北アルプスの美しく迫力ある表情を映し出す場所。北アルプスの湖沼をめぐる10のコース

仙人池に映り込む裏劔の姿 写真/しげさん
文/編集部
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火山湖、堰止湖、最奥の地――。北アルプスの山麓や稜線に点在する池の畔に立つ、至福の山旅への誘い

北アルプスと聞いて、どんな風景が思い浮かぶだろうか? 険しい岩稜の峰々、天を突くような鋭鋒、残雪と緑のコントラストが鮮やかな山肌、斜面に広がる美しいお花畑――、さまざまな風景が思い浮かぶはずだ。そして、こうした景観の1つに忘れてはいけないのが、山麓や峰々に点在する大小の湖沼だ。

八方尾根上にある八方池に映り込む白馬三山の姿(写真/やま さん

北アルプスは降雪の多い山域のため、雪解け水が豊富だ。こうした水が窪地に溜まり、やがて池となったものもある。また、火山活動によってできた火山湖も点在する。

北アルプスと聞けば、やはり数ある名峰に立つことが目的となってしまいがちだが、山間に佇む池の端で静かに過ごしてみるのも悪くはないだろう。

湖面に映りこむ峰々を楽しんだり、周囲に広がるお花畑を楽しんだりするなど、登山の疲れを水辺で癒やすのは贅沢な時間だ。今回は、北アルプスに点在する池に注目。池が生み出す鮮やかな景観を楽しめる、10コースを紹介する。

絵葉書のような風景が楽しめる、氷河公園・天狗平の天狗池(写真/Ellion さん

北アルプスの玄関口、上高地で大正池&明神池を散策

槍・穂高方面への登山の玄関口となる上高地。通過してしまうだけの登山者も多いが、登山前後に時間をかけてじっくり散策するのは興味深い。

上高地を訪れた際に、誰もが目にするのが大正池だろう。大正池は上高地の西側にそびえる焼岳が1914年に噴火した際に、土石流が梓川を堰き止めて誕生したもので、上高地にはなくてはならない景観となっている。

大正池越しに焼岳を眺めたり、西穂高から奥穂高へと続く迫力ある稜線を眺めたりと、河童橋付近とは違った上高地の景観を楽しみたい。上高地から大正池の間にある、田代湿原/田代池の散策も楽しめる。

大正池から望む焼岳(写真/カピトラ さん

なお、大正池へは、上高地からアクセスしても良いし、大正池バス停で下車して、ここから上高地まで散策しても良い。

また、上高地から槍・穂高方面に向かう途中にあるのが明神池だ。明神岳の岩壁直下に佇む明神池は、穂髙神社の神域とされている場所だ。明神池の畔に鎮まる穂髙神社奥宮は、北アルプスの総鎮守、海陸交通の守り神、結びの神が祀られる。神域となる池の畔に出るには拝観料が必要だが、池越しに眺める明神池を、ぜひ楽しみたい。

行程・コース

【1日目】上高地バスターミナルから大正池と明神池を散策
上高地バスターミナル(08:00)・・・田代橋(08:15)・・・田代池(08:35)・・・大正池(08:55)・・・田代池(09:15)・・・田代橋(09:35)・・・上高地バスターミナル(09:50)・・・河童橋(09:55)・・・明神(10:45)・・・明神池(11:00)・・・河童橋(12:05)・・・上高地バスターミナル(12:10)

高低図

関連する登山記録

美しい立山連峰を背景に楽しみたい、ミクリガ池&ミドリガ池

立山や剱岳方面の玄関口となる立山室堂には、ミクリガ池やミドリガ池が佇む。室堂平は噴火による溶岩によって形成された大地で、ファミリーで周辺の山々の景観を楽しんだり、高山植物を観察したり、ライチョウを探したりするのに適した場所だ。

室堂平のシンボル的な存在なのがミクリガ池で、約1万年前にできた周囲約630mの火山湖だ。青い湖面に雄大な山々を映し出しすい姿は神秘的。また、7月でも周囲には多くの雪が残り、融けたところから咲き出す高山植物の花畑も美しい。

まだ残雪の多い、7月下旬のミクリガ池に立山が映り込む(写真/マチピチュ さん

ミクリガ池の東側の浅い小さな池はミドリガ池で、池越しに眺める立山連峰がとくに美しい場所として知られる。静かな水面には立山の姿がくっきりと映り込む場所は、絶好のフォトスポットとなっている。

