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扱いやすさはダウン以上!? 化繊インサレーションの選び方 -登山の保温着を考える2-

登山道具の買い方・選び方、ショップのスタッフに聞きました!
道具・装備 2019年01月25日

季節を問わず登山のマストアイテムとなる防寒ジャケットには、ダウンと化学繊維(以下、化繊)の中わたがある。それぞれの中わたを使ったアイテムが多彩にそろうが、どれを選べばいいか悩むところ。そこで、前回のダウンジャケットに続き、「化繊インサレーションジャケットの賢い選び方」についてさかいやスポーツ 高橋さんに聞いた。

取材/文=辻 歌

 

化繊のメリット・デメリット

ライターT:前回の「登山の保温着を考える 1」では、登山用ダウンジャケットについてうかがいました。今回は、化繊のインサレーションジャケットについて教えてください!

高橋さん:ダウンジャケットは、保温性とコンパクト性・軽量性のバランスに優れているという話をしました。だけど、雨や雪、汗などで濡れたときに保温性が保てなくなるデメリットも・・・。そこで、濡れるシーンが想定される登山の場合におすすめしたいのが、化繊インサレーションジャケットです。

さかいやスポーツ ウェア館には、化繊のアイテムも多彩にそろう


ライターT:化繊だと、濡れても保温性が保ちやすいのでしょうか。

高橋さん:化繊にはさまざまな種類がありますが、共通しているのは濡れてもロフト(かさ高)を保ちやすいということ。ロフトを確保できることで、保温性が下がりにくくなります。

ライターT:どんな場合に、化繊を選ぶといいのでしょうか?

高橋さん:冬山なら、アイスクライミングのビレイで着用する方や微妙な気象条件で登山をする方。夏山なら、沢登りをする方などでしょうか。水や雪で濡れる可能性が高いエクストリームなアクティビティをする場合は、化繊のほうが向いているでしょう。さらに、ダウンジャケットに封入されている羽毛は、水や汗だけでなく湿気にも注意が必要。湿度の高い時期に長期間の縦走をすると、湿気を帯びたダウンをもとのロフトに復元させるのが難しい場合があります。そんなときはダウンを避け、化繊を選んだほうがいいです。

ライターT:濡れることが想定されるアクティビティなら、化繊を選ぶのがよさそうですね。

高橋さん:あと、ダウンに比べて手入れがラクなのもメリット。ダウンも化繊もできるだけこまめに洗うことで保温性をキープできるので、手入れのしやすさは、よく着用する方ほど大きな利点になると思います。

ライターT:化繊のデメリットはありますか?

高橋さん:ダウンと比較するとかさ張り、重量も重くなるところです。一概には言えませんが、化繊に比べてダウンのほうがボリュームに対しての保温性に優れている。つまり、見た目が同じくらいのボリュームの中わたのジャケットなら、ダウンジャケットのほうが軽く感じ、同じくらいの中わた量のジャケットであればダウンジャケットのほうが暖かく感じるでしょう。持ち歩くのをメインに考えた場合、大きさや重さは重要ですから、多少値段が高くなってもダウンをおすすめする場合が多いです。

 

化繊インサレーションには2タイプがある

ライターT:化繊には具体的にどのような特徴があるのでしょうか。

高橋さん:「登山用ダウンジャケットの賢い選び方(URL)」でお話しましたが、ダウンの基本は着て歩く「行動着」ではなく、行動していないときに着る「保温着」です。それに対し、化繊インサレーションジャケットは「保温着」と「行動着」の2タイプがあります。この2つには明確な用途の違いがあるので、購入時は気を付けてください!

ライターT:そこに気を付けないと、せっかくのインサレーションジャケットが実力を発揮できないままですよね・・・。

高橋さん:寒い時期の「行動着」として作られているアイテムは、汗などがこもらないように中わたや生地の通気性が高いことが特徴。それを「保温着」として着てしまうと、通気性がありすぎて保温性が足りないことになりかねない。化繊をダウン代わりの「保温着」として考えているなら、必ず「保温系」の化繊を選ぶことが大切です。

ライターT:「行動着」としての化繊は、ダウン代わりにはならないのですね。

高橋さん:「行動着」として作られている「アクティブインサレーション」と呼ばれるものは、ダウンではなくフリースやソフトシェルの代わりです。だから寒い時期の登山などでこれを選ぶ場合は、「保温着」の役割を果たすダウンジャケットや化繊ジャケットをもう一つ持って行くことになります。

ライターT:本当に役割が違いますね! 「保温着」と「行動着」の見分け方はありますか?

