強烈な個性が勢ぞろい! 厳選ご当地アルプスガイド【山と溪谷2025年2月号】

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雑誌『山と溪谷』2025年2月号の特集は「全国ご当地アルプス」。全国各地に「〜〜アルプス」と名付けられた山々は点在しているが、編集部がカウントしてみたところ、その数ざっと70以上! 数あるご当地アルプスのなかから、東日本エリアのほか、「富士山が見える」「寄り道も楽しむ」などのキーワードでもおすすめコースを紹介している。そんな特集の中から、個性豊かな4コースを厳選して紹介しよう。

構成=山と溪谷編集部

目次

東日本 標高の高いご当地アルプス足尾アルプス(あしおあるぷす)

栃木県/沢入山(1704m)

栃木県 沢入山
波平ピークを過ぎると沢入山がせまる。見かけより傾斜は緩い

山岳展望と険悪な峡谷風景足尾山塊の尾根道を行く

渡良瀬川(わたらせがわ)の源流近く、松木川(まつきがわ)と仁田元川(にたもとがわ)に挟まれ庚申山(こうしんざん)へ突き上げる石塔(いしとう)尾根。その下部にある中倉山(なかくらやま)、沢入山(さわいりやま)は、近年登山者が増えてきた。周囲には日本百名山の名峰がそびえ、岩場交じりの山稜はアルペンムード満点。2000mに満たない標高としては異例な地勢だが、明治時代に深刻化した足尾銅山開発に伴う伐採や鉱毒被害など負の歴史が、この景観に大きく関わっている。いつしか登山者に「足尾アルプス」と呼ばれるようになったが、そんな経緯を胸に稀有な景観を楽しみたい。

銅(あかがね)親水公園から登山口へは作業道だ。樹林の登山道を登り中倉山が近づくと背後に男体山(なんたいさん)が現われる。中倉山からはザレ岩稜の尾根道となり沢入山が近づく。正面の皇海山(すかいさん)は意外に鋭く、左手に庚申山、右手に日光白根山(にっこうしらねさん)も。鞍部に立つ孤高のブナは、公害に耐えて生き残ったパワースポットとして人気だ。漫画『サザエさん』の波平(なみへい)を思わす波平ピークを過ぎれば沢入山は近い。山頂の先では松木川ウメコバ尾根側壁の峡谷風景が凄絶だ。この先に明瞭な道はなく、往路を注意深く戻る。

(文・写真=打田鍈一)

栃木県 沢入山
沢入山は疎林の山頂。この背後には皇海山が

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 7時間
行程:銅親水公園・・・中倉山登山口・・・支尾根・・・中倉山・・・孤高のブナ・・・沢入山・・・孤高のブナ・・・支尾根・・・中倉山登山口・・・銅親水公園
総歩行距離:約12,900m
累積標高差:上り 約1,173m 下り 約1,173m
コース定数:28
アクセス:往復 わたらせ渓谷鐵道間藤駅(タクシー約10分、約2000円)銅親水公園
[マイカー情報]日光宇都宮道路清滝ICから国道122号県道250号経由約20km約30分で銅親水公園駐車場(23台、無料)。
アドバイス:沢入山は「さわいり」と読む。山頂で「souri」の道標を見たがこれは誤りだ。松木川の沢が鋭く山体へ食い込むことによる山名で、渡良瀬渓谷鐵道の沢入(そうり)駅や付近の地名とは無関係だ。
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プロフィール

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2026年1月号の特集は「美しき日本百名山」。百名山が最も輝く季節の写真とともに、名山たる所以を一挙紹介する。別冊付録は「日本百名山地図帳2026」と「山の便利帳2026」。

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雑誌『山と溪谷』特集より

1930年創刊の登山雑誌『山と溪谷』の最新号から、秀逸な特集記事を抜粋してお届けします。

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