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万が一、道に迷ってしまったら。その時の行動と、ビバークする決断のタイミング。

太田昭彦部長の「大人のワンゲル部」―リーダーとしての力を身につけよう―
基礎知識 2018年06月06日
登山愛好者として身につけておきたい知識、技術を教えてもらう「大人のワンゲル部」。今回は、ワンゲル部部長で山岳ガイド太田昭彦さんに、山で道に迷ってしまった時の行動について教えてもらう。

皆さん、こんにちは。山岳ガイドの太田昭彦です。いよいよ夏山シーズンが近づいてきましたね。しかし、遭難事故の報道は相変わらず後を絶たずに、とても心が痛みます。そこで今回の大人のワンゲル部は、「万が一、道に迷ってしまったら」をテーマに皆さんと無事に生還する方法を考えてみたいと思います。



道に迷ったと思ったら、来た道を戻ろう

万が一、道に迷ってしまったら、なるべく早い段階で来た道を戻ることが大切です。登りであれば、来た道を下ります。しかし、下山中の道迷いであれば、来た道を登り返すことになるために、迷いが出てくるものです。疲れていると登り返すのが億劫になり、ルートに確信を持てないまま下ってしまうということがよくあります。これは、下山中に道迷いが多い原因です。下れば下るほど、場所が特定できていた道から遠ざかり、迷いこんでしまうからです。

降雨や霧(ガス)がでて視界がわるくなり、道を見失うこともある

道に迷ったと思ったら、心を強くして来た道を戻るように心掛けてください。登ることで周囲の展望が開けて、現在地が確認できる可能性が広がります。



万が一に備えて、早目にビバークの準備をしよう

記憶を辿りながら、頑張って来た道を戻ったけれど、現在地が特定できずに日没が迫ってきた。そんなときは暗い道で無理に行動するよりも、明るいうちにビバークする準備を始める決断も必要です。ビバークをする場所は、安全を確保できる場所である必要があります。落石や転落の危険がなく、雨風を受けにくい場所が適しています。落ち着いて、少しでも安心して過ごせる場所を探しましょう。



ビバークするために携帯しておきたいもの

いざという時に備えて、ツエルトと非常食&水の用意はしておくべきです。単独で行動する場合も、一人用の軽くてコンパクトなツエルトがありますので、お守り代わりにザックに忍ばせておくことをお勧めします。特に雨風が出てきた時に、ツエルトがあるかないかでは、天と地ほどの差が生まれます。ツエルトを張って中で過ごしたり、ツエルトを張るスペースがとれなければ、そのまま被ることができたりもします。非常時は、ツエルトを使って、できるだけ体温の低下を防ぎましょう。

ツエルトがない時にビバークする場合は、できるだけ寒さをしのぐために防寒具や雨具を身にまとい防寒対策としてください。夏場でも夜になると気温が下がるためです。



非常用に食べ物、水は多めに持っておく

非常食は、自分が疲れていても食べられる、軽くてコンパクトな携帯食を探しておき、登山の時は持っていく習慣をつけておくと良いでしょう。予定通り無事に下山できた時は、帰りの電車や車でおやつ代わりに食べれば無駄にはなりません。

最後に水です。僕の場合は350mlのペットボトルの水をいつも予備に持っていて、これは下山するまで飲まないと決めています。要するに非常用の水です。お腹が空いても、ある程度は我慢ができますが、水が飲めないのは非常に辛いです。道迷い中に、水を求めて沢へ向かい、水辺へ降りる途中で転落事故を起こしてしまうケースもありますので、十分な量の水を用意しておくことを心掛けてください。



登山者として登山計画書の提出を!

どうしても戻る方向がわからなくなってしまった時は、携帯電話が繋がるなら、少しでも早く、警察や消防に連絡を入れましょう。現在はGPSでおおよその位置が特定できることもあるようです。

ただ、捜索をする上で重要な手掛かりとなるのは、計画書です。「いつ、誰と、どこから登って、どこに下る予定なのか」を明確にするために登山計画書を提出しておきましょう。携帯が繋がらない状況下でも、予定の日に下山出来なかった時は、家族や友人が警察に捜索を依頼します。その判断ができるのも計画書があってこそでしょう。

ここ数年、年間3千人に近い登山者が山で遭難している。
登山の経験値に関わらず、遭難事故の可能性があることを覚えておいてほしい

登山者の最低限の責任として、計画書を出す、ビバーク用具や非常用の水、食料を持つという意識を高めて欲しいと思います。

セルフレスキュー 危機管理
教えてくれた人

太田 昭彦

1961年、東京生まれ。高校ワンゲル部時代に登山の魅力にはまり、高校卒業後は社会人山岳会に入会。岩・沢・雪とオールラウンドに活躍。ヒマラヤやヨーロッパアルプスの山々にも足跡を記す。登山教室・歩きにすと倶楽部主宰。日本山岳ガイド協会認定・山岳ガイドステージⅠ、埼玉山岳ガイド協会会長。

歩きにすと倶楽部

山岳ガイドの太田昭彦が主宰する会員制の登山教室。30代から70代の会員の方が観音参りなどのウォーキング、高尾山のハイキングから日本アルプスまでの山歩きを自分の体力や経験に応じて楽しんでいる。
http://www.alkinistclub.com/

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