何度も歩きたい日本百名山・大菩薩嶺。初心者の日帰り登山から健脚向きのロングコースまで紹介

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初心者にも中級者にも大人気の大菩薩嶺(だいぼさつれい)。王道コースから、健脚向きロングコースまで5コースを紹介します。

文=鈴木志野、写真=サンシマ

目次

広葉樹の森林が美しい牛ノ寝通りを歩き、小菅村へ下る健脚向きコース[中級]

アクセスのいい上日川峠を出発し、東側の小菅(こすげ)村に降りていくコースも魅力たっぷりだ。上日川峠から大菩薩嶺や大菩薩峠をめざすのは、ほかのコースと同様だが、大菩薩峠から石丸峠へと進んだ後には進路を東に取り、長大な牛ノ寝通りの尾根を下り小菅へと降りる。約6時間のコースのうち3分の2ほどは下りで、スリリングな場所は少ないが、14km以上と道のりは長く健脚向けのコースとなる。

牛ノ寝通りの紅葉(写真=kenken2
大ダワ(写真=ガバオ

牛ノ寝通りは、石丸峠付近から鶴峠の間にある標高1300~1400mの緩やかな尾根で、ブナやミズナラの広葉樹の巨木が明るい森をつくっている。紅葉はもちろん、新緑もすばらしいので、山小屋に泊まって時間をかけて歩くのもおすすめだ。

休耕中のワサビ田(写真=ガバオ

さらに、小菅には日帰り温泉施設の「多摩源流温泉 小菅の湯」があり、奥多摩行きおよび大月行きのバスが発着しているので、縦走登山者にはうれしい。小菅の湯で入浴や食事をして、長い山旅を締めくくるのもよいだろう。

MAP&DATA

高低図
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最適日数:日帰り
コースタイム: 6時間5分
行程:上日川峠・・・福ちゃん荘・・・富士見山荘・・・大菩薩峠・・・石丸峠・・・榧ノ尾山・・・大ダワ・・・小菅村役場前
総歩行距離:約14,334m
累積標高差:上り 約758m 下り 約1689m
コース定数:24
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この記事に登場する山

山梨県 / 関東山地

大菩薩嶺 標高 2,057m

 大菩薩峠の北にあり、三等三角点が埋められている。伝説によると、甲斐源氏の祖、新羅三郎義光が奥州に遠征時、道を失ったが、木こりに化けた軍神の導きでここを越えた。彼は軍神の加護に感謝し、八幡大菩薩の名を高らかに称えた。これが山名の由来とのこと。  戦前、戦後ともにハイキングのメッカであり、中腹まで車が使える昨今はなおのことである。この山が有名になったのは、なんといっても、大正2年に始まった中里介山の小説『大菩薩峠』によってであろう。中腹の勝縁荘(休業中)には介山直筆の「大菩薩峠勝縁荘」の扁額も残る。  山頂こそ展望には恵まれないが、南面の尾根筋はカヤトの原で、日川の谷を前景にした富士山をはじめ、西側の甲府盆地を下にして連なる南アルプスは、上河内岳から甲斐駒ヶ岳まで、まさに一目千両といった感じである。  さて、昔、奈良の大仏を見た甲州人が、その大きさに驚いた。ところが彼は、「甲州に来れば小仏でも三里、大菩薩となれば八里もある」とほざいたという。甲州人はなんと負け惜しみの強い人種だろうか。  登山口の裂石(さけいし)から大菩薩峠経由山頂まで4時間、同じく丸川峠からも4時間で山頂に達する。

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