高橋さん:化繊はそれ自体にかなり種類が多く、さらに「プリマロフト」などの同ブランドでも何種類もあって・・・。さらに綿の種類が同じでも、ジャケット本体の生地や仕様によって用途が異なることも。だから、相当な知識がないと自分だけで用途を見分けるのは難しいので、そこは専門店のスタッフに聞いてもらうのがいいと思います。

 

「保温着」と「行動着」、それぞれの化繊の特徴

ライターT:「保温着」と「行動着」それぞれの用途を教えてください。

高橋さん:まず「保温着」は、ダウン代わりになるもの。用途はダウンジャケットと同じですが、水濡れに強いため、急な天候変化などに対する安心感があります。ダウンに比べてかさ張るのが一般的ですが、最近では羽毛と遜色ない軽量性と保温性をもつパタゴニアの「マイクロ・パフ」という高品質な化繊も。「マイクロ・パフ」は耐水性があるため濡れてもロフトを維持しやすいので、優秀な化繊のインサレーションジャケットとして多くの登山者に支持されています。

ライターT:「マイクロ・パフ」は、いわゆるウルトラライト系のボリュームですが、もっと保温性がほしいときにおすすめの化繊のインサレーションジャケットはありますか?

高橋さん:羽毛に比べてどうしてもかさ張って重量が増えるので、単純に中わたのボリュームを増やして保温性を高めたアイテムは少なくなっています。ただし、ある程度濡れることを想定して作られるビレイジャケットなどは、化繊を封入した中厚手や厚手のタイプも多い。基本的に、表地に耐水性の高い生地を使っているから雪や雨でも対応できます。

ビレイジャケットは、ダウンと化繊をミックスしたものも多い。


ライターT:「行動着」としての化繊のジャケットとは、どのようなものなのでしょう?

高橋さん:こちらは、フリースやセーターの役割を担うものです。低温下で行動するときでも、ゴアテックスのようなオーバージャケットを着ると、どうしてもムレてしまうことがあるでしょう? そんなシーンでは、フリースやセーターといった中間着だけで歩きたい人が多かった。でも中間着だけだと、冬山なら雪がついてしまったり、風が強いとスースーしてしまったり・・・。そこで、中わた自体はフリースのような通気性のあるものを用いて、はっ水性や防風性を備えた表地が付いたものが登場したわけです。

ライターT:「アウター機能を備えたフリース」というイメージですね。

高橋さん:「フリースとウィンドブレーカーを1枚にした」というのが化繊の「行動着」である「アクティブインサレーション」の発想に近いのでは。中には、ソフトシェルに保温性をもたせたようなものもあります。共通点は、中わたに通気性があり、表地・裏地にも透湿性を備えていること。だから着たまま歩いていても汗がこもらず、汗冷えを軽減できます。快適な通気性を感じられつつも、行動が止まっているときには程よい保温性もキープ。さらに、生地にはっ水性があり、雪が表面に付着しにくいことが特色として挙げられます。

裏地を省いて、より透湿性を高めたモデルもある


ライターT:使い方としては、中間着なのですよね?

