何度も歩きたい日本百名山・大菩薩嶺。初心者の日帰り登山から健脚向きのロングコースまで紹介

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

初心者にも中級者にも大人気の大菩薩嶺(だいぼさつれい)。王道コースから、健脚向きロングコースまで5コースを紹介します。

文=鈴木志野、写真=サンシマ

目次

石丸峠から小金沢連嶺を縦走する健脚向きコース[中級]

大菩薩嶺からは南にも長大な尾根が続いていて、この尾根は小金沢連嶺(こがねざわれんれい)とも大菩薩連嶺とも呼ばれていて、JR中央本線まで歩いていける。もし足に自信があるなら、この南へと続く尾根を進んでみたい。

石丸峠からは小金沢山(こがねざわやま)、牛奥ノ雁ヶ腹摺山(うしおくのがんがはらすりやま)、黒岳(くろだけ)、湯ノ沢峠(ゆのさわとうげ)へと進み、やまと天目山温泉へと下山するのが一般的だ。小金沢山や牛奥ノ雁ヶ腹摺山、白谷ノ丸(しらやのまる)は富士山ビューの絶景ポイントとして知られ、稜線上では歩くごとに近づいてくる富士の雄姿を満喫できる。

白谷ノ丸(写真=yata

大菩薩嶺をバックに気持ちのいい稜線や森を歩く約7時間のコースを存分に楽しみたいが、やまと天目山温泉からJR甲斐大和駅まではバスの本数が少ないので注意が必要だ(徒歩だと1時間ほど)。

また、もし時間も体力もあるなら、湯ノ沢峠からさらに南下して滝子山(たきごやま)を経てJR中央本線の笹子駅をめざしたい。湯ノ沢峠は避難小屋、水場、駐車場、トイレがある休憩ポイントだ。

MAP&DATA

高低図
コース詳細ページへ
最適日数:日帰り
コースタイム: 6時間40分
行程:石丸峠入口・・・石丸峠・・・小金沢山・・・牛奥ノ雁ヶ腹摺山・・・黒岳・・・湯ノ沢峠・・・湯ノ沢峠登山口(舗装路出合)・・・やまと天目山温泉
総歩行距離:約14,454m
累積標高差:上り 約904m 下り 約1499m
コース定数:26
1 2 3 4 5

目次

この記事に登場する山

山梨県 / 関東山地

大菩薩嶺 標高 2,057m

 大菩薩峠の北にあり、三等三角点が埋められている。伝説によると、甲斐源氏の祖、新羅三郎義光が奥州に遠征時、道を失ったが、木こりに化けた軍神の導きでここを越えた。彼は軍神の加護に感謝し、八幡大菩薩の名を高らかに称えた。これが山名の由来とのこと。  戦前、戦後ともにハイキングのメッカであり、中腹まで車が使える昨今はなおのことである。この山が有名になったのは、なんといっても、大正2年に始まった中里介山の小説『大菩薩峠』によってであろう。中腹の勝縁荘(休業中)には介山直筆の「大菩薩峠勝縁荘」の扁額も残る。  山頂こそ展望には恵まれないが、南面の尾根筋はカヤトの原で、日川の谷を前景にした富士山をはじめ、西側の甲府盆地を下にして連なる南アルプスは、上河内岳から甲斐駒ヶ岳まで、まさに一目千両といった感じである。  さて、昔、奈良の大仏を見た甲州人が、その大きさに驚いた。ところが彼は、「甲州に来れば小仏でも三里、大菩薩となれば八里もある」とほざいたという。甲州人はなんと負け惜しみの強い人種だろうか。  登山口の裂石(さけいし)から大菩薩峠経由山頂まで4時間、同じく丸川峠からも4時間で山頂に達する。

今がいい山、棚からひとつかみ

山はいつ訪れてもいいものですが、できるなら「旬」な時期に訪れたいもの。山の魅力を知り尽くした案内人が、今おすすめな山を本棚から探してお見せします。

編集部おすすめ記事