ほかにも、リンドウ池や血の池などの火口湖や、玉殿岩屋などの歴史スポットを、登山前後にゆっくりと散策するのも良いだろう。

ミドリガ池に映り込む立山連峰

行程・コース

【日帰り】花と展望と温泉の室堂平を周遊する
■総コースタイム 2時間40分、標高差+310m、-310m
室堂ターミナル(08:00)・・・立山室堂(08:10)・・・玉殿岩屋(08:15)・・・立山室堂(08:20)・・・立山室堂(08:22)・・・エンマ台(08:37)・・・雷鳥平(09:22)・・・エンマ台(10:22)・・・ミクリガ池(10:27)・・・室堂ターミナル(10:42)

高低図

湖面に映る白馬三山の眺めが象徴的な八方池&唐松岳

八方ゴンドラリフト、そして2本の登山リフトを乗り継ぎ、さらに1時間ほど八方尾根を歩くと現れるのが八方池だ。雪に押し出された土砂の堆積によってできた池で、1周約180mと小さな池だが、水面に映る白馬の山々は絶景。唐松岳へと登る登山者も、ここで足を止めて、その景観を楽しみたい。

八方池に映り込む白馬連峰の峰々(写真/大山クガイソウ さん

景観はもちろん、貴重な高山植物が数多く自生し、また池にはサンショウウオやモリアオガエルなども生息してる希少な自然環境となっている。

登山者であれば唐松岳登山へと足を延ばす際に立ち寄るのが一般的だが、初心者やファミリーでも、八方池までであれば、遊歩道が整備されているので、十分に楽しめる場所だ。

行程・コース

【1日目】八方池山荘から唐松岳へ
■総コースタイム 4時間5分、標高差+912m、-124m
八方池山荘(08:00)・・・第三ケルン(09:00)・・・丸山(10:40)・・・唐松岳頂上山荘(11:30)・・・唐松岳(11:50)・・・唐松岳頂上山荘(12:05)
【2日目】唐松岳から八方池山荘へ
■総コースタイム 2時間20分、標高差+810m、-22m
唐松岳頂上山荘(07:00)・・・丸山(07:40)・・・第三ケルン(08:40)・・・八方池山荘(09:20)

高低図

北アルプス第2の大きさを誇る白馬大池と栂池自然園を楽しむ

白馬大池は北アルプスで2番めの大きさを誇る山上湖だ。火山の噴出物により堰き止められてできたとされる湖で、そこに雪解け水が溜まってできたとされる池だ。周辺は遅くまで雪渓が残り、その周辺はハクサンイチゲやハクサンコザクラなどの高山植物の群落が見られる。また池にはサンショウウオが多く生息していて、覗き込めば目にすることも難しくはない。

湖畔には白馬大池山荘があり、宿泊はもちろんテント場も整備されているので、ここで一夜をゆっくりと過ごすプランを立たてみてはどうだろうか。

雷鳥坂から見下ろす白馬大池の全景(写真/shine4153 さん

登山口となる栂池からは3時間ほどのアクセスで到着するのでゆっくり過ごすには丁度よい。栂池自然園を散策してから訪れても良いだろう。

白馬大池から白馬岳へは約3時間半、雷鳥坂の美しい尾根歩きは爽快だ。一挙に登って下山することも可能だが、白馬山荘で稜線の宿泊を楽しみ、白馬周辺の風景を満喫したい。

 

行程・コース

【1日目】栂池自然園を散策後に白馬大池へ
自然園駅(08:00)・・・楠川(08:30)・・・浮島湿原入口(09:00)・・・展望湿原(09:40)・・・浮島湿原入口(10:15)・・・楠川(10:40)・・・天狗原(12:06)・・・白馬大池山荘(13:56)
【2日目】白馬大池から白馬岳へ
白馬大池山荘(07:00)・・・小蓮華山(08:50)・・・三国境(09:20)・・・白馬岳(10:20)・・・白馬山荘(10:30)
【3日目】白馬山荘から大雪渓を下山する
白馬山荘(07:00)・・・村営頂上宿舎(07:15)・・・葱平(08:15)・・・白馬尻(09:45)・・・猿倉(10:45)

高低図

新穂高温泉から鏡平・双六池を巡る

新穂高温泉から小池新道を通って、鏡平・双六山荘へと進むコースは、北アルプスの人気コースの1つだ。コースはやや長いものの、歩きやすいコースと抜群の景観は北アルプス登山の入門にもおすすめだ。

