10月8日をもって今シーズンの運営を終了しましたが、入山を予定される方はヒグマ対策と防寒対策をしっかりしてください。
なお、高原温泉の林道閉鎖は10月11日17時になります。

のぞき地獄展望台
10月10日の高原沼 のぞき地獄展望台(情報・写真提供=層雲峡ビジターセンター)

9月25日 赤岳は見頃、一部で落葉も

2023年9月25日15時 晴れ 気温17℃
昨日まで銀泉台の車両規制がありましたが、今日25日からは一般車両の乗り入れが可能になりました。
紅葉の色づき具合は赤岳コース中間から下部にかけて見頃となり、特に第1花園から奥の平にかけてのウラジロナナカマドの紅葉がずいぶんと拡がりを見せてきました。
しかし、山頂から第4雪渓の紅葉は全体的に落葉してきており、第3雪渓では下部の紅葉などが色づいていますが、全体的には落葉もしくは褐葉となってきました。
気温も層雲峡では5日連続で一桁となりましたので、早朝と午後はずいぶんと寒くなってきました。
先日の23日には、旭岳から白雲岳にかけて一時的ですが降雪がありましたので、これからの登山では防寒対策に伴う安全管理も必要となる時期でもあります。

9月25日の第三花園下部
9月25日の第三花園下部(情報・写真提供=層雲峡ビジターセンター)

9月19日 沼ノ平の黄葉はこれから

2023年9月19日晴れ 気温18℃
松仙園コース
7月14日にオープンした松仙園登山道は9月30日をもって今季の開通期間が終了します。例年よりもかなり紅葉の進み具合が遅れていますが、10月に入ると通行できませんのでご注意ください。コースは環境保全のために登り一方通行になっておりますので、ご協力ください。コース中には泥濘箇所も多いので、長靴での歩行をおすすめします。また、標柱にはヒグマによるひっかき傷や背こすり跡も見られましたので、鳴り物を携行するなどのヒグマ対策も必要です。
紅葉に関しては、ウラジロナナカマドの葉は全体的に枯れているものが多くなっています。ダケカンバやミネカエデなどの黄色く色づく葉は、まだほとんどが緑色なので今後の色づきに期待したいところです。

9月17日の半月沼
9月17日の半月沼(情報・写真提供=層雲峡ビジターセンター)

9月15日 赤岳も色づき始める

2023年9月15日晴れ 気温19℃
足踏み状態が続いている赤岳コースの紅葉ですが、ようやく少し色づいてきました。
週間予報では20日まで暖かい日が続きそうなので、急に色づきが進むことはなさそうですが、秋分の日ごろには見頃期に入りそうです。

赤岳第一花園全景 第三雪渓下
9月15日の赤岳第一花園全景 第三雪渓下(情報・写真提供=層雲峡ビジターセンター)

9月9日 雲ノ平でウラジロナナカマドが色づき始める

2023年9月9日17:45 曇り 気温21℃
雲ノ平ではまだチングルマの綿毛の群生がきれいです。その群生の先では少しずつウラジロナナカマドが色づき始めていました。
黒岳の北東斜面は全体的にはまだ緑葉が主体ですが、ウコンウツギの葉が黄色く色づいてきたことにより、山全体が色抜けしてきました。 九合目のマネキ岩周辺も前回(9/2)より色づきが増し、マネキ岩下部の沢筋もうっすら色づいてきています。 今日は朝7時の七合目の気温が13.2℃で、昼前には20℃を超えていました。 ほぼ無風だったため、日の光を浴びながらの歩行はとても暑く感じました。 層雲峡は昨日、一昨日とようやく気温が下がった(最低気温が9℃になった)のですが、黒岳石室でも8~9℃だったそうです。
今日の黒岳石室の早朝の気温は10℃と、気温が上がっています。 週間予報でもあたたかい日が続くようなので、9月半ば以降の冷え込みを期待したいところです。 黒岳山頂から黒岳石室へ向かう道沿いで見られるウラシマツツジの紅葉も全体的に赤みが増してきました。 遠目から見てもわかるくらい真っ赤に染まった葉も多くなっています。 ガレ場ではウラシマツツジの紅葉をバックにかわいいエゾシマリスを撮影しようと、カメラマンの方たちが集まっていました。

雲ノ平周辺
9月2日の雲ノ平周辺(情報・写真提供=層雲峡ビジターセンター)

