御射鹿池と蓼科山の紅葉を訪ねて【紅葉レポート】

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読者レポーターより登山レポをお届けします。白麻佑季さんは蓼科山(たてしなやま。2531m)へ。

文・写真=白麻佑季


茅野市の御射鹿池(みしゃかいけ)の紅葉が見頃を迎えたということで、御射鹿池周辺の散策と近くの山を一緒に登ることにした。

東山魁夷の代表作「緑響く」のモチーフとなった御射鹿池に到着すると、駐車場は予想外に空いており湖畔の観光客も少なかった。どうやら紅葉の見頃にはいささか早かったようだ。少し残念だったが、湖面に写った木々は美しかったのでよしとした。

御射鹿池
御射鹿池

御射鹿池から横谷(よこや)渓谷を1時間ほど散策する予定で、近くのおしどり隠しの滝まで歩いて行くと、なんと大雨の影響で橋が流され、その先に進めなくなっていた。横谷展望台からの紅葉も見たかったのだけれど、轟々と流れるおしどり隠しの滝と紅葉は見られたのでこちらもよしとした。

おしどり隠しの滝
おしどり隠しの滝

駐車場に戻って道の駅ビーナスライン蓼科湖に向かった。おのずと蓼科湖に期待が高まったのだが、またしても真っ赤に紅葉していたのは一本だけ! 紅葉は求めず朝から山登りすればよかったかしら……。

ただ、快晴の青い空と整備された美しい公園は圧巻で、あまりにも気持ちがよかったので、しばらく芝生の上でヨガをして体を伸ばすことに。

道の駅ビーナスライン蓼科湖から蓼科山
道の駅ビーナスライン蓼科湖から蓼科山

この時は、この後に登る山をまだ決めあぐねていた。候補は北横岳(きたよこだけ)か蓼科山。

蓼科山は雪がある時期の方が歩きやすいし、すずらん峠園地の駐車場が満車の可能性もなきにしもあらず。なにかと便利な北横岳の方に気持ちは傾いていたのだが、木々の間から見える蓼科山を見ているうちに登りたくなってきた。

駐車場が満車だったらUターンして北横岳に変更しよう。とりあえず蓼科山に向けて出発した。

紅葉した木々
登山開始直後から紅葉した木々

11時過ぎ。すずらん峠園地駐車場には10台ほどしか車が停まっておらず、意外と登山者が少ないことに驚いた。

登山を開始すると紅葉した木々が数多くあって 、これは蓼科山で正解だったなと登山開始直後からテンションが上がった。

黄色く色づいたブナなど
黄色く色づいたブナなど

蓼科山は何度も登っているが、冬場以外にすずらん峠から蓼科山に登ったのは、記録を見返すと3年半ぶりだった。紅葉の時期は初めてで、こんなにきれいだとは知らなかった。

紅葉エリアを登り切ると、しばらくは平坦な登山道を歩いた。

蓼科山はコケも楽しめる
蓼科山はコケも楽しめる

幸徳平まで1時間ほど登るとコケが増え、コケ好きにはたまらないエリアに入る。興奮してコケを愛でながら進んで行くと、今度は岩が増えて急登になる。時々振り返って蓼科湖を見下ろしては休みながら息を整えた。

蓼科湖や中央アルプスを眺める
蓼科湖や中央アルプスを眺める

登り続けるとさらに急な登りになり、岩も大きくなって登りづらくなる。呼吸も上がるが、ここを乗り切れば森林限界を越えて一気に展望が開けるので、それを楽しみに一歩一歩登っていった。

山頂手前の岩稜帯
山頂手前の岩稜帯

数人の登山者とすれ違った。久しぶりにここを歩いたからなのか、以前より歩きにくく、足元を確認しながら慎重に進んでいった。

蓼科山山頂と北八ヶ岳
蓼科山山頂と北八ヶ岳

山頂に到着すると、近くには数人、山頂全体でも10名程度と登山者は少なかった。昨年秋、北横岳と蓼科山を繋いだ時の蓼科山山頂は、登山者が多くて落ち着かなかったので、この時はずいぶんゆったりしていた。

蓼科山山頂から北信の山々
蓼科山山頂から北信の山々

広い山頂を少しだけ散策。山頂標識から蓼科神社奥宮、そして少し右方向に歩いた。北信の山かなあ、くらいの認識しかないのだけれど、どこもすばらしい眺望だった。

南八ヶ岳をバックにヨガ
南八ヶ岳をバックにヨガ

蓼科山に初めて登ったときは、遠くから見るとなだらかな山容なのに、山頂一帯は岩だらけで軽くショックを受けたことを思い出した。

冬になると雪が積もってこのゴツゴツした岩場も少し平らになるので、ヨガをすることも多いのだが、南八ヶ岳がきれいに見えていたし天気がよかったので、南八ヶ岳と一緒にヨガを行なった。同じ日に蓼科山と蓼科湖、両方でヨガをしたレアな日となった。

復路の苔エリア
復路の苔エリア

山頂を充分楽しんだので下山を開始。冬場は雪の上をグリセードで下れるが、今は雪がないので、岩場を下りるのに時間がかかったし疲れてしまった。そういう面では蓼科山は冬場の方が好きだけれど、今この時期だからこその紅葉やコケを見ることができてしあわせだった。やはり季節ごとによさがある!

登山口近くの紅葉
登山口近くの紅葉

夕方まで晴天が続いてくれたおかげで、下山まで楽しめて大感謝の一日だった。

(山行日程=2025年10月23日)

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 5時間10分
行程:蓼科山登山口・・・標高2113m地点・・・蓼科山・・・標高2113m地点・・・蓼科山登山口
総歩行距離:約5,900m
累積標高差:上り 約822m 下り 約822m
コース定数:20
白麻佑季(読者レポーター)

白麻佑季(読者レポーター)

中央&南アルプスに挟まれた、長野県上伊那郡在住。ヨガを仕事にしていて山でもヨガをするのが趣味。さまざまな自然が身近にあるおかげで、毎日元気にゆる~く生きてます。

この記事に登場する山

長野県 / 霧ヶ峰・八ヶ岳

蓼科山 標高 2,531m

 八ヶ岳連峰の最北端、長野県茅野市と同北佐久郡立科町との境に位置する蓼科山は、コニーデ型の山容をした信州きっての名山のひとつで、諏訪富士とも呼ばれている。また、高井山、飯盛山(いいもりやま)、黒斑山、女ノ神山などの別称もある。山頂は岩石累々とした偏平な噴火口跡で、中央に蓼科神社奥宮の石祠がある。  山頂からの展望は、八ヶ岳連峰をはじめ浅間山、霧ガ峰、美ガ原、北アルプスなど360度である。ツガやシラビソなどの山腹には、縞枯現象も見られ、北麓の湿原帯、御泉水(ごせんすい)周辺には、レンゲツツジ、コバイケイソウ、マツムシソウなどが咲き乱れる。  親湯(しんゆ)から女神茶屋経由4時間、蓼科山7合目から2時間強、大河原峠から2時間弱の行程で山頂に達する。  天祥寺原を流れる滝ノ湯沢からは、縄文時代の生活遺物が発見されており、太古への夢をかき立てられる所である。

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