絶景と温泉に感動! 紅葉の立山へ【紅葉レポート】

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読者レポーターより登山レポをお届けします。なおさんは立山の紅葉をテント泊で満喫。

文・写真=なお

1日目:室堂〜雷鳥沢キャンプ場

秋晴れの三連休に、紅葉を狙って立山に行ってきました。

深夜2時ごろに車で扇沢(おうぎさわ)に到着。駅に近い市営無料駐車場は満車、遠い方にギリギリ停められましたが、すぐにこちらも満車になっていました。4時30分ごろに当日券売り場に行くと、すでに長蛇の列。5時50分の販売開始時点では、200mくらいにはなっていたのではないかと思います。私たちが購入した約10分後には、始発のチケットは売り切れていました。

立山黒部アルペンルート 扇沢
立山黒部アルペンルート

6時30分に扇沢を出発し、電気バス、ケーブルカー、ロープウェイ、トロリーバスを乗り継いで、8時15分ごろに室堂(むろどう)へ到着しました。

立山黒部アルペンルート 室堂
室堂からの景色

外に出てすぐに、絶景が飛び込んできました。この辺りは紅葉しているものの、控えめな印象です。

ミクリガ池、ミドリガ池、地獄谷を見ながら、雷鳥沢(らいちょうざわ)キャンプ場へ向かいます。地獄谷からは火山ガスが噴出しており、かなり広範囲で硫黄の匂いが漂っていました。

立山 みくりが池
ミクリガ池

雷鳥荘辺りまで来ると、紅葉の色が濃くなってきました。

立山 雷鳥荘周辺の紅葉
紅葉がきれい

雷鳥沢キャンプ場で、テントを設営。紅葉シーズンの三連休ということで混雑はしていましたが、過度な密集はありません。

立山 雷鳥沢キャンプ場
雷鳥沢キャンプ場

その後は、雷鳥荘でお昼ごはんをいただき、温泉にも入りました。

立山 雷鳥荘のピザ
雷鳥荘のピザ

この雷鳥荘の温泉がとてもすばらしく、感動しました。温泉の温度がちょうどよく、大変心地よいです。浴槽が2つあり、1つは展望風呂になっていて外の景色を眺められました。広くてきれいで、ドライヤーも3台あり快適です。まさか標高2400mの地でこのような温泉に入れるとは思っていませんでした。

夕方には、山に夕日が当たり、とてもきれいでした。

立山 夕日で赤く染まる山肌
夕日で赤く染まる山肌

2日目:雷鳥沢キャンプ場〜別山〜雄山〜浄土山〜室堂〜雷鳥沢キャンプ場

この日は、別山(べっさん)、雄山(おやま)、浄土山(じょうどさん)の立山三山へ。朝4時半ごろには起きようと思っていたのに、寒すぎてシュラフから出られず・・・5時半過ぎに起床。10月中旬にテント泊をするのは初めてでしたが、明け方の冷え込みがすごく、対策が必要だと学びました。

立山 朝の雷鳥沢キャンプ場
朝のキャンプ場、霜が降りていました

6時半ごろに、別山乗越(べっさんのっこし)に向けて出発。快晴のなか、絶景と紅葉を見ながらの登山、最高です。

立山 別山乗越への登りからの眺め
別山乗越への登りからの眺め

7時50分ごろ剱御前小舎に到着。剱御前山の方へ少し登ると槍ヶ岳が見られるとのことで、ザックをデポして行ってみました。

立山 雄山と龍王岳・浄土山の間に見える槍ヶ岳
雄山と龍王岳・浄土山の間に見える槍ヶ岳

その後は別山へ向かいます。この辺りは、左手を見ると劔岳をはじめとするゴツゴツとした山々、右手を見るといかにも火山といった風景と、まったく違う景色が見られておもしろいです。

立山 別山から劔岳側の景色
劔岳側の景色
立山 別山から室堂側の景色
室堂側の景色

別山は山頂からの眺めがとてもよく、富士山も見られました。その後は、真砂岳(まさごだけ)、富士ノ折立(ふじのおりたて)、大汝山(おおなんじやま)を通り、11時15分ごろに雄山に到着。