9月7日 標高2000mの稜線でウラシマツツジが色づく

2023年09月4日15:15 晴れ 気温19℃
今季は例年にくらべて紅葉の進み具合がかなりゆっくりのようです。紅葉の名所として有名な赤岳第一花園は、ウラジロナナカマドの葉色が若干変化しているのですが、色づき始めたというにはまだ色が浅い感じです。  一方、赤岳山頂からさらに登って、標高2000mの稜線では、ウラシマツツジが赤く色づいてきています。  きょうはここ数日に比べて朝の冷え込みが強かったのですが、この先台風の接近も予想されていて、気温があまり下がらない予想なので、色づきが進むかどうかは微妙な感じです。じれったい思いで、木々の葉色を観察する日々がしばらく続きそうです。

板垣分岐付近のウラシマツツジ
板垣分岐付近のウラシマツツジ(情報・写真提供=層雲峡ビジターセンター)

9月4日 暖かい日が続き、ウラシマツツジもまだ青々

2023年09月4日17:00 曇り 気温22℃
8月が終わり、紅葉を楽しむ時期になりました。早速様子を見に行きました。 暖かい日が続いているので、ウラシマツツジも例年よりまだ青みが強いようです。 それでも秋の風が吹き始め、色々な実がなりました。ガレ場から眺めた風景も若干緑が抜けてきているように見えます。 これから日々の変化が楽しみです。

板垣分岐付近 高根ヶ原展望
板垣分岐付近 高根ヶ原展望(情報・写真提供=層雲峡ビジターセンター)

関連リンク

この記事に登場する山

北海道 / 石狩山地

大雪山・旭岳 標高 2,291m

 大雪山の盟主として、また北海道の最高峰として、誰もが一度は登りたい、また登らねばならない山が旭岳である。「ヌタプカムウシュペ」というのはこの山塊全体の呼称で、個々のピークにアイヌは名をつけなかったようだ。旭岳という名称は、忠別川の源頭にあるところからきており、アイヌ語でチュプ・ベツ「日の川」を旭としたもの。旭川市や忠別岳の名も同じ由来である。  古くから登山道は開かれていたようで、明治36年(1903)、上川文武館生徒21名が集団登山した記録があるが、往復に3日を要している。この頃、旭岳は「於武建志計(オプタテシケ)山」と呼ばれていたという。明治の文学者・大町桂月の登山はずっと後で、大正10年(1921)、黒岳沢から無名峰(現在の桂月岳)に達し、北鎮岳を経て旭岳に登り、松山温泉(天人峡)に下っている。冬の登頂は翌大正11年(1922)1月、北海道大学の板倉勝宣、加納一郎らが最初である。  いま夏の登頂は全く容易になった。ふもとの旭岳温泉(旧名 勇駒別温泉)から、2本のロープウェイを乗り継いで一気に1600mの姿見駅へ。お花畑の中の道をたどって、旭岳の姿を映す「姿見ノ池」のほとりから、火山礫の登山道を、白く煙を上げる火口を見下ろしながら登ること2時間ほど。ついに頂上に立てるのだ。道内最高地点だけに展望は広大で、国立公園内の山々はもとより、天塩岳、暑寒別岳(しよかんべつだけ)、芦別岳(あしべつだけ)なども見え、さらに快晴の日には遠く利尻山までも望むことができる。  黒岳からの縦走はもっとすばらしい。黒岳石室を早朝に出発し、第2の高峰北鎮岳(ほくちんだけ)にも登って旭岳に至るコースは、約5時間の行程だ。旭岳の北東面には遅くまで雪渓が残り、夏スキーを楽しむ人々も多い。雪渓の下が指定のキャンプ地になっていて、最盛期には色とりどりのテントが花と咲く。頂上に登らず、途中の中岳から旭岳の山腹を巻き、山中に湧く無人の中岳温泉を経て姿見駅に出ることもできる。駅付近には姿見ノ池のほかにもいくつかの沼が点在し、それらを散策するのもよい。  頂上付近は草も木もないから、どこへでも行ける。なかには道を踏み外してどんどん下ってゆき、帰ってこられなくなった例もある。姿見駅の付近でさえ、ガスがかかると分かりにくくなる。ロープウェイは冬には多くのスキーヤーを運び上げるが、軽装で頂上を目指したまま行方不明となる人が時々出るのも、目標物に乏しい頂上付近の地形に惑わされるからであろう。充分、注意したい。

紅葉情報2023

秋が深まるにつれて、山の表情は刻々と移ろっていきます。北は北海道、標高の高い日本アルプスから九州の山まで紅葉前線を追いかけて、全国の登山エリアの最新情報をお届けします。

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