オフシーズンの富士山五合目をのんびりハイキング

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読者レポーターより登山レポをお届けします。寺尾雄二さんは日帰りで富士山五合目を散策。

文・写真=寺尾雄二


涼しい空気を求めて、富士山五合目付近の散策へ。9月の半ばを過ぎるのに相変わらずの猛暑日予想となった金曜日、早朝に埼玉の自宅を出発しました。中央線、富士急行線を乗り継ぎ、9時前に富士山駅に到着。駅前のバス停からは富士山が、ハッキリと望めました。

富士山駅前のバス停から
富士山駅前のバス停から

9時30分発のスバルライン五合目行には私を含め6名ほどが乗車し、途中の河口湖駅へ。駅前のバス停には、外国人観光客が列をなしていました。ガラガラのバスはたちまち満員となり、さまざまな言語が飛び交うにぎやかな車内となりました。バスは1時間ほどで、終点のスバルライン五合目に到着。さすがに2000mを越える場所は涼しさを感じます。8月に高山植物保護パトロールで駐在した立山室堂を思い出します。

スバルラインの五合目も、外国人観光客の姿が非常に目立ちました。もし外国人の姿がなく、日本人だけだったとしたら非常に閑散とした雰囲気です。外国人の富士山人気に驚かされるばかりです。

スバルライン五合目
スバルライン五合目。ほとんど外国人観光客

五合目を出発すると、すぐに今年から設置されたゲートが目に入ります。登山期間中は係員が常駐し、夕方以降に閉鎖される扉は、この時期は解放された状態です。

富士山五合目ゲート
ゲートは解放中

ゲートを過ぎると、ほどなく北側の視界が開けます。北側の展望は、左手には八ヶ岳、正面には屏風のような奥秩父の山々、右手方向には眼下に山中湖、その先には丹沢の山々が望めます。

歩行中、日差しはあっても、照り付けるような暑さは感じず、秋を感じます。

富士山五合目から丹沢方面。眼下に山中湖
丹沢方面。眼下に山中湖

のんびりと30分ほど歩くと、千ヶ滝の分岐に着きます。右手の富士山頂方面に向かう道には、通行止めのバリケードが設置されています。

富士山五合目の通行止めバリケード。佐藤小屋方面へは通行可能
佐藤小屋方面へは通行可能

ここから左手の佐藤小屋方面へ。緩やかな下り道を20分ほど進むと、佐藤小屋に到着します。当日は管理人不在で小屋は閉まっており、ひっそりとしていました。

佐藤小屋
佐藤小屋前で休憩。小屋は休業中

小屋前のベンチに座り、持参した食料で昼食休憩を取りました。閉山期間に入り、休憩中は登山客や、観光客にも合わずひっそりとした状況に身を置くと、さすがに秋の雰囲気を感じます。昼食後、またのんびりと1時間ほどかけて五合目に戻りました。帰りのバスの時間までは1時間ほどあったので、土産物屋、小御岳神社で時間をつぶしました。当日は五合目でも風が強く、見上げる山頂には雲がかかっており、山頂部の雲の動きも激しかったです。

富士山五合目から山頂を望む
五合目から山頂を望む

交通機関を使用すれば手軽に行ける五合目ですが、天気に恵まれれば雄大な展望を楽しめるので、ぜひおすすめしたい場所です。これからは草もみじの景色も楽しみです。

(山行日程=2024年9月20日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 2時間
行程:富士スバルライン五合目・・・佐藤小屋・・・富士スバルライン五合目
総歩行距離:約3,200m
累積標高差:上り 約90m 下り 約90m
コース定数:6
寺尾雄二(読者レポーター)

寺尾雄二(読者レポーター)

埼玉県三郷市在住。定年退職後の現在、週1回のペースで筑波山に登っています。その他、春は残雪の北アルプス、秋は日本山岳耐久レース、元日の雲取山が年間のルーティンです。体力を維持しこれからも山を楽しみたいと思います。

この記事に登場する山

山梨県 静岡県 / 富士山とその周辺

富士山・剣ヶ峰 標高 3,776m

 日本の山岳中、群を抜いた高さを誇る富士山は、典型的なコニーデ式火山。いずれの方向から眺めても円錐形の均整のとれた姿は美しく、年間を通して人々の目を楽しませてくれる。東海道本線や新幹線の車窓から見ると、右手に宝永山、左手には荒々しい剣ガ峰大沢が望め、初めて見る人の心を奪う。  昔は白装束姿で富士宮の浅間(せんげん)神社から、3日も4日もかけて歩き通したという話を古老から聞いたことがある。現在では、富士宮と御殿場を富士山スカイラインが結び、途中からさらに標高2400m辺りまで支線が延びているので、労せずして雲上の人になれる手近な山となった。  日本で一番高い山、美しい山であれば、一生に一度は登ってみたい願望は誰にでもある。7月、8月の2カ月間が富士登山の時期に当たり、7月1日をお山開き、8月31日を山じまいと呼ぶ。  山小屋や石室が営業を始めると、日本各地や外国の人々も3776mの山頂を目指して集まってくる。特に学校が夏休みに入り、梅雨が明けたころから8月の旧盆までは、老若男女が連日押し寄せ、お山は満員となり、登山道は渋滞し、山小屋からは人があふれる。  富士宮口から登ろうとする場合は東海道新幹線の新富士駅、三島駅などからの登山バスで五合目まで行き、自分の足で山頂へ向けて歩きだすことになる。山梨県側には吉田口があり、東京方面からの登山者が多い。  目の前にそびえる富士山はすぐそこに見えるため、山の未経験者は始めからスピードを出しすぎ、7合目か8合目付近でたいていバテてしまう。登り一辺倒の富士山は始めから最後まで、ゆっくり過ぎるほどのペースで歩くことがコツである。新6合から宝永火口へ行く巻き道が御中道コースで、標高2300mから2500mを上下しながら富士山の中腹を1周することができたが、剣ガ峰大沢の崩壊で通行不能になっている。  山慣れたパーティならば新6合から左に入り、赤ペンキや踏み跡を拾いながら、いくつもの沢を渡り3時間もかければ大沢まで行くことができる。辺りは樹林帯で、シャクナゲの群落やクルマユリやシオガマなどの高山植物が咲く。  9合目右側の深い沢に残る万年雪は、山麓からも見ることができる。富士宮口を登りつめると正面に浅間神社奥ノ院がある。隣は郵便局。もうひとふんばりすると、最高地点の剣ヶ峰。山頂にはかつては毎日データを送り続けていた気象観測所跡が残っている。天候に恵まれたならば噴火口の周囲を歩く御鉢巡りが楽しめる。

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