
デートハイキングに行こう。#01 沼津アルプス「50代ソロハイカー、''デート''について考え、悩むの巻」
気になるあの人と、はたまた気の知れた相方や友人とハイキングへ! デート、つまり「大切な人と一緒に歩く」をテーマにした、低山トラベラー大内征さんのミニ連載。
文・写真=大内 征
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うっかり引き受けてしまい、数日間も筆が進んでいない。ヤマケイ編集部から受け取ったテーマは「デートハイク(仮)」である。そもそもぼくは、山歩きはソロハイクがメインなのだ。しかも五十代のおじさんである。このテーマをそのまま書くと各方面からいろいろと突っ込まれそうではないか。これは困った。とはいえ、そのあたりの“狙い”をわきまえつつ、お世話になっているヤマケイ編集部の期待にはなんとか応えたい。
たとえば、デートという言葉を別の表現に言い換えると「大切な人をエスコートする」といった意味合いだろう。だからといってエスコートハイクと名付けては、なんだか芸がない。もうちょっと軽やかで明るいタイトルにしたいところだ。おもてなしハイクとか。うーんセンスないかな。こんな調子でデートハイクなんて、書けるのか、不安しかない。
そんなくだらないことで頭を悩ませていたところ、ある年の春に沼津アルプス全山縦走へと出かけたときのことを、ふと思い出した。日守山の頂に美しく咲き乱れる桜の木の下にいた目上の女性二人組と話したときのことを。そのときの会話の中で「うふふ、今日はお友だちとふたりでデートなのよ~」とうれしそうにしていたのだ。
なるほど、そういうとらえ方もあるよね。この映画のポスターのような風景が、まさにそのときの一コマである。古い友人同士、気心が知れた山仲間なのだろう。後ろ姿だけれど、二人とも笑っている。きっと。
というわけで、この連載はデートというキーワードを出発点にしながらも、その相手は広く「大切な人」と定義したい。その相手とは、同性か異性か、上司か部下か、山トモか推し活仲間か、あるいは意中の相手なのか。それは、人それぞれだ。とにかく「大切な人を先導しながら、自分も楽しむ」ことを前提とした山のプランについて、つらつらと書いていこうと思う。要するに、おもてなしハイクなんだな。寄り道中心になりそうな気がするけれど、それはそれでいいだろう。
健脚なふたりには沼津アルプスがおすすめ
ちなみに、沼津アルプス全山縦走は、伊豆箱根鉄道駿豆線(いずはこねてつどうすんずせん)の原木駅(ばらきえき)からスタートする場合、その第一座目にあたるのが日守山(ひもりやま)となる。富士山や箱根方面の眺望が抜群によい。春の山頂にはたくさんの桜が咲き誇り、めちゃめちゃキレイだ。ゴールを沼津駅(ぬまづえき)に設定するなら、およそ15kmの行程となる。獲得標高は1300mくらい。たしかに沼津アルプスは、登ったり下ったりを繰り返すから、起伏がヤバい。そうだ、お相手が健脚な場合は、ここでいいんじゃないだろうか。まあまあハードなコースだから、お互いを思いやる必要がある。帰りの寄り道は、沼津港のベアードビール。下山後のビールの美味しさを共有できる相手なら、ぐっと仲良くなれると思う。いや知らんけど。
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プロフィール
大内 征(おおうち・せい)
低山トラベラー、山旅文筆家。歴史文化を辿りながら日本各地の低山・霊峰をたずね、自然や人の営みに触れるローカルハイクの魅力を探究。高山のピークハントだけではない“文化的な歩き旅”の情景を、文筆・写真・講演などで伝えている。NHKラジオ深夜便「旅の達人~低い山を目指せ!」は10年目。NHKBS「にっぽん百名山」等の番組出演、近著に『低山からはじめるソロハイク超入門』(山と溪谷社)がある。熊野古道・サンティアゴの道 共通巡礼アンバサダー。
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