新緑の那須岳へ!絶景と温泉に癒される1泊2日の山旅

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読者レポーターより登山レポをお届けします。寺尾雄二さんは那須岳(なすだけ)で山の温泉と新緑の登山を楽しんできたそうです。

文・写真=寺尾雄二

1日目:那須岳ロープウェイ山麓駅~峰ノ茶屋避難小屋~三斗小屋温泉

新緑の山歩きと秘湯の温泉を楽しみに那須岳へ。那須岳とは主峰・茶臼岳(ちゃうすだけ)、朝日岳(あさひだけ)、および最高峰である三本槍岳(さんぼんやりだけ)を総称した名前になります。

平日の木曜日でしたので那須塩原駅を10時40分に出発する那須岳ロープウェイ行のバスは、乗客数名のみでガラガラでした。出発したバスは、途中、黒磯駅にも寄りますが、ここでも乗客は2名のみでした。バスは1時間20分ほどで、終点のロープウェイ山麓駅に到着。天気は晴れていたものの、上空を見上げると雲の流れが速く、この先の風の強さが懸念されました。

那須岳ロープウェイバス停
那須岳ロープウェイバス停
歩き始めの遊歩道
歩き始めの遊歩道

歩き始めは、木々に覆われた遊歩道のため、風も心地よく、半袖Tシャツでちょうどよかったです。平日でしたが、途中の峠の茶屋駐車場にある売店は営業中でした。うどんなどの軽食も注文できます。売店から少し進むと、登山道入り口になります。時刻は12時を少し過ぎたくらいですが、下山するハイカーとも多くすれ違いました。

登山道入口
登山道入口
朝日岳
朝日岳を望む

登山道を進むと、木々が少なくなり視界が開けるとともに、風も強くなります。相変わらず天気はよく、右手に朝日岳を望みながら、徐々に標高を上げていきます。峰ノ茶屋避難小屋に近づくにつれて風の強さは勢いを増し、体がよろけるほどになりました。半袖姿のまま避難小屋に飛び込み、ここでウインドブレーカーを着用。事前の計画では、ここから朝日岳を経由して三斗小屋(さんどごや)温泉をめざす予定でしたが、稜線部のあまりの風の強さに断念し、峰ノ茶屋避難小屋から直接、三斗小屋温泉へのルートに変更しました。

峰ノ茶屋跡避難小屋
峰ノ茶屋跡避難小屋。すさまじい強風

しばらく避難小屋で休憩した後、強風の吹き荒れる登山道から樹林に囲まれた場所まで下ると、それまでの強風がうそのように静まりました。下りきった場所に位置する那須岳避難小屋で、着用してきたウインドブレーカーを脱ぎましたが、強風に吹きさらされていた時間は30分ほどでした。

那須岳避難小屋
那須岳避難小屋。ほぼ無風

峰ノ茶屋避難小屋付近は風の通り道として有名な場所で、季節風が吹き始める晩秋は充分注意しますが、初夏の時期に北からの強風に遭遇するのには驚きました。那須岳周辺には少ないながらも谷筋の所々に残雪が見られ、また三斗小屋に続く樹林帯の道は、新緑が美しく、この時期らしい、気持ちのいい登山道が続きます。

登山道わきの残雪
登山道わきの残雪
水場
延命水(水場)
沼原分岐
沼原分岐

途中、沼原(ぬまっぱら)への分岐を過ぎ、しばらく進むと、目的地の三斗小屋温泉に到着します。時刻は14時過ぎ、三斗小屋温泉には2軒の温泉宿がありますが、今回は予約した煙草屋(たばこや)旅館に宿泊しました。

煙草屋旅館
宿泊した煙草屋旅館

受付を済ませ、さっそく内湯の温泉で汗を流しました。山を歩いた後に浸かる温泉は、本当に気持ちが落ち着きます。部屋に戻り少し休憩した後は、宿の外にある露天風呂へ。ここは周囲の山々を眺めながら温泉に浸かれる最高の露天風呂です。標高1400mに位置するため、温泉に浸かった体に少しひんやりとした空気が心地よく、いつまででも露天風呂を楽しめます。

露天風呂
露天風呂。左がぬるめ、右が熱め

夕食後は、ヘッドランプを頼りに、再び露天風呂へ。空気の澄んだ夜空に輝く満天の星を眺めながら温泉を楽しみました。宿のすぐ脇には小川もあり、夜はカジカガエルの澄んだ鳴き声が聞こえ、初夏の風情を感じさせてくれます。

2日目:三斗小屋温泉~朝日岳~茶臼岳~那須岳ロープウェイ山麓駅

2日目の朝も、朝食前に露天風呂を満喫しました。鳥のさえずりを聞きながらの温泉もまた格別です。この日は昨日の強風であきらめた朝日岳をめざして、宿の裏手の登山道から出発しました。樹林帯の道を少し進むと、宿に温泉を引き込む源泉脇を通過します。

旅館裏手の登山道標識
旅館裏手の登山道標識
源泉
源泉

源泉からは蒸気が吹き上がり、この付近一帯が那須岳の火山地帯であることが実感できます。樹林帯の急登を進むこと1時間ほど、尾根上に出ると、目的の朝日岳や茶臼岳が眼前に現われます。昨日の強風は収まり、ほどよい風が、急登続きで汗をかいた体に心地よく感じます。ほどなく尾根上のピークである隠居倉(いんきょぐら)に到着。風は気持ちいいのですが、休憩しようとすると小さな羽虫が大量に顔の近くで飛び回るため、あきらめて先に進みます。

