サクラはまだ見られるか、春の名残の高尾山。野菜たっぷりの前菜ビュッフェとパスタを満喫

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

名残のサクラと新緑を求めて、小仏城山(こぼとけしろやま)から高尾山(たかおさん)を縦走。久しぶりに大好きなイタリアンの店に立ち寄った。

写真・文=西野淑子

晩春の高尾山に花を探して

高尾山から小仏城山の縦走路は、春に歩きたい道。昨年4月、雑誌『山と溪谷』の取材で高尾山から小仏城山を縦走した。花師匠(と私が勝手に呼んでいる)の石丸哲也氏と歩いたので、たくさんの草花や花木、芽吹きの木々を楽しめた。ちょうどサクラが満開の時季で、仕事とはいえ幸せな気持ちで一日を過ごすことができた。

関連記事

小仏城山山頂
小仏城山山頂。終わり気味ではあるがサクラが咲いていた

今年も同じルートを歩いてサクラのお花見をと思っていたが、なんとか予定が作れたのは4月後半。今回は小仏から城山、高尾山と縦走する逆ルートで歩くことにした。さすがにサクラはほぼ終わりだったが、ところどころでまだ咲いていてくれた。足元にはスミレが満開、ニリンソウの群落も見つけられた。芽吹きの木々はさまざまな緑色、だんだら模様で山肌を埋めている。ありがとう、ありがとうとつぶやきながら歩く。高尾山山頂の大見晴園地に立つと、富士山は霞の中で見えなかったが、丹沢の山々はきれいに見渡せた。

高尾山山頂
高尾山山頂、大見晴園地から。丹沢の山はくっきり見えた

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 3時間50分
行程:小仏バス停・・・小仏峠・・・城山・・・一丁平・・・高尾山・・・高尾山口駅
総歩行距離:約9,500m
累積標高差:上り 約801m 下り 約898m
コース定数:18

ついつい取り過ぎる、どれもおいしい前菜ビュッフェ

お目当ての6号路は登りの一方通行になっていた。残念。4号路を下り、ケーブルカー山頂駅前から舗装路の1号路を下り、高尾山口駅へ。

今日は高尾山FuMotoYaさんに立ち寄ろうと決めていた。先日、フジテレビの深夜番組に出演して「下山メシ」について解説?したときに、こちらのお店にお世話になったのだ。お礼を伝えにいきつつ、久しぶりにランチも、と思っていた。

お店の入口には写真付きのメニュー看板。「お得な前菜ビュッフェ」の文字がある。なに、前菜ビュッフェですと?そんなすてきなシステムがあるのか。

写真付きのメニュー看板
「お得なビュッフェセット」の文字に心が躍る

いそいそとお店に入る。窓際のカウンター席に通された。オープン直後にもかかわらず、多くのお客さんでにぎわっている。家族連れや観光客、外国の人たちもいるね。カウンター席からは高尾山口駅周辺が見渡せる。これから高尾山に向かう人、充実した足取りで駅に向かう人が行き交う。

高尾山「FuMotoYa」のディスプレイ
駅改札に近いほうの入口、階段を登るとかわいいディスプレイが
高尾山「FuMotoYa」店内
モダンな雰囲気の店内

パスタやピザは、単品と前菜ビュッフェセットのいずれかを選ぶことができる。前菜ビュッフェは、店内中央のビュッフェスペースから好きな料理を取るシステムだ。ドリンクも飲み放題。迷わず前菜ビュッフェセットを選択。メインは何にしようかな。以前食べた八王子ナポリタンはメニューになかったが、あのトマトソースが味わいたくて、同じ系統の「ホエー豚と季節野菜のトマトソーススパゲティ」にした。……いや、とろろと卵の乗ったピザもおいしそうで毎回心ひかれるのだが、大きなピザをひとりで食べる勇気はないのだ。

オーダーを終えて、前菜ビュッフェスペースへ。……思ったより品数が多いぞ。新鮮な野菜サラダのほか、ブロッコリーのしらす和え、レンコンのペペロンチーノ、季節野菜のピクルス……野菜料理が多くてうれしいじゃないか。イタリアンオムレツや、洋風茶碗蒸し(?)もある。メインのパスタもあるのだ、ここで満腹になってはいけないぞ、量を考えろ……と思いつつ、せっかくなら全種類食べたいではないか……とあれもこれもと取ってしまう。

