膝が痛いけど山には行きたい! 「下らない山」関東編5選・続

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登山は大好きだけど、膝が痛くて下山が不安……。そんなシニア・高齢者に向けて、下山時に膝にやさしいコースを紹介します。乗り物を利用できたり、そもそも下りが少ないコースを関東近郊で5つセレクト。コースガイド最後にある標高グラフも参考にしてください!

文・写真=石丸哲也

目次

多摩川の景勝地の渓谷、旧青梅街道を歩く 大多摩ウォーキングトレイル

東京都/約370m(松の木尾根展望台)
下りの累積標高差:約160m
山行適期:通年

鳩ノ巣渓谷と鳩ノ巣小橋
鳩ノ巣渓谷から鳩ノ巣渓谷と鳩ノ巣小橋

山峡を流れる多摩川に沿い、青梅線古里(こり)駅から奥多摩駅へ歩く、全長8kmあまりのコース。全体に川沿いで平坦なので、登り下りがほとんどなく、涼味があることから夏場に人気だが、四季を通じて歩ける。旧青梅街道を歩く部分があること、お洒落で居心地のよいカフェが多いことも特徴である。

古里駅
ウッディな造りが好ましい古里駅からスタート
KIKORI CAFE
鳩ノ巣のKIKORI CAFEは多摩川に面して、古書店の奥多摩文庫を併設

古里駅で降りたら、南側の青梅街道を西へ進むが、その前に小丹波熊野神社(こたばくまのじんじゃ)と小丹波のイヌグスに寄りたい。神社は斜面に立ち、見上げる神門はくぐって振り返ると平屋の舞台という珍しいもので、東京都の有形民俗文化財。小丹波のイヌグス(タブノキ)は高さ25m、目通り周4.7m、樹齢300年と推定される大木だ。

小丹波熊野神社の神門
小丹波熊野神社の神門を見上げる
小丹波のイヌグス
小丹波のイヌグスはすぐ下まで近づける

青梅街道に出て7分ほどの分岐で左の旧青梅街道に入り、さらに7分ほどの分岐を左へ下って寸庭(すにわ)橋の対岸から山道に入る。最初に横切る沢の一段上には下の滝、上の滝が懸かり、すぐ次の沢を渡ると、標高差約100m、20分ほどの樹林の登りとなる。このコース唯一のまとまった登りで、コース最高地点の松の木尾根展望台に着くと、対岸の山などを眺められる。

松の木尾根展望台からの眺め
松の木尾根展望台から山里と対岸の山を眺める

車道に出て道なりに下り、雲仙橋(うんぜんばし)を渡って多摩川に降りたところが鳩ノ巣渓谷の景勝地だ。すぐ水神の滝、その上に双竜(そうりゅう)の滝が落ちる。

鳩ノ巣渓谷
雲仙橋から見下ろす鳩ノ巣渓谷
水神の滝
遊歩道沿いに落ちる水神の滝

鳩ノ巣小橋で対岸に渡り、多摩川の流れが瀬を噛む渓谷に沿って遊歩道をたどる。東京都交通局の発電所がある白丸(しろまる)ダムを過ぎると、一転して穏やかな白丸ダム湖畔の道が続く。数馬峡橋(かずまきょうばし)の対岸から少し登ると、明治のころまで使われていたという旧青梅街道の数馬の切通が残る。数馬峡橋から遊歩道を10分ほど進むと車道に出て、奥多摩駅へ向かう。北岸の青梅街道を歩けば、もえぎの湯で入浴できる。

白丸ダム湖
東山魁夷の絵を思わせる白丸ダム湖
数馬の切通
旧青梅街道が通っていた数馬の切通

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム: 3時間30分
行程:古里駅・・・ホタル橋・・・松の木尾根展望台・・・数馬峡橋・・・海沢・・・愛宕山登山口・・・奥多摩駅
総歩行距離:約7,700m
累積標高差:上り 約220m 下り 約160m
コース定数:15
アドバイス:コースは整備されていて、特に問題になるところはないだろう。途中に鳩ノ巣駅、白丸駅があり、適宜、短縮もできる。鳩ノ巣渓谷の双竜の滝は、ややわかりづらいが、高さ約18mの直瀑で見ごたえがあるので立ち寄りたい。
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プロフィール

石丸哲也

東京に生まれ育つ。オールラウンドな登山を経て、山岳ライター、登山・ツアーの講師などとして活動している。
山頂に立つことだけを目的とするのでなく、山を旅する感覚で、登るプロセスや自然にふれることを大切にして山を楽しむことを心がけている。
国内では北海道の利尻山から屋久島の宮之浦岳まで全国の山を登り、海外ではペルーアンデス、ヨーロッパアルプス、北米のヨセミテ、メキシコ、カムチャツカなどの山に足あとを残す。

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