雪山に持っていく水の量は? 雪山での水分補給を考える

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雪山へ持っていく水の量

質問:今月、はじめて雪山登山へ連れて行ってもらいます。雪山に持っていく水の量って、何を基準にどれくらい用意したらいいですか?

 

意識的に水分を摂取しよう

どんな雪山に登るか・・・によって、状況は大きく変わりますが、夏と違って大量に発汗することは少ないので、“喉の渇きに応じて飲む”だけなら夏山より遥かに水分補給の量は減るはずです。

ただ、意識的に水分を補給しないと血液の濃度が濃くなることもあります。血流が悪くなり手足の先が冷えやすく凍傷になる可能性が高まること、また、血栓ができやすくなることを忘れないでください。基礎代謝に必要な水分も考えて、休憩の時、泊りであれば朝晩の食事時などは意識的に水分を摂るようにしたいものです。

 

携帯用の水(お湯)は保温ポットで

雪山の場合、気温が氷点下になる場合が多く、ペットボトルやプラティパスなどで長時間“水”を持ち歩くことは難しいです。ザックの外にぶら下げるなどするとたちまち凍ってしまいます。テルモスなどの保温ポットで携帯する必要があり、保温ポットでも必ずザックの中に入れるべきです。僕の場合、テルモスに古靴下を被せて保温性を高め、ザック内にしまっています。水の量の目安としては、行動中の飲料用として1日700ml以上は持ちたいです。

 

夏の水場は凍結しているケースが多い

水場は、大きな谷などであれば使えるでしょうが、夏でも水量の少ない水場は寒気の強い雪山では多くが凍結し、利用できない場合がほとんどです。通年営業の山小屋では水(お湯)を有料で分けてもらえます。テント泊の場合は、飲料用の他に炊事に使う水も含めて、一般的には雪を融かして使うことになります。コンロ、コッフェルの準備の他に、想像以上に燃料も消費することをお忘れなく。

テント泊では、朝夕の食事用、お茶などの飲料用、翌日の行動用など、
一人あたり2.5L程度は水が必要。雪を融かすのも大変な仕事
テント泊では、朝夕の食事用、お茶などの飲料用、
翌日の行動用など、一人あたり2.5L程度は水が必要。
雪を融かすのも大変な仕事

 

プロフィール

山田 哲哉

1954年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。 著書に『奥多摩、山、谷、峠そして人』『縦走登山』(山と溪谷社)、『山は真剣勝負』(東京新聞出版局)など多数。
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