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家族で100名山踏破Vol.2 意思統一、装備、経済編~ 現実的な難題をいかにして乗り越えたのか?

子供と一緒に山、行こう! 親子登山のススメ
ガイド・記録 2018年10月24日

登山経験はほとんどない中から「家族全員で百名山登頂」を思い立ち、さまざまな苦難に阻まれながらも5年の歳月をかけて達成した、unchikutareoさん一家。達成するには、家族全体の意思統一はもちろん、技術面や体力面はもとより、時間・経済事情など現実的な問題も立ちはだかる。いかにしてその苦難を乗り越えたのか? ご主人へのインタビューからその模様を振り返る。

 

使っていく中で気づいた、子供用の登山装備

子供と登山をしていく中で、判断が難しいのが登山装備をどこまで買い揃えるかだ。子供の成長は早いので、高価な登山装備を購入しても、あっという間に使えなくなってしまうことも多い。とはいえ、防水性や耐久性に不安のある「普段着」では安全面に不安が残る。

unchikutareoさんは、当初はウインドブレーカーやタイツなどの防寒製品は、同時に行っていたサッカーやスキー用品を転用していたという。一方で初めから登山用として購入したのは、登山靴、チェーンスパイク、ザックだった。

「重要な装備はしっかりしたものを買うようにしてました。靴はサイズの問題もありますが、年間20~30座登っていたため、ほぼ毎シーズン買い替えになったので大変でした。レインウェアなどは、娘のお古を自動的に息子が使用していました。下着はユニクロの速乾下着、ウェア一般はモンベル製品が多かったです」

当初は服装は「普段着」だったが、徐々に登山用になっていったという(5座目・天城山にて) ⇒登山記録はこちら


そんな形で少しずつ揃えていった登山装備だが、続けていく中でさまざまな気付きがあったという。

「子供は寒くてもあまり表現しないことも多く、濡れに弱いので、屋久島の宮之浦岳(18座目)あたりから、雨に対する装備も大人同様にしました。本格的に百名山をやるとなると、必然的に悪天候にも当たりますので、レインウェア上下、スパッツなどフル装備を用意するようにしました。また、子供用の商品には、中には完成度がイマイチなものもあったので、むしろ大人用のXSを調整して利用することも多かったです。こうした知見は、(九州や北海道などへの)遠征で気づいて、ターニングポイントになることが多かったです」

★前回記事:百の山・百の頂・百以上の想い出に、家族みんなで挑戦記

そして装備でもうひとつ大切なのは、やはり忘れ物をしないことだ。このあたりは子供たちに準備を徹底させていたという。

「忘れ物をした場合、子供用品は現地では入手しにくいものが多いので、靴下や下着の替えは必ず用意していました。登山前にバタバタするのを防ぐため、登山前の準備の際に子供自身で七つ道具と称して『帽子、手袋、ヘッドライト、レンウェア上下、スパッツ、サングラス、非常食』を必ずザックに入れるようにさせてました」

初の「遠征」となった屋久島・宮之浦岳(18座目)では、さまざまな気付きがあったという ⇒登山記録はこちら

 

家族登山の最大の難関は、学校や習い事との折り合い

家族で旅行となると、大きく立ちはだかるのがスケジュール調整だ。地域や学校にもよるが、土曜日に授業があるケースもあれば、週末には運動会や学芸会などの学校行事が行われることも多い。習い事もあるうえに、学業も疎かにできない。もちろん親の仕事の都合もある。こうした調整について、どのように行っていたのだろうか。

「小学校高学年以降になると、子供も部活や行事やらで忙しくなりますので、なるべく子供が小学生の間に達成したいと思ってました。ただ、私が土曜午前に仕事があるので、土日で1泊2日の山行というのが難しかったので、ほんとうに大変でした。そのため、基本は日帰り登山で行くようにして、あとは夏休みやゴールデンウィーク、祝日で連休になるところで連泊登山を計画しました。初夏~秋の登山シーズンは、日曜日のスケジュールが空いていれば100%、山でした」

年末年始の休みも、冬でも行ける百名山の美ヶ原(21座目)へスノーシューで ⇒登山記録はこちら


unchikutareoさん一家は東京在住、日本百名山は日本全国に広がっているので、日帰りで行くにも限界があるが、時間と距離を克服するために、さまざまな方法を駆使した。