立山 富士ノ折立からの景色
富士ノ折立からの景色

雄山に向かうにつれ、どんどん人が増えていきました。富士ノ折立ではすれ違いの列が、大汝山、雄山では撮影の列ができていました。

一の越山荘で休憩をとり、浄土山へ。

立山 一の越山荘と龍王岳、浄土山
一の越山荘と龍王岳、浄土山

このころにはガスが出てき始めました。すれ違った方に、上の方にライチョウがいると教えてもらいましたが、私たちは出合えず。

浄土山を通り、室堂に下りました。下りは岩の上を歩く、少し緊張感のある道でした。途中からは整備された道に出ます。この辺りからの室堂の眺めがとてもきれいでした。人も少なく穴場感があります。

立山 浄土山の下り道からの眺め
浄土山の下り道からの眺め

室堂に到着し、ビールやおつまみを購入し、みくりが池温泉へ。こちらも浴室から景色が眺められ気持ちよかったです。雷鳥荘と比べると浴室も脱衣所も小さめで、少し混雑気味でした。喫茶室でスイーツをいただき、キャンプ場へ。

立山 みくりが池温泉の白玉クリームあんみつ
みくりが池温泉の白玉クリームあんみつ

この道中、ライチョウに遭遇しましたが、まるまって終始じっとしていました。

夕方には雲もなくなり、夕日が映えて紅葉がとてもきれいでした。

立山 紅葉と立山地ビール
紅葉と立山地ビール

この景色を見ながらの晩酌、最高です。

立山 夕暮れ
山が真っ赤に染まりました

就寝時には昨日の学びを踏まえ、ホッカイロを何枚も貼り、レインパンツを履いたところ、昨日よりは寒さを感じず眠れました。

3日目:雷鳥沢キャンプ場〜室堂

5時半ごろに起床し、テントを片付け室堂へ。7時45分発の臨時便に乗り、9時半過ぎに扇沢へ到着し、帰路につきました。

立山ロープウェイ
立山ロープウェイ

天気に恵まれ、紅葉も登山も温泉も、大満足な2泊3日でした。

(山行日程=2024年10月12~14日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:2泊3日
コースタイム:【1日目】1時間5分
【2日目】8時間42分
【3日目】1時間20分
行程:【1日目】
室堂ターミナル・・・ミクリガ池・・・エンマ台・・・雷鳥平
【2日目】
雷鳥平・・・別山乗越・・・南峰・・・北峰・・・南峰・・・真砂岳・・・大走り分岐・・・富士ノ折立・・・大汝山・・・雄山神社・・・一ノ越・・・南峰・・・北峰・・・立山室堂・・・ミクリガ池・・・エンマ台・・・雷鳥平
【3日目】
雷鳥平・・・エンマ台・・・ミクリガ池・・・室堂ターミナル
総歩行距離:約15,400m
累積標高差:上り 約1,555m 下り 約1,555m
コース定数:41
なお(読者レポーター)

なお(読者レポーター)