新穂高温泉から約6時間で到着する鏡平は、鏡池のほか、ひょうたん池など、大小さまざまな池が点在する場所で、池に映る槍ヶ岳「逆さ槍」を望むことができる場所として知られる。夏の花の時期はもちろん、ナナカマドやダケカンバに囲まれた池は秋は紅葉の美しい場所としても有名で、鏡平山荘でゆっくり宿泊するのもオススメだ。

鏡池に映り込む槍ヶ岳。絵葉書の中にいるような風景だ(写真/カピトラ さん

双六池は多くの登山者でにぎわう双六山荘の前に、静かに水を湛える小さな池だ。鏡平方面から歩き、双六山荘に近づいてくると見えてくる池と、その先に見える鷲羽岳の景観は見事で、テントの花が咲くテント場の情景と合わせて、夏の北アルプスの象徴的な姿を目にすることが出来る。

鷲羽岳と双六山荘、手前に見えるのがテント場と双六池だ(写真/かぐや姫さん

行程・コース

【1日目】新穂高温泉から鏡平を経由して双六小屋へ
■総コースタイム 7時間5分、標高差+1633m、-176m
新穂高温泉(08:00)・・・笠新道登山口(09:00)・・・わさび平小屋(09:20)・・・小池新道登山口(09:40)・・・秩父沢出合(10:50)・・・シシウドが原(12:05)・・・鏡平山荘(13:05)・・・弓折乗越(14:05)・・・双六小屋(15:05)
【2日目】双六岳を往復して新穂高温泉へ
■総コースタイム 7時間30分、標高差+508m、-1965m
双六小屋(07:00)・・・双六岳(08:00)・・・双六小屋(08:40)・・・弓折乗越(09:45)・・・鏡平山荘(10:25)・・・シシウドが原(11:05)・・・秩父沢出合(11:55)・・・小池新道登山口(12:35)・・・わさび平小屋(12:55)・・・笠新道登山口(13:10)・・・新穂高温泉(13:55)

高低図

北アルプス最大の池、風吹大池。静かな北アルプスを過ごしたい人向け

白馬連峰の縦走路から北東に大きく外れた、標高1778mにある風吹大池は、北アルプス最大の池であり、日本の高山湖沼の中でも最大の面積だという。

風吹岳(1,888m)や岩菅山(1,889m)などに囲まれている池は、噴火による溶岩で堰き止められたとされていて、風吹大池の周辺には、小敷池、血の池、神の田圃、科針池など、さまざまな小さな池も点在している。縦走路から外れているため、北アルプスの喧騒からは外れていて、繁忙期でも静かな山歩きを楽しめるのも魅力だ。

北アルプスの喧騒から離れた、秋の風吹大池

登山口となる栂池や蓮華温泉からは3~4時間で到着できるので日帰りもできるが、池の南端には風吹山荘が営業しているので、ここでゆっくりと静かな池の佇まいを楽しみたい。

夏の時期も良いが、秋の紅葉期はとくに美しい。池周辺にはナナカマド、カエデ、ダケカンバ、オオシラビソの樹木の植生が多く、池に映り込む紅葉は絶景となる。

行程・コース

【1日目】
自然園駅(08:00)・・・天狗原(09:10)・・・風吹天狗原(11:20)・・・風吹山荘(11:30)
【2日目】
風吹山荘(07:00)・・・風吹天狗原(07:50)・・・風吹大池入口(10:10)・・・蓮華温泉(10:40)

高低図

紅葉映える池越しに槍ヶ岳を見上げる圧巻の景観、天狗池

上高地から槍ヶ岳へと伸びる槍沢登山道から少し南側に外れた場所にあるのが天狗原だ。一帯は「氷河公園」とも呼ばれていて、氷河が刻んだカール形状の痕跡がくっきりと残っている。この地に佇む池が天狗池だ。

槍ヶ岳を望むのにベストシチュエーションの天狗原(写真/ウマウマ さん

天狗原は遅くまで雪が残る場所で、8月でも多くの残雪のある場所だ。そのため、天狗池が姿を現すのは8月中旬以降、ベストシーズンは9月に入ってからとなる。天狗原から見上げる槍ヶ岳は特に美しく、氷河に削られた岩に囲まれた池に映り込む槍ヶ岳と美しい紅葉を楽しみたい。

