強烈な個性が勢ぞろい! 厳選ご当地アルプスガイド【山と溪谷2025年2月号】

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雑誌『山と溪谷』2025年2月号の特集は「全国ご当地アルプス」。全国各地に「〜〜アルプス」と名付けられた山々は点在しているが、編集部がカウントしてみたところ、その数ざっと70以上! 数あるご当地アルプスのなかから、東日本エリアのほか、「富士山が見える」「寄り道も楽しむ」などのキーワードでもおすすめコースを紹介している。そんな特集の中から、個性豊かな4コースを厳選して紹介しよう。

構成=山と溪谷編集部

目次

東日本のご当地アルプス桐生アルプス(きりゅうあるぷす)

群馬県/鳴神山(980m)

群馬県 鳴神山の東峰・桐生岳からまだ雪山の奥日光を展望
4月上旬、鳴神山の東峰・桐生岳からまだ雪山の奥日光を展望

展望と特産種の花を楽しみに連峰の最高峰を横断する

群馬県桐生市は東隣の栃木県足利市と同じく関東平野の北端に位置。渡良瀬川(わたらせがわ)に面して、北側に安蘇(あそ)山塊の山並が連なり、絹織物の町であることも共通する。桐生市の北に頭をもたげる吾妻山(あづまやま)から北へ延びる尾根の鳴神山(なるかみやま)付近までが桐生アルプス。全山縦走は15kmあまり、歩行時間7~8時間の長丁場でエスケープルートにも乏しいので、モデルプランは鳴神山のみとし、その代わり山稜を横断し、特産のカッコソウ移植地を経由するものとした。カッコソウは高さ10~20cm、輪生する花は直径2~3cmになるサクラソウの仲間。分布が限られ、群馬県の絶滅危惧種に指定されている。花期は例年、5月上~中旬ごろだ。

鳴神山の山頂直下に雷神を祭る雷神嶽(なるかみたけ)神社、山頂には複数の石祠が鎮座。今も5月第1日曜に例祭が行なわれ、宗教登山が盛んだったことがしのばれる。大滝登山口から登山道に入ると現われる落差10mほどの大滝はかたわらに石仏が祭られ、水行場だったことをうかがわせる。沢沿いに登りつめ、縦走路に出たら、北へひと登りで鳴神山の双耳峰東峰の桐生岳山頂に飛び出す。北側には安蘇山塊から男体山(なんたいさん)などの奥日光、皇海山(すかいさん)、その左に浅間山、八ヶ岳、遠く奥秩父や富士山などの山岳パノラマが広がる。心ゆくまで眺めたら、西峰の仁田山岳(にたやまだけ)から北へ下り、カッコソウ移植地へ。ここで尾根をそれ、西へ下って谷沿いに駒形(こまがた)登山口をめざす。

(文・写真=石丸哲也)

群馬県 桐生岳山頂直下には岩場の登りも
桐生岳山頂直下には岩場の登りも
初夏に咲くカッコソウ
初夏に咲くカッコソウ
群馬県 石祠が並ぶ桐生岳山頂
石祠が並ぶ桐生岳山頂。初夏は新緑が鮮やかだ

MAP&DATA

高低図
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最適日数:日帰り
コースタイム: 5時間10分
行程:梅田南小学校前バス停・・・大滝登山口・・・雷神岳広場・・・鳴神山・・・椚田峠・・・赤柴登山口・・・駒形登山口・・・吹上バス停
総歩行距離:約10,700m
累積標高差:上り 約892m 下り 約750m
コース定数:22
アクセス:行き JR両毛線桐生駅(バス15分、200円)梅田南小学校前バス停/帰り 吹上(バス55分、200円)桐生駅
[マイカー情報]北関東道太田桐生ICから国道122号などで約23km、40分で駒形登山口駐車場(約10台、無料)、または北関東道出流原ICから県道66号、343号などで約30km、45分で大滝登山口駐車スペース(数台、無料)。
アドバイス:やや長いコースだが、特に危険や迷いやすいところはない。バスは行きが1時間1便、帰りは1~2時間1便。登山道をはずれて植生を傷めないこと。山行適期は秋~初冬、春~初夏。
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プロフィール

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2026年1月号の特集は「美しき日本百名山」。百名山が最も輝く季節の写真とともに、名山たる所以を一挙紹介する。別冊付録は「日本百名山地図帳2026」と「山の便利帳2026」。

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雑誌『山と溪谷』特集より

1930年創刊の登山雑誌『山と溪谷』の最新号から、秀逸な特集記事を抜粋してお届けします。

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