秋色に染まる鹿島槍ヶ岳へ【紅葉レポート】
読者レポーターより登山レポをお届けします。ともさんは2泊3日で北アルプス・鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ、2889m)へ。
文・写真=とも
今年の北アルプスの締めくくりとして、爺ヶ岳(じいがたけ)、鹿島槍ヶ岳に2泊3日で紅葉を見に行きました。五竜岳(ごりゅうだけ)からの縦走にするか1週間前まで迷いましたが、扇沢(おうぎさわ)からのピストンにしてよかった……。もし縦走にしていたら、八峰キレットを越える日が雨と風になっていました。予定をずらして3日目の朝に登った鹿島槍ヶ岳の山頂は雲の中、後立山(うしろたてやま)連峰の北側の山々は見えなかったものの、当たり年といわれた紅葉とさまざまな北アルプスの山々の眺望を満喫しました。
1日目:扇沢~柏原新道~種池山荘~爺ヶ岳(南峰)~種池山荘
長野駅から直通バスで扇沢に向かい、柏原新道登山口から10時前に登山開始です。天気は晴れ、歩き始めてすぐに紅葉が目に入り、テンションが上がります。
登山道は歩きやすく、また、進行方向の左下には扇沢駅、視線を上に転じると針ノ木岳(はりのきだけ)から続く稜線や山肌の紅葉、さらに進むと爺ヶ岳(じいがたけ)南峰の山頂もちらり。種池(たねいけ)山荘までずっと、わくわくしながら登ることができました。
翌日は終日雨になりそうだったので、種池山荘で一休みをしてから爺ヶ岳(南峰)までピストンすることに。登り始めると山荘のテラスからも見えていた立山連峰が姿を大きくし、剱岳まで視界に! 薬師岳(やくしだけ)、水晶岳(すいしょうだけ)、槍ヶ岳(やりがたけ)も見えました。そして鹿島槍ヶ岳の存在感がすごい! しかしなんといっても、まるで赤や黄色の絨毯のような紅葉の美しさに息をのみました。スタッフの方は「今年の紅葉は当たりです!」とおっしゃっていました。
2日目:種池山荘~爺ヶ岳(南峰)~爺ヶ岳(中峰)~冷池山荘
天気予報通りの雨、低い位置に雲があります。予定ではこの日に鹿島槍ヶ岳を登頂して冷池(つめたいけ)山荘に宿泊でしたが、翌日は天気の回復が見込めたので、鹿島槍ヶ岳は3日目の早朝にトライすることに変更しました。日の出前のスタートは少し不安があり、雨の中、布引山の手前まで登山道を下見しました。その後はストーブの焚かれた談話室でのんびり。種池山荘と冷池山荘は同じグループで、どちらも感染症対策にとても気を配られていました。また、スタッフの方は気さくで親切、山荘内は隅々まできれいで、とても快適に過ごさせていただきました。
3日目:冷池山荘~布引山~鹿島槍ヶ岳(南峰)~爺ヶ岳(中峰)~種池山荘~柏原新道~扇沢
4時45分に出発、すでに雨は上がっており、生暖かいような風が吹いています。前日にスタッフの方から、最近は稜線上ではクマの目撃情報はなく、下のほうに降りているようだ、とお聞きしていましたが、それでも真っ暗な中を歩くのは緊張します。布引山(ぬのびきやま)への登りの途中で東の空が明るくなってきて一安心。しかし鹿島槍ヶ岳は雲の中、その姿は見えません。いつの間にか風は強く冷たくなっていて、南峰に登頂したときには顔がこわばっていました。残念ながら五竜岳はおろか、お隣にあるはずの北峰もどちらに?という状態だったので、早々に下山です。種池山荘まで戻る道々では上空には青空が広がっていましたが、稜線上は雲の中に入ったり、雲が切れたりを繰り返しており、この日は鹿島槍ヶ岳を拝むことはできませんでした。
種池山荘で名物のピザを食べて元気をもらい、一気に扇沢まで下ります。写真は初日に充分撮ったよね……と思っていたのに、前日の雨で落葉が進んだのか、差し込む日差しが増して紅葉が一層映えていて、何度も足を止めました。
種池山荘、冷池山荘とも今年の営業は10月14日の宿泊で終了ですが、爺ヶ岳ならば日帰りが可能ですので、まだ紅葉を楽しめるのではないかと思います。
(山行日程=2025年10月10~12日)
MAP&DATA
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とも(読者レポーター)
山とお酒が大好物! 登山後の一杯は至福の時間です。日帰りでは奥多摩や中央本線からアクセスしやすい山に、夏山シーズンには北アルプスあたりまで出かけます。
この記事に登場する山
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