登山者の多くは概ね有料化を支持。 埼玉県の防災ヘリ一部有料化に関するアンケート

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ヤマケイオンラインでは、2018年1月より施行されている「埼玉県防災航空隊の緊急運航業務に関する条例」の趣旨についてアンケート調査を実施した。その結果発表について、第1回の今回は有料化への賛否や、条例の効果についてのアンケート結果を公表する。

 

※写真はイメージです

 

2018年1月1日より、埼玉県の防災ヘリコプターによる山岳遭難救助を有料化する「埼玉県防災航空隊の緊急運航業務に関する条例」の施行が開始され、埼玉県の一部の山域では、防災ヘリコプターによる山岳遭難救を行った場合、原則として5分ごとに5000円の費用がかかることになった。

★関連記事:18年1月1日より埼玉県防災ヘリの山岳遭難救助が有料化

この賛否について、登山者の意見はどうなのだろうか? という疑問から、ヤマケイオンラインでは施行直後の2018年1月にアンケート調査を行い、1791名から回答を得た(アンケートの質問内容はこちら)。

アンケート結果を発表する前に、まずは「埼玉県防災ヘリの山岳遭難救助の有料化」が決まった経緯について簡潔に説明したい。

首都圏から近く、気軽にハイキングできる魅力的な山の多い埼玉県の山。その一方で、難易度の高い山も決して少なくなく、条件の良さから気軽な気持ちで入山してしまう登山者も散見される。近年では山岳遭難の件数が増加し、防災ヘリが救助に向かう件数が増え、行政の予算を圧迫する傾向になっていた。

そんな中で起きたのが2010年7月に、笠取山ブドウ沢付近で起きた防災ヘリの墜落事故だ。山岳遭難救助中にヘリが墜落し5名の救助隊が亡くなる痛ましい事故が1つのキッカケとなり、埼玉県では山岳遭難における緊急運航の有料化について検討を開始。2017年3月には「埼玉県防災航空隊の緊急運航業務に関する条例」の改正案が成立し、2018年から“防災ヘリ有料化”が始まっている。

本条例の施行は、遭難救助費用財源確保の目的としてだけではなく、登山者への安全登山の啓発の側面も大きいとされている。無謀な登山の減少を促すだけではなく、山岳保険への加入の促進や登山届の提出の徹底などへの効果も期待しているとされる。また、有料化により「安易な救助要請」も減るのではないかと期待されている。

こうした条例の趣旨や狙いについて確認したのが今回のアンケートだ。本記事ではアンケート結果の前半部分を紹介したい。なお、本アンケート結果は以下のプロフイールの通り、「登山愛好者」の意見となっている。登山に造詣のない人の一般的な意見とは違いがあることをご理解いただきたい。

 

 

 

登山愛好者の85%が有料化を概ね支持。その効果については意見が別れる

最初の質問は「埼玉県の防災ヘリコプターの一部有料化についての賛否」だ。結果は「支持する」が57%、「どちらかといえば支持する」(27%)とあわせて84%が、有料化について支持している結果となった。

 

一方で狙いとする効果については意見が別れている。「無謀登山の減少に繋がると思うか?」については、「思う・どちらかといえば思う」(44%)と比較すると、「思わない・どちらかといえば思わない」(53%)が多くなっている。

 

その一方で、「安易な救助要請の減少に繋がると思うか?」については「思う・どちらかといえば思う」(76%)が、「思わない・どちらかといえば思わない」(22%)を大きく上回っている結果となった。安易な救助要請への効果は期待できるが、無謀な登山の減少には繋がらないと考えている登山愛好者が多いという結果となった。

 

アンケート結果の続きは第2回にて。

 

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