何度も歩きたい日本百名山・大菩薩嶺。初心者の日帰り登山から健脚向きのロングコースまで紹介

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初心者にも中級者にも大人気の大菩薩嶺(だいぼさつれい)。王道コースから、健脚向きロングコースまで5コースを紹介します。

文=鈴木志野、写真=サンシマ

目次

大菩薩嶺から石丸峠まで足を延ばして草原を抜ける、気持ちのいいコース[初級]

コースの起点と終点は前述と同じ上日川峠だが、少しだけ大回りする本コースもオススメだ。大菩薩峠まで歩いて眺望を楽しんだ後は、さらに南に進み、石丸峠(いしまるとうげ)から上日川峠へ戻る。

石丸峠周辺に広がる草原(写真=くくーりん

熊沢山(くまざわやま)は樹林に覆われた林、石丸峠は草原歩きを楽しめる見渡すかぎりの笹原、さらにその先は新緑が美しいカラマツ林など、大菩薩嶺や峠周辺だけでなく、下山道も変化に富んでおもしろい。王道のコースとのコースタイムの差は30分程度、余裕のある人はぜひ大回りすることをおすすめしたい。

MAP&DATA

高低図
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最適日数:日帰り
コースタイム: 3時間45分
行程:上日川峠・・・福ちゃん荘・・・大菩薩嶺・・・賽ノ河原・・・大菩薩峠・・・石丸峠・・・石丸峠入口・・・上日川峠
総歩行距離:約8,399m
累積標高差:上り 約787m 下り 約787m
コース定数:18
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この記事に登場する山

山梨県 / 関東山地

大菩薩嶺 標高 2,057m

 大菩薩峠の北にあり、三等三角点が埋められている。伝説によると、甲斐源氏の祖、新羅三郎義光が奥州に遠征時、道を失ったが、木こりに化けた軍神の導きでここを越えた。彼は軍神の加護に感謝し、八幡大菩薩の名を高らかに称えた。これが山名の由来とのこと。  戦前、戦後ともにハイキングのメッカであり、中腹まで車が使える昨今はなおのことである。この山が有名になったのは、なんといっても、大正2年に始まった中里介山の小説『大菩薩峠』によってであろう。中腹の勝縁荘(休業中)には介山直筆の「大菩薩峠勝縁荘」の扁額も残る。  山頂こそ展望には恵まれないが、南面の尾根筋はカヤトの原で、日川の谷を前景にした富士山をはじめ、西側の甲府盆地を下にして連なる南アルプスは、上河内岳から甲斐駒ヶ岳まで、まさに一目千両といった感じである。  さて、昔、奈良の大仏を見た甲州人が、その大きさに驚いた。ところが彼は、「甲州に来れば小仏でも三里、大菩薩となれば八里もある」とほざいたという。甲州人はなんと負け惜しみの強い人種だろうか。  登山口の裂石(さけいし)から大菩薩峠経由山頂まで4時間、同じく丸川峠からも4時間で山頂に達する。

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