呼吸筋のリセットで体幹を安定させて、疲れ知らずのボディをつくろう!

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呼吸には「腹式呼吸」と「胸式呼吸」の2種類があるのをご存じだろうか。意識的に呼吸を整えれば、体幹を整え、姿勢を整えるということにつながり、ケガの予防や疲労の軽減も期待できるという。今回はより深い「深呼吸」を意識する方法を伝授する。

 

ふだん何気なく行っている呼吸は、肺が自らの力で膨らんだり縮んだりするのではなく、周りにある筋肉の活動よって行われています。

呼吸にかかわる筋肉(呼吸筋)はたくさん存在しますが、代表的な筋肉が「横隔膜」と「外肋間筋」です。横隔膜は名称に“膜”とありますが、れっきとした筋肉です。胸郭の下部にあるドーム型の筋肉で、収縮すると胸腔を広げて空気を取り込み、弛緩すると胸腔が狭まり、空気が排出されます。これを一般的に腹式呼吸と呼んでいます。

外肋間筋は、肋骨の間にある筋肉で、収縮すると肋骨を挙上して胸郭を広げます。これによって胸腔が広がり空気を取り込みます。外肋間筋が弛緩すると胸郭が狭まり、空気が排出されます。これが胸式呼吸と呼ばれています。

通常の呼吸では腹式、胸式どちらも使われている 画像素材:PIXTA


実際の呼吸では、腹式、胸式どちらか一方を使っているのではなく、併用して呼吸をしています(安静無意識の状態では腹式7割、胸式3割程度の割合で呼吸しています)。無意識の呼吸の場合、息を吸うときには上記の筋肉を使いますが、吐くときは筋肉を緩めるだけで呼気が外に出ていくため、いずれの筋肉も働いていません。

これに対し、意識して息を吐くときには「腹横筋」や「内肋間筋」といった筋肉が働きます。なかでも腹横筋は重要で、お腹のわきにあるコルセットのような筋肉です。

お腹のわきにあるコルセットのような筋肉が「腹横筋」 画像素材:PIXTA


意識して息を吐くことで腹横筋が収縮してコルセットが固定されるため、体幹を安定させることができます。よく「運動時の呼吸は、吐くことを意識せよ。」といわれるのは、速やかに呼気を排出することと、体幹を安定させること、2つの意味を持っているからです。

 

日常生活で、あまり運動をしなかったり、意識した深呼吸をしなかったりすると、呼吸筋の動きが悪くなってしまうため、いざ登山をした時にも息苦しさを感じやすくなります。また、呼吸を整えるということは体幹を整え、姿勢を整えるということにつながるので、ケガの予防や疲労の軽減も期待できます。

今回は日常生活で浅くなってしまった呼吸を3STEPでリセットして、横隔膜や腹横筋を強化させるような、より深い「深呼吸」を意識してみましょう。

 

【STEP1】腹式呼吸を意識する

膝を立て、仰向けに寝ます。

お腹に手を当てます。

ゆっくり大きく鼻から息を吸って、お腹を膨らませます。

ゆっくり大きく口から息を吐いて、お腹をへこまします。

これを3回繰り返します。

 

【STEP2】胸式呼吸を意識する

膝を立て、仰向けに寝ます。

みぞおち横の肋骨に手を当てます。

ゆっくり大きく鼻から息を吸って、胸郭を開きます。

ゆっくり大きく口から息を吐いて、胸郭を狭めます。

これを3回繰り返します。

 

【STEP3】腹式呼吸、胸式呼吸どちらも使って深呼吸をする

腹式呼吸、胸式呼吸を意識できるようになったら、今度は両方をつかって深呼吸してみましょう。胸郭もお腹も膨らませながら大きく息を吸い、胸郭もお腹もへこましながら大きく息を吐きます。これも3回繰り返します。慣れてきたら、立った状態、座った状態で行っても大丈夫です。また吐くときに口をすぼめるとより抵抗が加わるため、腹横筋に意識がしやすくなります。

呼吸は腹式、胸式、どちらが正しいというものではありません。併用して、たくさんの呼吸筋を動員させて、活性化させましょう。

日頃から呼吸筋を意識して歩くことで、体幹が強化され、登山の時に安定した姿勢で歩くことが出来るようになります。

登山ボディをリセット&メンテナンスして、次回も安全登山を心がけましょう。

プロフィール

いきいき登山ガイド・ヤッホー!!さん

本名:芳須勲。横浜市金沢区在住。管理栄養士・健康運動指導士・登山ガイドの資格を持ち、中高年登山者の健康づくりを、栄養と運動の両面からサポート。
山ごはん・アウトドア料理を得意とし、災害時における野外炊飯法などの講習会も各地で行なっている。
著書に山登りABC「登山ボディのつくり方」(山と溪谷社)、山登りABC「もっと登れる山の食料計画」(山と溪谷社)など。
⇒ホームページInstagram

登山ボディをリセット&メンテナンス!

管理栄養士・健康運動指導士・登山ガイドの資格を持ちながら、楽しく安全な登山を案内する「いきいき登山ガイド・ヤッホー!!さん」こと芳須勲ガイドが、身体のリセット・メンテナンスの面から登山のトレーニングを指南。登山のための身体づくりを目指そう!

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