西日本で最も過酷な「大峯奥駈道 全100km縦走」を含む、7、8月の旅。 日本3百名山ひと筆書き、田中陽希さん旅先インタビュー

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―― 京都から滋賀県に入って、最初の山が比良山地の蓬莱山でした。

蓬莱山へは、南の権現山から縦走していきました。自然林のとても豊かな山で、山上はササ原がゆるやかに広がる素晴らしい山でした。蓬莱山の山頂に出ると琵琶湖が広がって見えましたが、同時に、ロープウェイから登ってきた観光の方が多くなりました。

琵琶湖を眼下に見渡せる絶景を求めてくるのだと思いますが、蓬莱山の自然の本当の素晴らしさは、縦走することで感じられると思います。

 

 

蓬莱山は南西の権現山から縦走。蓬莱山の自然の素晴らしさを感じることができた

 

―― その蓬莱山で下山中に転倒し、手の指の骨を骨折してしまいましたね。

下山時にバランスを崩して手をついたのですが、下山後、診療所でレントゲンも撮って診てもらったところ、右手薬指の骨を骨折してしまったことがわかりました。数日でギプスで固定をして、このまま三百名山を登り続けられるのかを考えました。

幸い、この先しばらくの登山は、鎖場などで手を使う山は少なく、また、藪こぎで、木を掴んでよじ登るというようなところもなさそうだと判断して、続けることにしました。

今回の旅で初めてのアクシデント、右手薬指を骨折してしまう。ギプスで固定し「右手がボクサーのよう」

次の武奈ヶ岳は、骨折してわずか2日後で、不安を抱えながらの登山になってしまいました。

二百名山のときに一度登っている山ですが、今回は、花崗岩の白い山容、山頂近くの固有種でとても太いアシウスギ(芦生杉)の林など、以前とは違う姿を見ることができ、新しい魅力を感じることができました。

骨折後初めての山となった武奈ヶ岳、不安や葛藤があったに違いない

 

―― 計画とは違う形でしたが琵琶湖を渡って、滋賀の名山・伊吹山に登りました。

当初はパックラフトで琵琶湖横断を計画していましたが、指の骨折のためパックラフトは諦め、琵琶湖大橋を渡って琵琶湖の東側に出て、近江の名所にも立ち寄りながら、伊吹山に向かいました。 僕自身、伊吹山は4回目だったのですが、花をゆっくり眺めながら登ったのは初めてでした。

草原性の植物が豊富な伊吹山ではゆっくり花を眺めながらの登山となった

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田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き」旅先インタビュー

2018年1月1日から、日本三百名山を歩き通す人力旅「日本3百名山ひと筆書き グレートトラバース3」に挑戦中、田中陽希さんを応援するコーナー。 旅先の田中陽希さんのインタビューと各地の名山を紹介!!

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