【緊急レポート】下山したら車のガラスが割れていた! 登山中の車上ねらい被害を防ぐために

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駐車中の車の窓を割ったり、ドアロックを解除したりして、車内に残された金品を盗む「車上ねらい」。車上荒らしとも呼ばれるこの犯罪、マイカー派の登山者にとっては他人事ではない。短くても数時間、長ければ数日に及ぶ登山の間に車を狙われたら、ひとたまりもない。2024年〜25年の年末年始に雪山に出かけた山と溪谷社のスタッフが車上ねらいの被害に遭ってしまった。被害者による詳細レポートとともに、われわれ登山者が実践できる対策について考えた。

文・写真=山と溪谷オンライン

4泊5日の雪山登山。林道ゲート付近に駐車したものの・・・【被害レポート】

「奇跡の9連休」として話題になった今回の年末年始。筆者のパーティは北アルプス・爺ヶ岳(じいがたけ)から鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)をめざし、4泊5日の計画を立てた。登山口は立山黒部アルペンルートの長野県側玄関口である扇沢(おうぎさわ)付近。しかし、冬季期間は扇沢に続く長野県道45号は扇沢~日向山(ひなたやま)が通行止めとなり、登山者は日向山の林道ゲート脇に駐車することになる。

日向山の林道ゲート
日向山の林道ゲート

筆者が林道ゲートに車を停めたのは、2024年12月29日(日)。想定を上回る積雪により、登山は計画通りとはいかなかったが、下山予定日の1月2日(木)に扇沢付近に下りてきた。その後は、再び長い林道を歩き続け、ようやくゲートが見えたときは、5日間の山行が無事に終わったことを喜んでいた。

日向山の林道ゲート
林道ゲート脇は除雪車が排出する雪を被るため、数日車を駐車すると埋没してしまう

ところが、ゲート脇で大量の雪に埋まった車を掘り起こしていた際、助手席側の後部座席の窓ガラスが割れていることに気がついた。「え、なんで?」と、よく見てみると、窓ガラスの助手席側付近に鋭利なもので叩いたり、テコの原理でこじあけようとした跡がある。つまり、自然現象で割れたのではなく、誰かによって叩き割られたのだとわかった。仲間に「車上荒らしだ!」と伝えると、「こっちも!」とすぐに反応があった。当時、ゲート脇には車が4台停まっていたが、そのうちの2台の後部座席の窓ガラスが割られていた。

日向山の林道ゲート
助手席側の後部座席の窓が割られていた

犯行はいつ? なぜ狙われたのか?

犯人は深雪のなか、林道ゲート脇の車を窓から物色し、割った窓から手の届く範囲で「モノ」を置きっぱなしにしている車を狙ったようである。筆者の車の場合、助手席の窓枠にもやや傷があり、助手席の窓も割ろうと試みたようだったが、そちらはあきらめて、後部座席の割った窓から手の届く範囲のみを物色したようだった。しかし、金目のものがなかったためか、幸いにも盗まれたものはなかった。

日向山の林道ゲート
荷台の端にまとめていた着替えや車中泊用の道具、出発直前に整理した登山道具が荒らされていた

一方、仲間の車は窓の近くにショルダーバッグを置きっぱなしにしていたため、それが狙われた。ショルダーバッグの中には財布が入っており、財布のなかから紙幣と硬貨のみが抜き取られていた。免許証やキャッシュカード、クレジットカードなどは無事だった。また、車に挿しっぱなしにしていたETCカードは2台とも無事だった。

その場で警察に通報し、経緯と現時点でわかっている被害状況を説明して、「警察署に来てほしい」との指示で移動した。

警察署であらためて経緯を説明し被害届を提出。その際、「車の中があまり濡れていなかったので、窓が割られたのは今朝ではないか」と説明すると、「いえ、実は昨日の昼過ぎに通報はすでにあったんです」と意外な返答があった。われわれが下山する前日に林道ゲート脇に車を停めた人が窓ガラスの割られた車を発見し、警察署に通報してくれたらしい。しかし、被害者本人からの通報と被害届の提出がなければ警察は動けないとのことで我々からの通報を待っていたということだった。

日向山の林道ゲート
警察署での被害状況の確認
日向山の林道ゲート
鋭利なもので何度も窓の端(車本体)を叩いた跡があった

時系列にまとめると、

  • 12月29日(日) 雪。ゲートに車を停めて登山口に向けて出発
  • 12月30日(月) 曇り(登山中)
  • 12月31日(火) 吹雪(登山中)
  • 1月1日(水) 晴れのち曇り。昼過ぎに警察署に通報あり(登山中)
  • 1月2日(木) 曇り。下山後、車上荒らしの被害発覚。被害届を提出。

12月31日は吹雪だったので、この日に窓ガラスが割られていれば、車の中にも雪が積もっていたはず。しかし、車の中にはほとんど雪がなかったので、犯行は元日の午前中だったのではないだろうか。

日向山の林道ゲート
警察署で段ボールを用意してもらい、養生テープでしっかり固定し帰宅した
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