なんとなく腰や膝に不安という登山者必見! 「おしり歩き」で骨盤回りの動きをスムーズにして歪みを解消

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次の登山までにやっておきたい「登山ボディのリセット&メンテナンス術」を登山ガイドのヤッホー!! さんが伝授します。第2回は腰・膝に影響が出やすい「骨盤回り」の動きをスムーズにして、歪みを解消させる「おしり歩き」。日常のクセが影響しやすい股関節の動きを考えてみましょう。

写真/山田慎一郎 モデル/一瀬立子

 

「骨盤回り」の動きをスムーズにして、歪みを解消

なんとなく腰や膝に不安を抱えている――、そんな登山者は多いのではないでしょうか? 荷物の軽量化や正しいパッキングで腰の負担を少なくしたり、歩き方を改善して膝への負担を少なくしたり、いろいろな努力をしてもしっくりいかない。

特に大きなケガや炎症、関節の変形もないため、「ただの使いすぎかな?」「もう若くないからなぁ」と考えて、やり過ごしている方も多いのではないでしょうか? 

こうした腰や膝への不安の原因は、もしかすると「登山」ではなく「日常生活」にあるのかもしれません。座りっぱなし・立ちっぱなしであまり動かない人や、足を組むなどの日常生活のクセが、まわりまわって腰や膝に影響することがあります。

そこで今回は、日常のクセが影響しやすい股関節の動きを考えてみましょう。

股関節の動きには「屈曲、伸展、内旋、外旋、外転、内転」という6つの動きがありますが、それぞれの動きに対して、いくつもの筋肉が関わっています。

ずっと同じ姿勢を続けていたり、誤った姿勢で体を動かし続けていたりすると、筋肉の使い方に偏りが生まれます。使いすぎの筋肉は収縮してこわばり、使わない筋肉もまた委縮してこわばります。

こわばった部分をストレッチするという考え方は間違っていませんが、筋肉の使い方の偏りを改善しない限り、また元に戻ってしまいます。この偏ったこわばりが骨盤回りの歪みにつながっているのです。

骨盤が歪み、左右の高さに違いがでると、いわゆる「足の長さが違う」という状態(本来、足の長さは変わりませんが、付け根である股関節の位置がずれているので足の長さが違っているように見える状態)になります。

この状態で山に登ってしまうと、正しいフォームで歩いているつもりでも、腰や片方の足に大きな負担がかかります。普段は周りの強い筋肉によって補助されているので痛みを感じることがなくても、登山によって疲労した時に、痛みを感じるようになります。

普段あまり使わない筋肉をしっかりと動かし、「骨盤回り」の動きをスムーズにして、歪みを解消させるエクササイズが、以下の紹介する「おしり歩き」です。すでに動きが硬く、うまく出来ない人は、椅子バージョンから始めてください。

 

■おしり歩き

両脚の膝を伸ばして座ります。

つま先を上に向けたまま、左右交互におしりを動かして、前に10歩進みます。

同じく、左右交互におしりを動かして、後ろに10歩戻ります。

これを繰り返し、一日3~5セット行います。

 

■おしり歩き:椅子バージョン

椅子に浅く腰掛けます。

つま先は前に、脚は腰幅で水平にします。

足の裏をしっかりとつけたまま、左右交互、おしりを前後に動かす。

この動きを20回で1セット、一日3~5セット行います。

 

日常生活のクセを直して、使わない筋肉も定期的に動かすことが大切です。登山ボディをリセット&メンテナンスして、次回も安全登山を心がけましょう。

プロフィール

いきいき登山ガイド・ヤッホー!!さん

本名:芳須勲。横浜市金沢区在住。管理栄養士・健康運動指導士・登山ガイドの資格を持ち、中高年登山者の健康づくりを、栄養と運動の両面からサポート。
山ごはん・アウトドア料理を得意とし、災害時における野外炊飯法などの講習会も各地で行なっている。
著書に山登りABC「登山ボディのつくり方」(山と溪谷社)、山登りABC「もっと登れる山の食料計画」(山と溪谷社)など。
⇒ホームページInstagram

登山ボディをリセット&メンテナンス!

管理栄養士・健康運動指導士・登山ガイドの資格を持ちながら、楽しく安全な登山を案内する「いきいき登山ガイド・ヤッホー!!さん」こと芳須勲ガイドが、身体のリセット・メンテナンスの面から登山のトレーニングを指南。登山のための身体づくりを目指そう!

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