関西の山と温泉を楽しもう! 関西低山コースガイド

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これからの冬の時期、登山後の楽しみといえば温泉! あまりイメージがないかもしれないが、関西には登山と名湯を楽しめるスポットが多数存在する。今回はおすすめの登山+温泉を楽しめるプランを3つ紹介しよう。

写真・文=加藤芳樹

鈴鹿山脈の岩の殿堂で奇岩を楽しみ、関西の奥座敷の温泉へ 御在所岳(ございしょだけ)+湯の山温泉(ゆのやまおんせん)

三重県/1209m
湯の山温泉~中道~御在所岳~裏道~湯の山温泉/日帰り5時間50分

ロープウェイ湯の山温泉駅から見上げる御在所岳

鈴鹿(すずか)山脈の南の雄、御在所岳は、関西の奥座敷とも呼ばれる湯の山温泉が登山の拠点。ロープウェイが通じる山上は公園化したレジャーゾーンだが、登山道はいずれも奇岩が立ち並んで登り応えがある。最もポピュラーなのは中道と呼ばれる尾根通しの道で、途中にはモノリスを重ねたような「おばれ岩」やサイコロを岩頭に載せたような「地蔵岩」などがある。三角点のある山頂より少し西の望湖台のほうが標高1212mと少し高く、展望もよいのでぜひ足を延ばしたい。下山は国見(くにみ)峠から北谷沿いに裏道を下るとよいだろう。子ども連れならロープウェイを利用して下ってもよい。

湯の山温泉には日帰り入浴できる宿も多いので、ゆっくり湯あみしてから帰途につくとよいだろう。

中道の名物奇岩の地蔵岩
ロープウェイ湯の山温泉駅近くのホテル湯の本の露天風呂

MAP&DATA

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山行アドバイス

中道にはキレットや北面の岩場などに鎖場があるが、慌てずにこなせば危険はない。下山路の裏道は、雨後などは増水すると一部徒渉箇所ができる。湯の山温泉手前にある蒼滝は見ごたえがあるので立ち寄るとよいだろう。

温泉地情報

湯の山温泉は養老年間に発見されたという古湯で、大石内蔵助も参勤交代の際に訪れたという。こじんまりとした湯の山温泉街での入浴は、日帰り利用できる旅館を利用する。事前に湯の山温泉のウェブサイトで確認しておきたい。入浴料はだいたい1000円前後。また、近鉄湯の山温泉駅近くにも、日帰り施設のアクアイグニスがある。

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この記事に登場する山

奈良県 / 大峰山脈

稲村ヶ岳 標高 1,726m

 稲村ヶ岳は山上ヶ岳の西側に延びる尾根の南方に位置し、山上ヶ岳と同様に永い間、女人禁制の山だったが、戦後女性の地位向上とともに解禁された。  稲村ヶ岳の山頂は二峰に分かれていて、北側のやや低い岩峰が本峰となっている。この岩峰を法力(ほうりき)峠からの途中、白倉山付近から眺めると稲叢(いなむら)の形に見える。そのため村の人たちから“稲村ヶ岳”と呼ばれるようになったという。本峰は別名大日山とも呼ばれ、頂上に大日如来の小さな祠が祭られている。二峰の間はキレットになっている。その下には白倉谷が深く切れ込み、西側は切り立った岩壁になっていて、初夏にはオオミネコザクラが可憐な花を咲かせ、さらにコケモモ、ユキワリソウ、ハクサンオミナエシなどの高山植物も岩壁を飾る。  稲村ヶ岳頂上は南側のピークで、二等三角点と立派な展望台がある。山頂からの展望は極めてよく、山上ヶ岳、大普賢岳、行者還岳、弥山など大峰山脈北部の主稜線上の峰々が一望の下である。花期には展望台からバリゴヤの頭までシャクナゲが咲き乱れる。  洞川温泉から法力峠を経て稲村ヶ岳に登るコースがあるが、歩行時間6時間30分と健脚向だ。

滋賀県 三重県 / 鈴鹿・布引山地

御在所岳 標高 1,212m

 鈴鹿山脈の主峰。三重県菰野(こもの)町と滋賀県甲賀市、東近江市の境に位置する。  山名には諸説あるが、古い文献には“菰野山”“御産所之嶽”などと記されている。  修験者によって開かれた山で、山頂に御岳神社が祭られている。明治初年の開山(僧覚順)といわれるから歴史は浅いが、表登山口には往時をしのぶ石標などが多く見られる。  山麓の湯ノ山温泉と山上とを結ぶロープウェイが開通してから、レストランなどの建つ山上公園が出現した。また、ここには県内唯一のスキー場がある。  動植物の宝庫でもあり、野生のカモシカは、ゴンドラからもときどき見られる。天然記念物キリシマミドリシジミの最多産地でもある。植物では四季を通じて御在所岳を彩るサラサドウダン、ベニドウダン、シロヤシオなどをはじめ、ここで発見されたコモノギク、イナモリソウなどの珍しい野草も見られる。  登山コースは、裏道、中道、表道のほか、武平峠、根ノ平峠経由のもの、愛知川からのコースなど数多い。岩場で知られる藤内壁は、裏道の藤内沢出合より入る。山頂まではいずれも約3時間。

兵庫県 / 六甲山地

六甲山 標高 931m

 神戸市の北側に、西は塩屋から東は宝塚まで、全長30kmにわたり連綿と横たわる山系を六甲山地という。最高峰は神戸市東灘区の北側にある。  六甲山は、奈良時代には武庫(むこ)山ともいわれ、江戸期に出た『摂陽群談』によると、神功皇后が武内宿称(たけのうちすくね)に命じて逆臣6人の首を打たせ、その甲首をこの山に埋めたので六甲山というようになったという。また、ムクの木が多かったから、あるいは、武庫ノ津や武庫ノ浦の山ということで武庫山となり、のちに六甲山になったなどともいわれるが、定かではない。ほかにも、難波津から見た場合に「むこう」に見える山という意味から武庫山と付けられたという話も伝わっている。  六甲山には古くから、有馬温泉に通じる有馬道や、魚を運ぶ魚屋道(ととやみち)などがあったが、明治に入って外国人居留地になってから、彼らが背後の山に至る道を次々と開発し、今日の六甲山の全盛をみるに至っている。どことなくモダンで、明るく屈託がない雰囲気は、明るい色の花崗岩のせいもあるが、それ以上に国際都市神戸の山として定着しているからだろう。今日では、市民のレクリエーションの山として早朝登山や全山縦走が楽しまれている。  コースは、芦屋(あしや)川からお多福山を経て登頂し、下山を有馬温泉にとるのが代表的。所要時間は5時間ほど。

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