アクセスは槍沢登山道から1時間程度の往復で到着できるが、槍穂稜線から下降してアクセスすることもできる。

行程・コース

【1日目】
上高地バスターミナル(07:00)・・・河童橋(07:05)・・・明神(07:55)・・・徳沢(08:55)・・・横尾(10:05)・・・一ノ俣(11:05)・・・槍沢ロッヂ(11:45)
【2日目】
槍沢ロッヂ(07:00)・・・ババ平(07:30)・・・水俣乗越分岐(08:00)・・・天狗原分岐(08:50)・・・グリーンバンド(09:50)・・・槍ヶ岳殺生ヒュッテ(10:30)・・・槍ヶ岳山荘(11:30)
【3日目】
槍ヶ岳山荘(07:00)・・・槍ヶ岳(07:30)・・・槍ヶ岳山荘(08:00)・・・中岳(09:15)・・・天狗原稜線分岐(10:05)・・・天狗原(11:15)・・・天狗原分岐(11:45)・・・水俣乗越分岐(12:20)・・・ババ平(12:40)・・・槍沢ロッヂ(13:00)
【4日目】
槍沢ロッヂ(07:00)・・・一ノ俣(07:30)・・・横尾(08:20)・・・徳沢(09:30)・・・明神(10:30)・・・河童橋(11:20)・・・上高地バスターミナル(11:25)

高低図

鷲羽山頂から見下ろす美しい火山湖、鷲羽池へ

日本百名山の一座である鷲羽岳は、北アルプスの最奥の山の1つで、どの登山口からも遠い山だ。新穂高温泉から双六岳経由、折立から雲ノ平経由、高瀬ダムから野口五郎岳経由などが近いが、いずれも一般的には2泊3日は必要となる遠い山だ。

そんな奥深い山の山頂直下に姿を見せるのが鷲羽池だ。覗き込めばわかるとおり、鷲羽池は火山湖で、かつての噴火口だった様子が見て取れる。標高にすると2700mを越える場所にある、最奥の地を感じるにふさわしい池だ。

鷲羽池の先に槍ヶ岳を望む絶景(写真/さのすき管理人さん)

山頂から覗き込んでその様子を見るのが一般的だが、池まで降りることも可能だ。登山道を外れて標高差150mほどの道を慎重に進めば畔に立つことが出来るが、この距離・標高差は意外とキツい。しかし池から見上げる鷲羽岳は、他にはない景観を味わえることが出来る。

鷲羽池まで降りることも可能だ。鷲羽池越しに鷲羽岳を望む(写真/tok009さん

行程・コース

【1日目】
折立(08:00)・・・三角点(09:30)・・・五光岩ベンチ(11:00)・・・太郎平小屋(11:50)
【2日目】
太郎平小屋(07:00)・・・薬師沢小屋(09:20)・・・アラスカ庭園(11:40)・・・祖母岳分岐(12:20)・・・雲ノ平(12:35)
【3日目】
雲ノ平(07:00)・・・雲ノ平キャンプ場分岐(07:20)・・・祖父岳分岐(08:00)・・・祖父岳(08:40)・・・岩苔乗越(09:10)・・・ワリモ北分岐(09:20)・・・鷲羽岳(10:30)・・・三俣山荘(11:20)・・・巻道合流点(12:20)・・・黒部五郎小舎(13:20)
【4日目】
黒部五郎小舎(07:00)・・・黒部五郎岳(中ノ俣岳)(09:10)・・・黒部五郎ノ肩(09:20)・・・中俣乗越(10:30)・・・北ノ俣岳(上ノ岳)(11:50)・・・太郎平小屋(13:20)・・・五光岩ベンチ(14:00)・・・三角点(15:00)・・・折立(16:00)

高低図

北アルプス最奥の秘境、夢の平・竜晶池

北アルプスの最奥という表現が様々な箇所に対して付けられていることに対しては議論があると思うが、ここに紹介する夢の平・竜晶池は、そう表現するのに十分な場所にある。最奥と呼ばれる雲の平のさらに奥にある高天原のさらに奥の突き当りにある。

沢が堰き止められてできたという竜晶池周辺は夢の平と呼ばれ、灌木に囲まれた湿原になっていて、静かに水を湛えている。最奥に来たことを感じながら散策したい。池には薬師岳や赤牛岳が映り込み、神秘的な風景を見せてくれる。

静かに水を満たしている竜晶池。北アルプスの最奥を感じられる(写真/彼女の島々さん

アクセスは薬師沢から、もしくは雲ノ平からとなるが、いずれも相当の時間がかかる。無理のないスケジュールで計画を立てて、高天原山荘へ宿泊して最奥の温泉を堪能し、山旅の疲れを洗い流したい。

