山小屋に一泊して甲武信ヶ岳へ

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読者レポーターより登山レポをお届けします。なおさんは山小屋に宿泊して甲武信ヶ岳(こぶしがたけ、2475m)へ。

文・写真=なお


山梨、埼玉、長野にまたがる甲武信ヶ岳に行きました。甲州、武州、信州の頭文字を組み合わせたことが名前の由来になっているようです。

長野側と山梨側に登山口があり、今回は住んでいる神奈川県から近い山梨側から登りました。

1日目:西沢渓谷〜徳ちゃん新道〜木賊山〜甲武信小屋

3連休の初日、渋滞にはまってしまい予定を大幅に過ぎて9時ごろに西沢(にしざわ)渓谷市営駐車場に到着。駐車場にはまだ空きがありました。

駐車場から1kmのところに、きれいな水洗トイレやあずまやがあり、そちらで準備を済ませ、9時40分ごろ出発しました。

西沢渓谷入口にある水洗トイレ
西沢渓谷入口にある水洗トイレ

ここは西沢渓谷に向かう道でもあり、登山口までの間にきれいな川や滝があります。

登山口までの道のり
登山口までの道のり

山梨側からは2つのルートがありますが、私たちは徳ちゃん新道を通りました。西沢山荘の脇の道から登山道に入ります。

徳ちゃん新道のコースタイムは約5時間30分。山頂直下にある小屋まで水場がないので、充分な量の水を持っていく必要があります。

徳ちゃん新道の登山口
徳ちゃん新道の登山口

コースの大半が樹林帯でした。危険な箇所はほとんどないですが、距離が長いのと、所々急登があり、なかなか大変です。

急な登り
急な登り

かなり上の方まで行かないと眺望はほとんどありませんが、木々の間から富士山がちらりと見える箇所が。甲武信ヶ岳山頂近くから富士山がきれいに見られるようなので、楽しみです。

木々の間から見える富士山
木々の間から見える富士山

歩き始めて3時間ほどで、山梨側からのもう1つのコース、近丸新道(ちかまるしんどう)との合流点に到着。今日の行程のだいたい半分くらいまで来ました。

徳ちゃん新道と近丸新道の合流点
徳ちゃん新道と近丸新道の合流点

合流点の少し先で昼食をとり、さらに登り進めていきます。登山道の両脇にはシャクナゲの木がたくさん生えており、5月下旬から6月中旬が見頃だそうです。

シャクナゲに囲まれる登山道
シャクナゲに囲まれる登山道

途中、登山道にシカが現われました。人に慣れているのか、かなり近くまで寄ってきました。

登山道に現われたシカ
登山道に現われたシカ

コース終盤には富士山の展望スポットがあるのですが、到着するころにはあたり一面真っ白になってしまっており、なにも見られませんでした。

登り始めて約5時間、14時45分ごろに木賊山(とくさやま)に到着。木に囲まれており眺望はありません。

木賊山
木賊山

このあたりには、まだ少しシャクナゲが残っていました。

シャクナゲ
シャクナゲ

甲武信ヶ岳に登る前に受付をするため、一度甲武信小屋に下ります。急な砂の道で、かなり滑りやすかったです。

木賊山からの下り道
木賊山からの下り道

15時ごろに甲武信小屋に到着。山岳縦走大会「分水嶺トレイル」の開催日で、小屋にエイドが設けられていました。

来る前に読み返していた『山と食欲と私』の甲武信ヶ岳の回で、分水嶺トレイルと思われる山岳レースが取り上げられていたので、「漫画で読んだやつだ!」とテンションが上がりました。

チェックインをした後、甲武信ヶ岳山頂に向かいます。小屋からは20分ほどです。

甲武信小屋から甲武信ヶ岳への道
甲武信小屋から甲武信ヶ岳への道

15時50分、山頂に到着です! が、景色はなにも見えず……明日の朝、また登ることにしました。

甲武信ヶ岳山頂
甲武信ヶ岳山頂

16時10分ごろ、甲武信小屋に到着し、この日の山行を終えました。甲武信小屋の部屋は男女一緒の大部屋ですが、女性同士が隣になるように、配慮されていました。

寝床の頭上に荷物置き場があったり、お手洗いもきれいで、過ごしやすい小屋でした。

夕食は、カレー、サラダ、デザートをいただきました。少しスパイシーなカレーでとてもおいしかったです! ご飯のおかわりもいただきました。

甲武信小屋の夕食
甲武信小屋の夕食

2日目:甲武信小屋〜徳ちゃん新道〜西沢渓谷

翌日は朝4時に小屋を出発。本当は小屋の前から日の出が見られるのですが、私たちは富士山が見たくて、山頂に向かいました。

山頂にも行きましたが、山頂手前からの景色がいちばんきれいでした。別の方向には八ヶ岳も見られました。

甲武信小屋山頂手前からの富士山
甲武信小屋山頂手前からの富士山

小屋に戻り、朝食をいただいた後ひと休みし、7時ごろ下山を開始しました。

甲武信小屋
甲武信小屋

小屋の目の前に、木賊山を通る道と巻き道の分岐があり、下りは巻き道を通りました。昨日は真っ白だった富士山展望スポットも、この日は絶景です。

徳ちゃん新道からの富士山
徳ちゃん新道からの富士山

下りは、道がわかりづらい箇所も多く、目印を確かめながら注意して下りました。スタートしてから4時間30分ほど、11時30分ごろに駐車場に戻りました。西沢渓谷に訪れている方たちも多いようで、駐車場はほぼ満車でした。

甲武信ヶ岳は眺望がよく、山小屋も快適で、とても楽しい山行でした!

(山行日程=2025年7月19~20日)

MAP&DATA

高低図
最適日数:1泊2日
コースタイム:【1日目】5時間
【2日目】3時間5分
行程:【1日目】
西沢渓谷入口・・・近丸新道入口・・・徳ちゃん新道入口・・・合流点・・・木賊山・・・甲武信小屋・・・甲武信ヶ岳・・・甲武信小屋
【2日目】
甲武信小屋・・・巻き道分岐・・・合流点・・・徳ちゃん新道
総歩行距離:約11,100m
累積標高差:上り 約1,549m 下り 約1,549m
コース定数:34
なお(読者レポーター)

なお(読者レポーター)

神奈川県藤沢市を拠点に、夏はアルプス、秋〜春は関東近郊や九州の山に夫婦で登っています。特に北アルプスと伊豆が好きです。

この記事に登場する山

埼玉県 山梨県 長野 / 関東山地

甲武信ヶ岳 標高 2,475m

 松平定能篇輯の『甲斐国志』はこの山のことを奥仙丈山と記載している。拳岳と表記する文献もあるようだ。奥秩父連峰を代表する山で、金峰山とともに人気が高い。  甲武信ヶ岳へ登るには千曲川の源流をたどるのが一番楽である。毛木平からは奥秩父らしい登山道をたどることができる。  下山路としては北へ延びる山稜をたどって十文字峠から栃本へ下って行くか、南へ戸渡尾根を下って広瀬へ出る方法がある。あるいは山稜を西へ歩き、大弛小屋に泊まり、国師ヶ岳、金峰山を踏んでから金山平へ下るのも試みたいが、ロングコースとなる。  甲武信ヶ岳からの富士山の展望は定評のある風景として知られている。  コースタイムは信濃川上駅から梓山、毛木平を経て甲武信小屋に泊まり、戸渡尾根、広瀬まで約11時間。

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