神奈川県藤沢市を拠点に、夏はアルプス、秋〜春は関東近郊や九州の山に夫婦で登っています。特に北アルプスと伊豆が好きです。

この記事に登場する山

富山県 / 飛騨山脈北部

立山・大汝山 標高 3,015m

 ふつう立山と呼ぶ場合、雄山神社を祭る雄山(3003m)か、浄土山、雄山、別山を含めた立山三山を指す。昔は毛勝三山から薬師岳辺りまでを含めて立山と呼んだし、江戸時代の文人画家、谷文晁(たにぶんちよう)の『日本名山図会』では別山、立山、剱岳をひとまとめに「立山」としている。つまり漠然とした山域なのだ。  その山域の最高峰が大汝山。古くは御内陣と書かれているので、雄山神社の奥社だったと思われる。縦走路から少し東にそびえている。  花崗閃緑岩質片麻岩で構成される大汝山には、西側に氷河地形として知られるカールがある。日本の地理学のパイオニアで、日本の氷河地形を初めて発見した山崎直方の名をとった山崎カールで、天然記念物に指定されている。  冬の北西の季節風で豪雪が山の東側に積もるため、日本のカール地形はほとんど東斜面に発達しているので、西斜面の山崎カールは珍しい。室堂から見ることができる。  地籍は富山県中新川郡立山町。乗鞍火山帯に属す火山で、溶岩台地の弥陀ガ原の上にそびえている。立山のもう1つの顔は加賀の白山とともに北陸の霊山として古くから信仰されていた修験道としての山。  開山は大宝元年(701)で越中介佐伯有頼(慈興上人)が鷹狩りの折、手負いのクマを追って奥山に入り岩屋に追い込んだが、中に入ると阿弥陀如来と不動明王に化身し「立山開山」を命じたとか。同じ8世紀には越中国の国守に任じられた万葉の歌人、大伴家持が「立山に降り置ける雪を常夏に 見れども飽かず神からならし」と歌ったように、立山は霊位に満ちた山なのである。  後年、天台宗と真言密教の修験道場となり、立山三山を極楽、地獄谷と剱岳を地獄に見立てた思想が独得の立山講を生み、山麓の芦峅寺衆徒の立山曼茶羅図による視覚に訴える全国布教で信者を増大させていった。ことに、宗教上のタブーだった女性にも極楽往生ができるという「布橋大潅頂」がセールスポイントで、江戸時代での先進的、精神的女性解放の旗印だった。  イラスト入りで地獄極楽を説き、ほかの宗門では不可能な、女性でさえ極楽往生ができるという説教を聞かされたときの驚きと喜びが、立山講中の賑わいを生み、芦峅寺から材木坂を登り、長大な弥陀ガ原をたどって室堂や雄山へと、三十数kmもの山道の苦行を悦びに変えていたのである。  現在の登山者は室堂までケーブルカーやバスを乗り継ぎ、室堂から2時間30分で雄山へ、さらに15分で最高峰の大汝山に登り着く。

富山県 / 飛騨山脈北部

別山 標高 2,880m

 別山は雄山(おやま)、浄土山を加えて立山三山と呼ばれる。雄山神社のある雄山の代りに最高峰で神社改築の折に御神体を移し置く大汝山が入ることもあるが、別山は霊山立山の北の鎮なのである。  縦走路は山頂の西を通って行くので気づかずに行く人もあるが、北東に5分ほど行ったこの山頂は剱沢を間にして剱岳と向かい合う、絶好の展望台になっている。さらに風景を引き立てるように、標高第3位という高山湖、硯(すずり)ガ池がある。写真の被写体にもいい池で、残雪の残るころが魅力的だ。  剱沢側はスケールは小さいが岩場になっていて、ロッククライミングのトレーニングにいい。西に下ると剱御前小屋がある。  登山コースは室堂から雷鳥沢経由で別山乗越、別山へ所要3時間30分。立山三山縦走をするなら室堂から雄山経由で所要4時間強。

富山県 / 飛騨山脈北部 立山

浄土山 標高 2,831m

 立山連峰の1つで別山、雄山とともに立山三山と呼ばれている。ただ、雄山と別山が巨大な起伏の一連の山塊なのに対して、浄土山は一ノ越の鞍部をはさんで少し離れている点が違っている。  アルペンルートの終点室堂から一ノ越へ出て、左(北東)へ登れば雄山から大汝山、別山へ、右(南西)に行けば浄土山で、さらに龍王岳、鬼岳、獅子岳からザラ峠、五色ガ原へと続く縦走路になる。そこで、立山縦走といえば一ノ越から雄山へ向かい、立山三山縦走となると室堂山から浄土山に登り、一ノ越への下りを追加することになる。  浄土山の祠のある山頂は縦走路から北西に少し離れている。富山大学立山研究所があり、北側にカールもある。  登山コースは室堂から一ノ越経由で所要2時間。室堂山回りで1時間30分。

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