膝が痛いけど山には行きたい! 「下らない山」関東編5選

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登山は大好きだけど、膝が痛くて下山が不安……。そんなシニア・高齢者に向けて、下山時に膝にやさしいコースを紹介します。乗り物を利用できたり、そもそも下りが少ないコースを関東近郊で5つセレクト。観光要素のある山がそろいました。コースガイド最後にある標高グラフも参考にしてください!

文・写真=石丸哲也

目次

帰りはバスを利用。三滝を巡り、花の名所の高原へ 大山(おおやま)・隠れ三滝

栃木県/約1500m(キスゲ平)
下りの累積標高差:約600m
山行適期 初夏~秋

盛夏のニッコウキスゲが人気の霧降高原の東におおらかな山容で大山が横たわる。その南側を流れる霧降川はマックラ滝、玉簾ノ滝(たますだれのたき)、丁字滝(ちょうじのたき)の隠れ三滝を秘め、新緑の初夏から盛夏、紅葉の秋にかけて高原ハイクを楽しめる。霧降の滝バス停から滝を見て大山に登り、霧降高原(きりふりこうげん)からバスで帰れば、まとまった下りは大山から霧降高原への標高差約150mの緩斜面のみのコースとなる。

霧降の滝バス停から霧降滝展望台を往復したら、駐車場の北側から登山道に入る。

霧降滝
展望台から遠望する霧降滝は高さ約70m、3段の滝だ

ヤマツツジが群生するつつじヶ丘を通り、隠れ三滝入口バス停で車道に出て、すぐ右の山道を下れば霧降川支流に懸かる丁字滝に着く。高さ10mほどだが、急で勢いよく流れ落ちる。本流へ下り、遡上すると玉簾滝を見る。傾斜は緩やかだが、幾段もの小滝を連ねて優雅な趣を見せる。

丁字滝
隠れ三滝で最初に出合う丁字滝
玉簾ノ滝
玉簾滝は落差6mほどだが、小滝を連ねる

猫ノ平(ねこのだいら)の登り口から往復するマックラ滝は高さ約30m、隠れ三滝最大で垂直に切り立って見ごたえがある。登り口から30~40分の急斜面をがんばれば猫ノ平からはなだらかな尾根道となる。

マックラ滝
昔は樹林で薄暗かったというマックラ滝
マックラ滝から猫ノ平へ樹林の斜面を登る
マックラ滝から猫ノ平へ樹林の斜面を登る

樹林が開けた後は牧草地の斜面を登って大山山頂へ。一帯はトウゴクミツバツツジ、シロヤシオなどツツジの木が多く見られる。登りの斜面、山頂ともに赤薙山(あかなぎやま)や男体山(なんたいさん)など山々の眺めがよい。展望を楽しんだら、西へ樹林の斜面を下り、合柄橋(がっからばし)で霧降川を渡って急な斜面を50分ほど登り返すと霧降高原バス停だ。余裕があればニッコウキスゲ群生地を往復したい。

霧降高原キスゲ平付近のスロープ
霧降高原キスゲ平付近のスロープ
ニッコウキスゲ
夏期にはニッコウキスゲの花を愛でていきたい

小丸山(こまるやま)の展望台まで標高差約270m。天空回廊と呼ばれる一直線の階段が続くが、途中のキスゲ平付近までなら標高差約120mで蛇行する巻き道もあり、足に大きな負担をかけずに登り下りでき、花も充分に楽しめる。

MAP&DATA

ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 約4時間30分
行程:霧降の滝バス停・・・霧降滝展望台・・・霧降の滝バス停・・・大山・・・小丸山・・・霧降高原バス停
総歩行距離:約9,000m
累積標高差:上り 約1200m 下り 約600m
コース定数:20
アドバイス:登山道、指導標は整備されているが、一部、分岐がわかりづらいところがある。霧降の滝バス停~霧降高原バス停の累積標高差は約600mに達し、今回の5コースのなかでは最も歩きごたえがある。隠れ三滝入口バス停からスタートすれば標高差約50m、歩行時間30分ほど短縮できる。新緑、ツツジは5月なかば~6月初めごろ、キスゲ平のニッコウキスゲは年により前後するが6月中旬~7月中旬ごろ。4~6月にはカタクリやツツジが咲く。紅葉は10月なかば~11月上旬ごろ。初夏~初秋、山ビルが発生するので忌避剤や塩の用意を。
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プロフィール

石丸哲也

東京に生まれ育つ。オールラウンドな登山を経て、山岳ライター、登山・ツアーの講師などとして活動している。
山頂に立つことだけを目的とするのでなく、山を旅する感覚で、登るプロセスや自然にふれることを大切にして山を楽しむことを心がけている。
国内では北海道の利尻山から屋久島の宮之浦岳まで全国の山を登り、海外ではペルーアンデス、ヨーロッパアルプス、北米のヨセミテ、メキシコ、カムチャツカなどの山に足あとを残す。

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