【書評】旧来の常識から解き放たれて歩くという喜び『歩くを楽しむ、自然を味わう フラット登山』
(評者=石丸哲也)
「フラット」には3つの意味があり、第一は頂上を登ることを目的とせず、大地をフラットに移動する。第二は登山の難易度などのヒエラルキーからの脱却。最後に、もっと気軽に登山を楽しもうという意味の「ふらっと」とする。
山に関する新刊の書評を中心に、山好きに聞いたとっておきもご紹介。
【書評】旧来の常識から解き放たれて歩くという喜び『歩くを楽しむ、自然を味わう フラット登山』
(評者=石丸哲也)
「フラット」には3つの意味があり、第一は頂上を登ることを目的とせず、大地をフラットに移動する。第二は登山の難易度などのヒエラルキーからの脱却。最後に、もっと気軽に登山を楽しもうという意味の「ふらっと」とする。
【書評】絶望よりも高い頂をめざして『がんとエヴェレスト 乳がんと闘いながら世界七大陸最高峰を制覇する』
(評者=柏 澄子)
アコンカグアは3回目、エヴェレストは2回目の挑戦での登頂であり、七大陸最高峰以外にも周辺の山に登り、異文化に触れ旅をしている。そんな楽しそうな描写を読むと、麻紀子さんが乳がんをかかえていることを忘れそうになる。
【書評】山へのまなざしと感性をたどって『クライミング・マインド 山への情熱の歴史』
(評者=石川美子)
本書の魅力は、歴史的なできごとや先人たちの試みが、時をこえて著者のささやかな経験と交わり合い結びついていることである。
【書評】日本画の巨匠、登山家としての横顔と足跡『槍とカシミール 日本画家 石崎光瑤の山旅』
(評者=斎藤郁夫)
たとえ失敗に終わったにせよ、頂上をめざして最善を尽くした登山家の姿は、「自己を欺かざる会心の作品」をめざして、ひたすら精進を重ねた画家の姿と、みごとな相似形をなしていることに思い至った。
【書評】紀行文に加え多岐にわたるチベット学を凝縮『チベット紀行 トランスヒマラヤを巡る』
(評者=根深 誠)
チベットに憧れを抱く山好きは多いに違いない。私もその一人だった。私の場合、その憧れはヒマラヤとセットになっていて切り離しては語れない。本書でも、ヒマラヤで体験した憧れが旅の動機になっている。
【書評】富士の絶景を楽しむコースとヒントが満載『2時間で楽しめる! 絶景の富士山展望ハイキング』
(評者=天野和明)富士山を見る山のコースガイドブックは少なくないが、ここまで欲しい情報がシンプルに見やすくまとめられた本はなかなかない。
【書評】「めぐり合わせ」が生み出す高嶺の人間模様『太陽を背にうけて』
(評者=伊藤哲哉)「人生はめぐり合わせの連続」で、山小屋での出会いは山が引き合わせてくれる――
【書評】新たなる発見! 水木しげると“山怪”『水木しげるの山』
(評者=田中康弘)はっきりとは見えないし聞こえないが、なにかそこに存在する。そんなあちらとこちらの境界が曖昧な所に入り込んだ山人が経験する不思議な出来事は、水木作品そのものではないか。
【書評】「生きる」とは。異色の登山家が送る至極のエッセイ集『今夜も焚き火をみつめながら』
(評者=野村良太)登山家の本気度は眼力に表われる、というのが、最近考えていることである。こだわりをもって山に向き合えばこそ、眼には力がこもり、その鋭さは増していく。人並外れた観察眼と洞察力がなければ、自然界を生き抜くことはできないからだ。
【書評】 異色の登山家が前人未踏の記録に達するまで『最強登山家プルジャ』
(評者=森山憲一)文章から伝わるのは、エネルギーと野心にあふれ、「オレにはできる」「絶対にやり遂げてやる」という前のめりな人生を生きている男の姿だ。