奥深い山々に紅葉が映える南アルプス南部エリア【紅葉コースガイド2025】

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

南アルプス南部は、北部と比較するとアプローチの手段も限られており簡単には行けないが、その奥深く山々には独特の魅力があふれている。このエリアに精通する岸田明さんが絶景の紅葉ルートを紹介する。

文・写真=岸田明

目次

富士山、駿河湾そして南アルプス南部遠望の山 真富士山(まふじやま)

安倍奥/1343m
 10月下旬~11月中旬

真富士山山頂から富士山と愛鷹山
真富士山山頂から富士山と愛鷹山

南アルプス、特にその南の末端である安倍奥は、富士山を間近に見ることができる山が多い。真富士山という名前は、好事家からすると少し照れてしまうような山名であるが、真富士山はまさにそのすばらしさを直球でぶつけてくる山である。さらに真富士山は、駿河湾のパノラマはもとより、南アルプス南部の山々も遠望でき、まさに“山椒は小粒でビリリと辛い”名山である。登山口は何カ所かあるが、マイカー登山の場合、第3駐車場に停めて登ればよいだろう。標識に従って登れば迷うことなく山頂に着く。真正面にドンと富士山が鎮座している。登山道は途中は針葉樹が多いが、稜線は広葉樹の黄葉が楽しめる。もし物足りなければ、東山稜を南に静岡市に向かって下れば、縦走の醍醐味も味わうこともできる。また登山道には観音石仏があるので、一仏ずつお参りしながら登るのもまた別の感慨を得ることができるだろう。

真富士山から見た南アルプス南部の展望。左から大無間山、奥には主脈の光岳から悪沢岳、その右には笊ヶ岳まで見える
真富士山から見た南アルプス南部の展望。左から大無間山、奥には主脈の光岳から悪沢岳、その右には笊ヶ岳まで見える
登山道にある三十三観音の石仏
登山道にある三十三観音の石仏

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 3時間5分
行程:第三登山口・・・ヲイ平・・・ヲイ平下降点・・・真富士山・・・真富士山神社奥ノ院・・・ヲイ平・・・第三登山口
総歩行距離:約14,400m
累積標高差:上り 約648m 下り 約648m
コース定数:14
アドバイス:安倍奥東山稜は各ピークめざして日帰りで登られることが多いが、ツツジ、ブナなどの植生も豊かなすばらしい尾根で、安倍峠からスタートし静岡市浅間神社まで幕営で縦走すれば、四季を通じて味わい深い充実感のある山旅になるだろう。なおヲイ平下降点から北へ行くと第二真富士山があるが、ルートは厳しい岩場で、登りはともかく下りが非常に危険なので、初心者は避けるべきだ。
3 4 5 6 7

目次

プロフィール

岸田 明(きしだ・あきら)

東京都生まれ。中学時代からワンゲルで自然に親しんできた。南アルプス南部専門家を自認し、今までに当山域に500日以上入山。著書に『ヤマケイアルペンガイド南アルプス』(共著・山と溪谷社)、『山と高原地図 塩見・赤石・聖岳』(共著・昭文社)のほか、雑誌『山と溪谷』に多数寄稿。ブログ『南アルプス南部調査人』を発信中。山渓オンラインに記事多数投稿。また最近は四国遍路の投稿が多い。

四国遍路の記事:https://www.yamakei-online.com/yama-ya/group.php?gid=143/

紅葉名山ガイド

全国各地の紅葉名山をご案内。

編集部おすすめ記事