この夏こそ岩稜ルートへ! の前に覚えておこう。岩稜歩きの2大リスクを確認しよう
登山者の憧れ、北アルプスの岩稜ルート。「いつかは穂高の稜線を縦走したい」「この夏は剱岳を登りたい」と考えている人もいると思うが、技術的にも体力的にも難易度は一気に高まる。そこで、今回は、岩稜歩きの2大リスクについて確認しておこう。
文/ワンダーフォーゲル編集部 写真/渡辺幸雄・編集部
天を衝くようにそそり立つ岩稜の頂に立つことは、多くの登山者の憧れの1つでしょう。しかし、そこに至る道は険しく危険が多い、いわゆる「岩稜」と呼ばれるルートが待ち受けています。
北アルプスの穂高連峰周辺や剱岳周辺、そして「大キレット」と呼ばれる後立山連峰には、岩稜ルートが集中しています。一般ルートの中では最難関のこれらの場所を通過するには、ふだん以上に入念な準備と体調管理、そして心構えが必要です。
ここでは、岩稜歩きの2大リスクについて確認します。
リスク1:転落・滑落
岩稜のリスクと聞いてまず思い浮かぶのは、転・滑落でしょう。切れ落ちた稜線から滑落すれば、軽傷では済みません。
転落事故には不注意や技量不足だけではなく、すれ違いでの事故や、バックパックに外付けしたレインウェアが引っかかって起きる事故もあります。すれ違いでは声をかけ合うことが大切です。また、岩稜では引っかかりそうなものは必ずバックパックの中へ収納しましょう。
また、岩稜でも道迷いには気をつけましょう。岩稜での道迷いは、道迷い遭難自体のリスクよりも、正しい登山道を外れることで危険な場所へ入り込み、転・滑落のリスクが高まることが考えられます。足元だけでなく、進行方向にも意識を向け、ペンキマークを見逃さないことが重要です。
リスク2:落石
落石は自然発生するものだけでなく、登山者が誤って落としてしまうこともあります。剱岳の別山尾根のような人気の場所では、混雑時には常に自分の上にも下にも登山者がいるような状況です。自分が被害者にも加害者にもならないように、落石には警戒しましょう。
一歩一歩確実に歩くだけでなく、先行者の真下に入らない、安全な場所で休憩をするなど、落石に対しての意識を常に持つことが、落石のリスクを軽減するのに大切なことです。
発売中のワンダーフォーゲル8月号「スリルと展望の岩稜案内」では、こうした岩稜帯の具体的な歩き方や注意点のほか、岩稜のリスクに備えるパッキング術や、岩稜歩きにオススメの装備についてまで、細部に渡り説明しています。
また、「剱岳・別山尾根」、「不帰ノ嶮」、「大キレット」、「奥穂~北穂」、「八峰キレット」など、特に人気が高い岩稜ルートは詳細図を交えながら、攻略法や注意点を徹底解説。
そのほか、北アルプス以外の人気岩稜ルートも紹介。この夏、岩稜ルートに挑戦! と考えている人には目を通しておきたい内容となっています。
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