テントみたいに使えるハンモック! ENO/スカイライトハンモック|高橋庄太郎の山MONO語りVol.112

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山岳・アウトドアライター、高橋庄太郎さんが、最新山道具を使ってレポートする連載。さまざまな角度からアウトドアグッズを確認し、その使用感と特徴を余すことなくレポート! 今回はENO「スカイライトハンモック」を紹介します。

文=高橋庄太郎、写真=矢島慎一、高橋庄太郎

ハンモック泊のメリット

登山中に使う“野営道具”といえば、まずはテントだ。簡易的なテントとしてツエルトもあり、シングルウォールタイプのテントなどは、メーカーによってはシェルターと呼んでいたりもする。いずれにせよ、基本的には「地面の上に設営する」ものである。

では、「地面に設営しない」野営道具はないのか? 意外と知られていないが、“ハンモック”にはテントのようにメッシュパネルで内部スペースを外界から仕切ったり、バグネットを組み合わせたりして虫の侵入を遮断し、一晩ぐっすり眠れるほど野営向きの製品も発売されている。また、タープを合わせることで風雨の影響も最小限に抑えられる。

ハンモックのいい点は、地面が平らではなかったり、ぬかるんだりしている場所でも使えることだ。下の写真は沖縄の亜熱帯ジャングルの山中で、今回取り上げたENOの「スカイライトハンモック」を設営しているときの様子である。

ENO/スカイライトハンモック

見ての通り、テントを設営するスペースはないが、宙に浮かぶハンモックであれば難なく眠れる場所であった。

このように“テントを張れない場所”“テントを張りにくい場所”で眠る道具として、ハンモックは実に有用だ。僕は沢登りのときのように岩や水ばかりで平らな場所が少ない山行時や、木々が多いキャンプ指定地(使用不可な場所も多いが)でときどき利用している。ほぼすべて布地とひもでできているため、シンプルで壊れにくいのも長所だ。また、使用生地が少なく、基本的にはポールのような金属パーツが必要ないことなどの理由で、テントよりもかなり軽量。ウルトラライトハイキングとの親和性も高い。

僕は野営に使えるハンモックを3つほど持っていた。しかし、やはりテントで眠ることのほうが圧倒的に多いこともあり、ハンモックはいまだ使い慣れず、なかなか熟睡することができない。慣れればテント以上に快適だという人も多いのだが・・・。

一般的な“両端が上がり、中央が垂れている”ハンモックは、左右に広げて張った中にそのまま平行に横たわると、体が弓型に曲がってしまう。だが、体を少しずらして角度をつけ、“体を斜め”にして寝転ぶと体がまっすぐにして眠れる。もちろんそのような寝転び方は僕も実行しているのだが、寝返りを打ちにくく、狭苦しく感じてしまうのがどうにも苦手なのであった。

そんな僕ではあるが、今回のスカイライトハンモックならば熟睡できるかもしれない。実はこれ、まるで吊り尾根のように弧を描く形状のハンモックとは異なり、張るだけでフラットな就寝スペースが生まれるユニークな形状。ある意味、テント感覚で眠れそうなフォルムだからだ。

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プロフィール

高橋 庄太郎(たかはし・しょうたろう)

宮城県仙台市出身。山岳・アウトドアライター。 山、海、川を旅し、山岳・アウトドア専門誌で執筆。特に好きなのは、ソロで行う長距離&長期間の山の縦走、海や川のカヤック・ツーリングなど。こだわりは「できるだけ日帰りではなく、一泊だけでもテントで眠る」。『テント泊登山の基本テクニック』(山と溪谷社)、『トレッキング実践学』(ADDIX)ほか著書多数。
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高橋庄太郎の山MONO語り

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