奥深い山々に紅葉が映える南アルプス南部エリア【紅葉コースガイド2025】

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南アルプス南部は、北部と比較するとアプローチの手段も限られており簡単には行けないが、その奥深く山々には独特の魅力があふれている。このエリアに精通する岸田明さんが絶景の紅葉ルートを紹介する。

文・写真=岸田明

目次

深紅に染まる南アルプスの極みに立つ 赤石岳(あかいしだけ)

南アルプス/3121m
 9月下旬~10月上旬

白峰南嶺転付峠付近から見た赤石岳
白峰南嶺転付峠付近から見た赤石岳

赤石岳は、山体も大きく南アルプスの盟主としての存在感は大きい。特に山頂部は南北に長く広く、秋の朝日を真正面から浴びて真っ赤に染まるその山頂部は、まさに赤石の名前を具現した姿だ。ただし、赤石という山名の由来は、椹島(さわらじま)脇を流れる赤石沢の源頭にあること、また赤石沢は沢筋に赤色チャート多く見られることに由来している。椹島からの登山道は、旧東海パルプの創業者・大倉喜八郎が、90歳で篭と最後は背負子でおんぶされて登頂した歴史あるルート。赤石小屋までは樹林帯の急登、富士見平で富士山と眼前に壁のように迫る赤石岳山頂部を見る。以降ラクダの背のトラバース道を行き、最後急登で山頂稜線に至る。なおこのコース設定は赤石小屋2泊としているが、シュラフ、水と食料を担ぐ体力があれば、山頂避難小屋に泊まるといいだろう。三六〇度の展望の山頂からは夕には赤富士、夜中には満天の星、そして御来光と、登山者の一生の思い出になる一夜が待っている。

富士見平から見上げる赤石岳山頂部
富士見平から見上げる赤石岳山頂部
赤石岳山頂部より見下ろす大倉尾根、そして笊ヶ岳と富士山
赤石岳山頂部より見下ろす大倉尾根、そして笊ヶ岳と富士山

MAP&DATA

高低図
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最適日数:2泊3日
コースタイム: 【1日目】5時間
【2日目】5時間25分
【3日目】3時間50分
行程:【1日目】
椹島ロッヂ・・・樺段・・・赤石小屋
【2日目】
赤石小屋・・・富士見平・・・赤石小屋分岐・・・赤石岳・・・赤石小屋分岐・・・富士見平・・・赤石小屋
【3日目】
赤石小屋・・・樺段・・・椹島ロッヂ
総歩行距離:約16,200m
累積標高差:上り 約2,588m 下り 約2,588m
コース定数:58
アドバイス:赤石小屋は10月12日まで営業。9月22日までの宿泊、送迎バスともにネット/電話予約が必要。9月23日以降は当日受付、ただし10月11日、12日泊は電話予約が必要。ここでは赤石岳ピストンとしているが、荒川岳への縦走はさらに魅力的で、荒川小屋、千枚小屋も赤石小屋と同期間営業していて、利用できる。なお近年は自転車での入山者も多いが、アップダウンがきつく、山岳ツーリングが不慣れであればおすすめできない。
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プロフィール

岸田 明(きしだ・あきら)

東京都生まれ。中学時代からワンゲルで自然に親しんできた。南アルプス南部専門家を自認し、今までに当山域に500日以上入山。著書に『ヤマケイアルペンガイド南アルプス』(共著・山と溪谷社)、『山と高原地図 塩見・赤石・聖岳』(共著・昭文社)のほか、雑誌『山と溪谷』に多数寄稿。ブログ『南アルプス南部調査人』を発信中。山渓オンラインに記事多数投稿。また最近は四国遍路の投稿が多い。

四国遍路の記事:https://www.yamakei-online.com/yama-ya/group.php?gid=143/

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