何度も歩きたい日本百名山・大菩薩嶺。初心者の日帰り登山から健脚向きのロングコースまで紹介

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

初心者にも中級者にも大人気の大菩薩嶺(だいぼさつれい)。王道コースから、健脚向きロングコースまで5コースを紹介します。

文=鈴木志野、写真=サンシマ

目次

美容の湯としても人気の裂石温泉から丸川峠を経て周回するロングコース[中級]

大菩薩の魅力をたっぷり味わいたいなら、上日川峠の駐車場ができるまではメインの登山口だった標高900m付近の大菩薩峠登山口から周回するコースがおすすめだ。約7時間のロングコースとなる。

大菩薩登山口バス停前の番屋茶屋(写真=ジュンパク

登りはブナの森から始まり、丸川峠から大菩薩までの針葉樹やコケの森は暗くしっとりした山道になる。さらに大菩薩嶺から先のにぎやかで明るい雰囲気へと、劇的に変わる大菩薩嶺の両面を楽しむことができる。

大菩薩峠登山口から丸川峠までのブナの尾根道(写真=サンシマ
丸川峠から見る富士山(写真=ジュンパク

周回コースなのでバスでもマイカーでもアクセスできるのもうれしい。バスの場合は大菩薩峠登山口バス停で下車、車の場合は無料の丸川峠駐車場がある。下山前後には、美容の湯としても人気の裂石(さけいし)温泉雲峰荘にぜひ立ち寄りたい。

MAP&DATA

高低図
コース詳細ページへ
最適日数:日帰り
コースタイム: 7時間
行程:大菩薩峠登山口・・・丸川峠入口・・・丸川峠・・・大菩薩嶺・・・賽ノ河原・・・大菩薩峠・・・富士見山荘・・・福ちゃん荘・・・上日川峠・・・千石茶屋・・・丸川峠入口・・・大菩薩峠登山口
総歩行距離:約14,841m
累積標高差:上り 約1471m 下り 約1471m
コース定数:33
1 2 3 4 5

目次

この記事に登場する山

山梨県 / 関東山地

大菩薩嶺 標高 2,057m

 大菩薩峠の北にあり、三等三角点が埋められている。伝説によると、甲斐源氏の祖、新羅三郎義光が奥州に遠征時、道を失ったが、木こりに化けた軍神の導きでここを越えた。彼は軍神の加護に感謝し、八幡大菩薩の名を高らかに称えた。これが山名の由来とのこと。  戦前、戦後ともにハイキングのメッカであり、中腹まで車が使える昨今はなおのことである。この山が有名になったのは、なんといっても、大正2年に始まった中里介山の小説『大菩薩峠』によってであろう。中腹の勝縁荘(休業中)には介山直筆の「大菩薩峠勝縁荘」の扁額も残る。  山頂こそ展望には恵まれないが、南面の尾根筋はカヤトの原で、日川の谷を前景にした富士山をはじめ、西側の甲府盆地を下にして連なる南アルプスは、上河内岳から甲斐駒ヶ岳まで、まさに一目千両といった感じである。  さて、昔、奈良の大仏を見た甲州人が、その大きさに驚いた。ところが彼は、「甲州に来れば小仏でも三里、大菩薩となれば八里もある」とほざいたという。甲州人はなんと負け惜しみの強い人種だろうか。  登山口の裂石(さけいし)から大菩薩峠経由山頂まで4時間、同じく丸川峠からも4時間で山頂に達する。

今がいい山、棚からひとつかみ

山はいつ訪れてもいいものですが、できるなら「旬」な時期に訪れたいもの。山の魅力を知り尽くした案内人が、今おすすめな山を本棚から探してお見せします。

編集部おすすめ記事