また高天原山荘から岩苔乗越への登山道には、水晶池という池もある。こちらも併せて訪れるプランも立ててみても良いかもしれない。

行程・コース

【1日目】折立から入山し太郎兵衛平へ向かう
■総コースタイム 4時間30分、標高差+1022m、-47m
折立(08:00)・・・三角点(09:30)・・・太郎平小屋(12:30)
【2日目】太郎兵衛平から薬師沢を経て大東新道を行く
■総コースタイム 8時間35分、標高差+857m、-1136m
太郎平小屋(07:00)・・・薬師沢小屋(09:20)・・・B沢出合(10:20)・・・高天原峠(13:40)・・・高天原山荘(14:40)・・・高天原温泉(14:50)・・・夢ノ平(15:05)・・・高天原温泉(15:20)・・・高天原山荘(15:35)
【3日目】高天原から雲ノ平を経て三俣山荘へ
■総コースタイム 6時間50分、標高差+926m、-423m
高天原山荘(07:00)・・・高天原峠(08:30)・・・雲ノ平(10:30)・・・徒渉点(12:50)・・・三俣山荘(13:40)
【4日目】三俣山荘から双六岳を経て新穂高温泉に下山
■総コースタイム 8時間15分、標高差+697m、-2169m
三俣山荘(07:00)・・・三俣蓮華岳(07:50)・・・双六岳(09:20)・・・双六小屋(10:00)・・・弓折乗越(11:05)・・・鏡平山荘(11:45)・・・シシウドが原(12:25)・・・秩父沢出合(13:15)・・・小池新道登山口(13:55)・・・わさび平小屋(14:15)・・・笠新道登山口(14:30)・・・新穂高温泉(15:15)

高低図

困難な谷を越えて辿り着く先にある絶景、仙人池

これまで紹介してきた北アルプスの池めぐりの中でも、最も行き着くのが困難と思われるのが、ここ仙人池だろう。剱岳の北東側、黒部渓谷と剱岳の間にある池だ。

その道程は遠く、室堂平から日本三大雪渓の1つである剱沢を通って、ようやく辿り着くのが仙人池だ。そして辿り着いた先から下山するのも遠い。来た道を戻ることもできるが、人気があるのは黒部渓谷を通って欅平方面へと下山するルートだ。険しく崩壊も激しい雲切新道を通り、ようやく辿り着いた黒部渓谷へから先は、緊張感漂う水平歩道(旧日電歩道)が待っている。難易度が高く気の抜けない道は、スリルと同時に、山歩きの楽しさを実感できるコースとなっている。

仙人池に映り込み裏剱が美しい(写真/すてぱん さん

標高2,080mにある仙人池からは、裏剱岳・剱岳八ツ峰の景色が美しい。裏剱岳の景色が映り込む風景は、絶好のフォトスポットで、雑誌やカレンダーで一度は見たことがあるほど、美しく迫力ある風景として有名だ。

また、仙人池から西に約1時間にある、池ノ平まで足を延ばすこともオススメだ。いずれも山小屋が営業しているので、どちらかに宿泊して、迫力ある剱岳の岩稜の景観を楽しみたい。

行程・コース

【1日目】室堂平から別山乗越を経て剱沢へ
■総コースタイム 3時間45分、標高差+599m、-506m
室堂ターミナル(08:00)・・・ミクリガ池(08:15)・・・エンマ台(08:20)・・・雷鳥平(09:05)・・・別山乗越(11:05)・・・剱澤小屋(11:45)
【2日目】剱沢から真砂沢をを経て仙人池へ
■総コースタイム 5時間55分、標高差+580m、-1026m
剱澤小屋(07:00)・・・平蔵谷出合(08:00)・・・長次郎谷出合(08:15)・・・真砂沢ロッジ(08:40)・・・二股(10:10)・・・仙人峠(12:40)・・・仙人池ヒュッテ(12:55)
【3日目】仙人池から雲切新道を阿曾原温泉へ
■総コースタイム 6時間、標高差+278m、-1498m
仙人池ヒュッテ(07:00)・・・仙人温泉(08:30)・・・仙人谷ダム(12:00)・・・阿曽原温泉小屋(13:00)
【4日目】阿曾原温泉から水平歩道を欅平駅へ
■総コースタイム 4時間30分、標高差+259m、-512m
阿曽原温泉小屋(07:00)・・・欅平(11:30)

高低図