富士山の絶景と紅葉を求めて丹沢・大山へ【紅葉レポート】
読者レポーターより登山レポをお届けします。東武さんは日帰りで丹沢・大山(おおやま)へ。ケーブルカーも使える観光客にも人気の山です。
文・写真=東 武
残暑の影響で例年に比べて紅葉の進みが遅かったようですが、神奈川県・丹沢の大山が見頃になったと聞きつけて登りに行きました。
伊勢原駅からバスに乗って大山ケーブル駅で下り、登山口まで362段あるコマ参道の階段を登ります。登山開始に向けてウォーミングアップです。
大山の山頂に向かうには、ケーブルカーを使うほか、傾斜の緩やかな女坂か急坂の男坂のどちらかを登る道があります。今回は女坂を選びました。
女坂の場合、中腹に向かう途中で大山寺(おおやまでら)を通ります。紅葉の時期の大山寺は、大山全体の中でも特に美しい紅葉が見られるポイントなので、ここをショートカットするのはあまりにももったいない。
階段を登り切って女坂に差し掛かると、道は舗装された階段から山らしい土と岩の道に変わります。平日ではありますが紅葉の時期ということもあり、女坂は朝から多くの登山者でにぎわっていました。
大山寺に到着しました。大山寺の階段は張り出した枝でトンネルのようになっており、快晴の日に階段を上がると木陰までオレンジ色に染まって見えます。
大山寺の紅葉を充分に堪能してから、次は中腹にある大山阿夫利(あふり)神社に向かいます。
大山の中腹にはそれぞれ大山寺と大山阿夫利神社があり、仏教のお寺と神道の神社なので別々の宗教施設ですが、歴史的には深い関係があります。
大山は海に近く、海上の湿った空気が山肌にぶつかって雲になることで雨がよく降ります。別名「雨降山」と呼ばれるほどで、豊富な雨のおかげで大昔から雨乞いや五穀豊穣の祈願の地として人々の信仰を集めてきました。大山阿夫利神社は2200年以上も前に創建されたと伝えられています。
一方、大山寺は1000年以上前、755年に開山されました。大山寺は仏教ですが、古くからの大山の信仰を守りお寺の伽藍内に社殿を作り、山上の石尊権現を整備するなど、大山寺と阿夫利神社は長らくひとつの施設として共存していました。ところが明治時代の神仏分離令によって仏教と神道が厳密に区別されるようになった結果、大山寺と阿夫利神社は別々の施設として再編されました。大山寺は現在の位置にあらためて作られ、かつて大山寺のあった位置が現在の阿夫利神社ということのようです。
そんな歴史もあり、現在では厳密には別々の施設ですが、立っている場所は同じ大山ですからもちろん紅葉の美しさは似ています。
神社で安全を祈願してから山頂をめざします。神社から山頂に向かうには東側の見晴台からぐるりと迂回するルートと、北に向かって直登するルートがありますが、直登で山頂をめざします。直登というと急坂の厳しいイメージがありますが、大山の登山道は道幅も広く、斜度も適度で歩きやすい道が続きます。
もう12月も近いですが快晴で風もなく、暑すぎず寒すぎずの快適な気候で気持ちよくグングンと登れました。雲一つない快晴なので、富士見台の景色にも期待が高まります。
思った通り、富士見台からは絶景の富士山が見えました。
今年はいろいろな場所に長引く残暑の影響があったようで、富士山の冠雪も遅れているとニュースで見ましたが、真っ白に雪化粧しています。
富士見台から山頂まではもう一息。ほどなく山頂に到着しました。
ここまでに紅葉と富士山と、絶景を充分に楽しみましたが、やはり大山の山頂から眺める関東平野の景色は格別です。
視線を巡らせると筑波山、房総半島、江の島にスカイツリーと関東の名所がいくつも見えました。地元の街から大山が見えるので、山頂からも地元が見えるはずなのですが、これだけ離れていると判別はできませんでした。大山は江戸時代から庶民に人気の観光地だったので、昔の人もここから自分の街を探していたかもしれません。
山頂でゆっくりと景色を眺めてから、下山開始です。登りとは別ルートで見晴台をめざして下りていきます。見晴台に向かって下ると木々の開けている箇所が多く、絶景を眺めながらの楽しい道が続きます。
見晴台から阿夫利神社へ戻り、最後にもう一度女坂を下って大山寺の紅葉の見納めをしました。
この日は天気に恵まれたこともあって、一日中景色の楽しめる最高の登山ができました。
(山行日程=2024年11月25日)
MAP&DATA

東 武(読者レポーター)
晴れた日は山に出没し雨の日には本を読む、そんな暮らしにあこがれる文系山男。文学サークル・ペンシルビバップを主催している。山と文学と相模原市を愛してやまない。
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