三ノ沢岳で紅葉の中央アルプスの静かな山歩き【紅葉レポート】
読者レポーターより紅葉登山レポをお届けします。かずきさんは中央アルプス、三ノ沢岳(さんのさわだけ)へ。すぐ近くにある大人気の木曽駒ヶ岳(きそこまがたけ)&宝剣岳(ほうけんだけ)に押され気味の山ですが、果たして・・・。
文・写真=かずき
これまで、中央アルプスには何度も登った。木曽駒ヶ岳、宝剣岳、空木岳(うつぎだけ)に限らず、最近は越百山(こすもやま)などにも登り、色々な角度からどこまでも続く稜線を眺めてきた。その一方で、よく見るのに踏み込んだことのない山があった。それが三ノ沢岳である。
近くて遠い、よく見ればかっこいい山容である。私は紅葉が始まった10月12日に、いよいよこの山に登ることにしたのだった。
コースは千畳敷(せんじょうじき)から極楽平(ごくらくだいら)を経由した往復6時間程度の道のりだ。コース自体は日帰りにうってつけだが、今回は前後の行程に懸念があった。
早朝、駒ヶ根駅に着いた私はバスでロープウェイまで向かった。事前にWEBチケットを購入したおかげで、スムーズに移動することができた。
ロープウェイ駅に到着すると、長蛇の列が待ち構えていた! 久々の晴れの三連休初日、覚悟していたが驚いた。列に並んでいると整理券が配布され、それまでは各々自由に待機となった。並びっぱなしにならず助かった。20分ほどすると番号を呼び出され、無事ロープウェイに乗ることができた。9分おきのフル稼働で対応してくれる駒ヶ岳ロープウェイの皆様には頭が上がらない。
ロープウェイを降りると、千畳敷カールはここ最近でいちばんの晴れ模様! うれしくなった。
多くの人が向かう千畳敷カールを横目に 、私は左側の道から極楽平をめざした。
こちらは空いていて実に静かだ。20分ほどすると極楽平に到着し、景色が開けた。私がめざす三ノ沢岳も、ぬっと姿を現わした。どこから見てもひときわ目立つ山容と、連なる稜線が見えワクワクした。
ここから宝剣岳方面に進むと分岐があり、左に行くといよいよ三ノ沢岳方面だ。たくさんの人が並んでいる宝剣岳などと違い、こちらは人が本当に少なかった。
見かけた登山者も10名程度だったと思う。紅葉シーズンでわんさか人がいる中央アルプスの中で、静かな山歩きを楽しめるのは大きな魅力である。
道はハイマツに覆われた稜線となる。やや狭いが、以前登った越百山(こすもやま)~南駒ヶ岳(みなみこまがたけ)の道と比べると充分整っている。ハイマツも胸近くまで茂っているが、さわさわ身をなでるくらいでかわいいものだ。
200mほど下ると細かいアップダウンが続くようになる。ここからは中央アルプスの北部から空木岳辺りまでの稜線を、裏から一望できる。この景色は三ノ沢岳だからこそ味わえるものだ。以前歩いた空木岳に至る稜線を眺めて、自分よく歩いたな・・・とうれしくなった。
そのまま進むと、山頂まで200mくらいの登りになる。ドカンと迫る姿に、木曽殿越(きそどのこし)から見上げた空木岳がよぎったが、これも比べればかわいいものである。サクサク登って、山頂に到着した。
山頂からは中央アルプスの全容に加え、御嶽山(おんたけさん)方面も一望できる。山頂一帯は思いがけず広く、快適に休憩することができた。
よくよく見ると木々が黄色に染まっていた。紅葉が進まず秋らしさを感じないまま今日まで過ごしていたが、やっと2024年の秋に出会えてうれしくなった。
景色を堪能し、帰りは来た道を戻る。宝剣岳方面に分岐する直前で、なんとライチョウ一家に遭遇した。夏毛から冬毛に生え変わってきており、ふっくら丸々しており大変かわいらしかった。
帰りのロープウェイは最大2時間待ちする場合があると聞いており覚悟して戻ったが、この日は30分待ち位で乗ることができた。この日の行動時間はトータル5時間ほどに収まったので、早め早めの行動が身を助けることを実感した。
紅葉はまだまだ進みそうと感じたため、これからすいている紅葉のアルプスに行きたい方はぜひ登ってみていただきたい。
(山行日程=2024年10月12日)
MAP&DATA

かずき(読者レポーター)
転勤先の栃木で登山に出会い、現在は中部圏を中心に登山やキャンプに明け暮れている。ソロ〜3人程度で登るのが好き。長野県を通過した際は長野通行税をソフトクリーム屋さんへ入金している。
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