膝が痛いけど山には行きたい! 「下らない山」関東編5選・続

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登山は大好きだけど、膝が痛くて下山が不安……。そんなシニア・高齢者に向けて、下山時に膝にやさしいコースを紹介します。乗り物を利用できたり、そもそも下りが少ないコースを関東近郊で5つセレクト。コースガイド最後にある標高グラフも参考にしてください!

文・写真=石丸哲也

目次

鎌倉へ通じる古道と穴場の尾根歩きを楽しむ 朝夷名切通(あさいなきりどおし)

神奈川県/約149m(十二社果樹園展望台)
下りの累積標高差:約190m
山行適期:通年

十二社果樹園展望台からの富士山
十二社果樹園展望台は富士山を眺められる

手軽なハイキングコースが多数ある鎌倉で、ひとつのジャンルとなっているのが切通(きりどおし)。南の海側を除く三方が山に囲まれ、通行に不便だったため、尾根を開削して人や物資の行き来を容易にしたもので、主なものを鎌倉七切通、鎌倉七口と呼ぶ。そのひとつである朝夷名(あさいな)切通は東の東京湾側からのもので、古道の趣を遺す味わい深いところだ。切通の特徴上、峠越えのコースとなるが、ここでは南側の尾根に登り、十二社(じゅうにそ)果樹園を経てミニ縦走する山なみルートとあわせて案内しよう。最高所でも149mに過ぎないが、帰りはバスを利用して下りを最小限に抑えた。

朝夷名切通の道
古道の面影を伝える朝夷名切通の道

金沢八景駅から5分ほど南へ歩き、県道23号に入ってすぐ北側の高台に中世のやぐら群を復元した上行寺東遺跡がある。朝比奈バス停の手前で左へ入ると車道から山道となる。朝夷名切通の手前に熊野神社を経由する、山なみルートの登り口があるが、岩壁が切り立つ朝夷名切通を過ぎ、石仏や三郎ノ滝を見て、次の登り口からやまなみルートへ登るほうが古道の雰囲気を味わえておすすめだ。

上行寺東遺跡
県道北側の高台に復元された上行寺東遺跡
十二社果樹園の梅林
十二社果樹園の梅林。見頃は2月下旬~3月上旬ごろ
石仏
行き交う人々を見守ってきた石仏
三郎ノ滝
切通を開いた武将、朝比奈三郎義秀に因むという三郎ノ滝

三郎ノ滝手前から滑り台状の急な道をひと登りで尾根道となり、朝夷名切通手前からの道と合流する。樹林帯の尾根道を進むと鎌倉随一の梅の名所である十二社果樹園展望台に入り、コース最高地点の展望台では富士山などを眺められる。なおも尾根道を進み、鎌倉逗子ハイランドの住宅地に出たら、坂上バス停からバスで鎌倉駅へ向かうが、静かな久木(ひさぎ)大池に立ち寄っていくとよい。

久木大池
久木大池。冬はカモなどの水鳥が飛来する

MAP&DATA

高低図
ヤマタイムで周辺の地図を見る
最適日数:日帰り
コースタイム:2時間45分
行程:スタート地点・・・朝比奈バス停・・・朝夷奈切通・・・三郎の滝・・・分岐・・・六浦分岐・・・展望台・・・十二所果樹園・・・鉄塔・・・坂上バス停
総歩行距離:約8,000m
累積標高差:上り 約250m 下り 約190m
コース定数:11
アドバイス:やまなみルートは指導標がやや不備で、入口が特にわかりづらい。現在地や進行方向を慎重に確認しながら行動するか、ベテランと同行を。それだけに鎌倉とは思えないバリエーションコース的な面を楽しめる。歩き足りなければ、鎌倉逗子ハイランドから衣張山を越えて竹の寺、報国寺へ下るのもおすすめだ。通年歩けるが、おすすめは秋~初夏。夏はやや蒸し暑い。400本の梅が植えられた十二社果樹園梅林の見頃は例年2月下旬~3月上旬。新緑は4月上旬~5月上旬、紅葉は11月下旬~12月上旬ごろ。
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プロフィール

石丸哲也

東京に生まれ育つ。オールラウンドな登山を経て、山岳ライター、登山・ツアーの講師などとして活動している。
山頂に立つことだけを目的とするのでなく、山を旅する感覚で、登るプロセスや自然にふれることを大切にして山を楽しむことを心がけている。
国内では北海道の利尻山から屋久島の宮之浦岳まで全国の山を登り、海外ではペルーアンデス、ヨーロッパアルプス、北米のヨセミテ、メキシコ、カムチャツカなどの山に足あとを残す。

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