朝日岳への稜線
朝日岳への稜線
茶臼岳
茶臼岳

隠居倉からは少しのアップダウンを繰り返し、分岐点の熊見曽根(くまみそね)に着きます。分岐点を左に向かうと、那須岳の最高峰である三本槍岳方面、右は、朝日岳方面になります。金曜日ですが、この分岐からは急に登山者の姿が目立つようになりました。時間も早いためマイカーで訪れた方々かと思われます。

晴天の下、気持ちのいい稜線漫歩で朝日岳に到着。眼下にはロープウェイ山麓駅付近の駐車場が望めますが、駐車する車の多さが目に留まりました。

朝日岳山頂
朝日岳山頂

朝日岳を後に、峰ノ茶屋避難小屋に向けて進みます。昨日は強風が吹き荒れ、人も見かけませんでしたが、今日は、避難小屋周辺で休憩をとる人が多く、昨日とは違ったにぎやかさです。

峰ノ茶屋避難小屋
峰ノ茶屋避難小屋。今日はハイカーが多い

避難小屋からは茶臼岳に向かいます。火山特有の荒涼とした山道を歩くこと30分ほどで、茶臼岳山頂に到着。茶臼岳は、途中までロープウェイでアプローチできるため、登山姿の方と手軽な姿の観光客も加わり、一層にぎやかな状況でした。晴天の下、北側にはまだ残雪豊富な会津の山々、その少し左側には、尾瀬の名峰、燧ヶ岳(ひうちがたけ)も望めます。

茶臼岳山頂鳥居那須岳神社祠
茶臼岳山頂鳥居那須岳神社祠
茶臼岳山頂鳥居那須岳神社祠

茶臼岳山頂で大展望を満喫した後は、いったん峰ノ茶屋避難小屋まで戻り、ロープウェイ山麓駅に向け下山します。稜線部は心地よい風が当たり快適でしたが、下山するにつれ風も弱まり、日差しの強さと相まって、蒸し暑さを感じるようになりました。下山口の峠の茶屋駐車場には10時半ころ通過しましたが、すでに満車状態でした。

山麓駐車場
山麓駐車場。満車状態

さらに下ったロープウェイ山麓駅バス停付近にも駐車場がありますが、こちらも駐車場は満車状態です。平日の金曜日にもかかわらず、この混雑状況には驚きました。ただしここを出発する那須塩原行のバスは行きと同様、ガラガラで快適でした。那須岳は登山者、観光客ともにマイカーで訪れる方が多いようです。

(山行日程=2025年6月5~6日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:1泊2日
コースタイム:【1日目】2時間15分
【2日目】4時間15分
行程:【1日目】
山麓駅・・・県営駐車場・・・峰ノ茶屋跡・・・沼原・姥ヶ平分岐・・・三斗小屋温泉
【2日目】
三斗小屋温泉・・・隠居倉・・・熊見曽根分岐・・・朝日岳分岐・・・朝日岳・・・朝日岳分岐・・・峰ノ茶屋跡・・・茶臼岳・・・峰ノ茶屋跡・・・県営駐車場・・・山麓駅
総歩行距離:約12,400m
累積標高差:上り 約1,221m 下り 約1,221m
コース定数:28
寺尾雄二(読者レポーター)

寺尾雄二(読者レポーター)

埼玉県三郷市在住。定年退職後の現在、週1回のペースで筑波山に登っています。その他、春は残雪の北アルプス、秋は日本山岳耐久レース、元日の雲取山が年間のルーティンです。体力を維持しこれからも山を楽しみたいと思います。

この記事に登場する山

栃木県 福島県 / 那須・日光

那須岳・茶臼岳 標高 1,915m

 茶臼岳は那須岳ともいわれ、栃木県と福島県との県境から南北に連なる那須火山群の中央に位置する。最も新しくできた溶岩円頂丘(トロイデ)で栃木県内では唯一、噴煙を上げる山だ。 天空に白煙をたなびかせる雄大な姿は、まさに那須の盟主にふさわしい。 噴気孔は主に西斜面にあり、ゴーゴーと大きな音を立てている。周辺には硫黄の結晶が見られ、かつては硫黄の採掘が行われていたが、昭和28年(1953)の噴火を前に中止された。 朝日岳との鞍部にある峰ノ茶屋は、当時硫黄精錬所の従業員の休憩所として利用されていたが、平成7年に建て替えられ、登山者用として重要な役割を果たしている。 山頂直下までロープウェイが通じ、初心者でも楽に登れるようになった。山頂は360度の大展望で、春のツツジ、燃えるような秋の紅葉を楽しむ多くの観光客や登山者が訪れている。 ロープウェイを利用して40分も歩けば山頂に達することができる。山麓駅から登山道を峰ノ茶屋経由で登っても2時間ほど。 茶臼岳の南にある南月山まで足を延ばせば、別の角度からの那須を味わうことができる。また、山麓にはたくさんの温泉もある。 那須岳という場合、一般的には茶臼岳を指すが、広い意味では那須連山の呼称である。那須連山の中の顕著なピークに対して那須五峰や那須五岳という呼び方があるが、この場合、那須岳を仰ぐ場所によって若干異なるが、白笹山、黒尾谷岳、茶臼岳、朝日岳、三本槍岳を指す場合が多い。信仰登山の面からは南月山がはずせないし、展望のよさなら隠居倉が抜群である。

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