さっそく、前菜からいただきます。

前菜ビュッフェ
前菜ビュッフェ
前菜ビュッフェ。どれもおいしそう

シャキシャキ食感がうれしいレンコンのペペロンチーノ、酸味と甘味のバランスがよいピクルス、トマトの風味がいい感じのナスといんげんの和え物、さっぱりとしたコンソメジュレ。いやいやどれもしっかりおいしいではないか。洋風茶碗蒸し(ほうれん草とベーコンのフラン)はチーズの風味がガツンとくる、茶碗蒸しというよりキッシュみたい?おもしろいなあ。

前菜ビュッフェを盛り付けたお皿
とりあえず全種類取らないと気が済まない

……あっという間に食べ終わってしまったわ。2回戦いきますか。さきほどお皿に乗り切らなかった料理と、もう一度食べたい料理を乗せる。うふふふ。

ニコニコしながら席に戻り、食べているとメインのパスタが登場した。

「ビュッフェの時間は今から1時間です。ごゆっくりどうぞ」

お店の方が声をかけてくださる。

アツアツのパスタを一口。トマトの酸味とコクが強めのソース。そうそう、こんなソースだった。今日は大きめのナスがごろっと入っている。口にするとジュワッとジューシー。ナスとトマト、オリーブオイルってどうしてこんなに相性がいいんだろう。細切りの豚肉、案外に存在感が強い。噛むと旨味がじわり、小さいのになかなかやるな。パスタももっちもちでおいしい。無言でひたすら食べ進めたので、あっという間になくなってしまった……。

ホエー豚と季節野菜のトマトソースのスパゲッティ
ホエー豚と季節野菜のトマトソースのスパゲッティ

お皿に残った前菜をゆっくりと味わう。……さすがに前菜3回戦はなしだ。満足。

飲み放題も付いているので、コーヒーをゆっくりといただく。メニューにある「高尾山プリン」が気になるけど、本日すでに胃袋に余裕なし、次回のお楽しみにしよう。

帰り際、番組でお世話になったお礼を伝えて、お店をあとにした。

今日もいい山、いい下山メシだった。おつかれさま、ありがとう。

高尾山FuMotoYa

お店の入口、オープン直前だった

高尾山口駅構内にあるカフェ&イタリアンレストラン。石窯で焼くナポリ風ピザや自家製麺のパスタなどが味わえる。10種類以上の前菜やサラダ類が味わえる前菜ビュッフェが人気。

住所 東京都八王子市高尾町2241
TEL 042-667-7568

この記事に登場する山

東京都 / 奥多摩

高尾山 標高 599m

 関東の三霊山の1つ、薬王院有喜寺がある。天平16年(744)奈良期の高僧行基が開山したと伝えられている。高尾山頂は有喜寺からさらに登った所にある。山頂の三角点のかたわらに十三州見晴台の標識がある。  山麓には高尾自然科学博物館があり、山中の動植物の標本の展示がある。また山頂に向かうケーブルカーとリフトがあるが、低い山なので歩いて登りたい。1号から6号の自然歩道があり、山の自然を観察することができる。山頂から冬の晴れた日には相模湾に浮かぶ江ノ島まで見渡すことができる。  山頂から西に山稜をたどり、一丁平、城山、小仏峠を経て景信山、陣馬山へと足を延ばす登山者が多い。高尾山一帯は有喜寺の境内だが、開発で一部の自然が破壊されつつある。  高尾山口駅から薬王院有喜寺―高尾山―城山―小仏峠を経由して高尾駅まで約4時間。

東京都 /

小仏城山 標高 670m

プロフィール

西野 淑子(登山ガイド・フリーライター)

初心者向け登山ガイドブックや山岳雑誌などで取材・執筆を行なうフリーライターで、登山ガイドの資格を持つ。関東近郊を中心に低山歩きから沢登り、雪山登山まで楽しむオールラウンダー。気の合う仲間と山を歩き、下山後においしいものでお腹と心を満たすことに無上の喜びを感じている。

下山メシのよろこび

登山後、すなわち下山後の楽しみの一つが、山麓にあるグルメ。ご当地の名物料理もあれば、鄙びた駅前に立つ小さな食堂で出す普通の料理まで、その楽しみは幅広い。 登山ガイド・フリーライターの西野淑子が下山後に味わった数々のとっておきのお楽しみを紹介する。

編集部おすすめ記事