高橋さん:用途の考え方はフリースと同じですから、中間着ですね。寒くなったり、雨や雪などが降ってきたりしたらアウターを重ねて、外気をシャットアウトすることで保温性を確保できる。だから近ごろは、フリースやセーターを買い替える人の選択肢になっています。フリースよりもアウターとして重宝し、天候がよければこれ1枚でもOKというのが魅力です。

 

タイプ別・おすすめ化繊ジャケット

ライターT:化繊を使った「保温着」と「行動着」、それぞれのおすすめインサレーションジャケットを教えてください。

高橋さん:ではまず「保温着」の、薄手タイプと厚手タイプを紹介しましょう。この厚みの違いは、「登山の保温着を考える 1」のダウンジャケットと同じ考え方なので参考にしてください。

製品情報

パタゴニア「マイクロ・パフ・フーディ」

サイズ
XS、S、M、L、XL、XXL
素材
<表地>パーテックス クァンタム リップストップ(ナイロン100%) 
<中わた>プルマフィル(ポリエステル100%)
 <裏地>パーテックス  クァンタム リップストップ(ナイロン100%)
本体価格
37,000円(税別)

 

高橋さん:「保温着」の薄手タイプでは、なかなかこれを上回るものがない・・・と言われる逸品。羽毛のような構造の特殊な化繊で、ダウンジャケットのように非常に軽くて暖かい。表地は、はっ水加工されています。余分なパーツは極力省かれていて、左ポケットに本体を収納できるパッカブルタイプです。

製品情報

ザ・ノース・フェイス「エクスペディショントランゴパーカ」

サイズ
S、M、L、XL
素材
<表地>30D ゴアテックス サーミアム リップストップ インサレーテッド シェル(2層)(表
本体価格
68,000円(税別)

 

高橋さん:アルピニストのために作られた、ビレイ時などに重宝する「保温着」の厚手タイプ。生地には優れた防風性のある素材をメインに、肩まわりには補強素材を配して強度を高めています。中わたには、濡れに強いプリマロフトを採用。口元までカバーするヘルメット対応のフード形状は、ビレイジャケットの多くに共通する仕様です。

高橋さん:次に、「行動着」としての化繊ジャケットを。こちらはフリースと同様に運動量が多いシーンでの着用を想定しているので、薄手タイプや中厚手タイプが中心となります。

製品情報

フーディニ「ウィスプジャケット」

サイズ
XS、S、M、L、XL、XXL
素材
<表地>スピナー リップストップ(ナイロン100%)
<中わた>ポーラテック® アルファ®(ポリエステル100%)
本体価格
36,000円(税別)

 

高橋さん:「行動着」の薄手タイプでおもしろいのが、こちら。フリース製品によく用いられるポーラテック社のポーラテックアルファの裏地を取り除いた、「アルファダイレクト」という化繊が使われています。裏地がないため非常に通気性が高く、「アクティブインサレーション」の理想といえるようなアイテムに仕上がっています。

製品情報

パタゴニア「ナノエア・ジャケット」

サイズ
XS、S、M、L、XL、XXL
素材
<表地>30デニール リップストップ(ナイロン100%)
<中わた>フルレンジ ストレッチ インサレーション(ポリエステル100%)
<裏地>ナイロン100%
本体価格
31,500円(税別)

高橋さん:「行動着」の中厚手タイプは、保温性と伸縮性を備えた化繊を使ったこちらがおすすめ。中間着としての保温力がしっかりありつつ、透湿性が高く絶妙な汗処理をして汗冷えを軽減してくれるアイテムです。行動中に汗をかきやすい方には暑すぎるかもしれませんが、薄手タイプで寒く感じる方には、「行動着」でもこれくらいの保温性があるものを選んでみてください。

 

教えてくれた人

高橋 典孝(さかいやスポーツ ウェア館)

山の世界で働いて20年のベテラン。ウェアに関する知識はオタク級だが山道具も大好き!!
ゆったりオートキャンプからガッツリ登山まで何でもこなすが特に最近は、トレイルランニング、テンカラ釣りに没頭中。

さかいやスポーツ

創業以来、約60年にわたり神田神保町で全国の登山家やアウトドアマンに愛されている登山用品店。ウェア、シューズ、ギアなど品目別の専門館を6店舗展開。ウェアや道具に詳しいスタッフが丁寧に解説してくれるので、ビギナーでも安心。

住所/東京都千代田区神田神保町2-48
TEL/03-3262-0432
営業時間/11:00~20:00
アクセス/神保町駅A4出口より徒歩6分、JR中央・総武線水道橋駅東口より徒歩8分

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