「日帰り登山が可能なところは、普通のSUV車で行って無理やり車中泊もしました。そのため、天気が多少悪くても、突入してまうこともありました。ただ、私達が幸運だったのは、11月前半に子供に休みがあり、祝日と絡めて一般的なオフシーズン(宿も飛行機も安い)にプチ遠征ができたことです。屋久島や四国・中国地方への遠征は、この休みを利用しました」

と、休みを最大限に活用。さらに、雪のある冬や初春でも、チェーンスパイク&ダブルストックで大丈夫そうな山であれば、積極的に挑戦していったという。実際に登山記録を確認してみると、スノーシューで行った霧ヶ峰や美ヶ原、まだ雪の少ない1月の恵那山、ゴールデンウィーク中の登山規制前の至仏山、残雪残る3月の雲取山、5月下旬の東北・朝日連峰など、雪のある山に行った記録も少なくない印象だ。

ゴールデンウィークは貴重な登山時期。入山禁止直前の至仏山(25座目)は残雪の中を進んだ ⇒登山記録はこちら


それでもやはり、学業や学校行事との両立はたいへんだったそうだ。

「宿題などはテント内や山小屋の談話室、車中泊の車内、往復の電車飛行機内でやりました」と、まさに家族で獅子奮闘の登山だったという。それでも、子供が小学校高学年になると、いろいろな行事が重なってペースが落ちたそうだ。

 

もうひとつの難関、「経済的な問題」は、いかに対策?

全国を旅することになる日本百名山登頂、これが家族4人分となると、相当の経済的負担になる。unchikutareoさんも「結局、家族全員となると、ここが大事ですよね」と、その現実的な苦労を振り返る。

「小学生ならば飛行機、電車、旅館、山小屋も割引があります。そういう意味でも子供が小学生の間に達成するのが都合がいいのかもしれません。もちろん『宿泊はテント泊で移動は全部自家用車』というのが一番安いとは分かっていましたが、それを行うほど私達に体力はありませんでした。運転は妻も代わってくれましたが、ここは基本、父の仕事です。そのため、前述したように、子供の気分転換や親の体力保存も含めて、飛行機移動や旅館泊も組み合わせました。前日車中泊だと、妻は高山病になりやすくなるなどの問題もありましたから」

日帰りで行ける場所でも、安全面を考えて前日宿泊にすることも多かった(33座目・越後駒ヶ岳) ⇒登山記録はこちら


飛行機は早割チケットなどで節約したものの、そのぶん日程に融通がきかなくなり「遠征はやきもきしました」と、苦労も少なくなかったそうだ。ほかにも、「ビジネスホテルでは小学生は添い寝OKというところも多く、かなり安く済むので遠征では利用しました」や、「キャンプ場ではテント張らなくとも、ケビン(キャビン)などを利用しても4人で割ると結構安くなりました」と、出費を抑える努力は怠らなかった。

それでも、優先事項は、お金の節約ではないことを常に自分自身に言い聞かせながらの挑戦だったという。

「お金を削るか、時間を削るか、体力を削るか、安全を削るか、そのためにいくらまで掛けるか? という問題は常にありました。その辺は引率する親の経験値にもよると思いますが、子連れの場合は安全を担保するために、お金をかけざるを得ない部分も多かったです」と安全第一の姿勢は最後まで貫いた。

北海道は夏休み「遠征」を使って制覇した(写真は72座目・利尻岳) ⇒登山記録はこちら


安全面という意味ではガイド登山やツアー登山という選択肢もあったが、ガイド登山となったのは屋久島の1度だけだった。

「ツアー登山については出発日が限定(金曜夜発など)されてしまい、我々の場合は日程に合うツアーはほとんどありませんでした。家族単位での自由度が損なわれることや、家族だと意外に高額だったので利用しませんでした」

その一方で、ツアー登山は山行計画の情報収集としては大いに役立ったという。日程表のタイムスケジュール、立ち寄り温泉などの情報を確認することは、確実な計画の一助となったという。


第3回:家族全員日本百名山完登! ~いよいよ達成編へ

 

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