地図アプリを使った地図読みのトレーニング方法を紹介。日帰り登山で練習してみよう

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現在地が一目でわかって便利な地図アプリ。読図を学んで使いこなせば、さらに頼もしい山のパートナーになるはず。地図読み講習会の講師も務める佐々木亨さんの『地図アプリで始める山の地図読み』(山と溪谷社)から、地図アプリを使った地図読みのトレーニング方法を紹介します。

 

 

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まず自分で判断してアプリで答え合せ

このパートでは、地図アプリを答え合せに利用して、地図読みを実践的にトレーニングする方法を紹介します。

あらかじめ歩くコースに課題を設定し、地形図と実際の景色を観察して課題を解いていきます。たとえば、現在地を確認しようとする地点を地形図上で決め、現地では、GPSを使わず、まず自分で判断します。そして正解かどうか、地図アプリで答え合せをします。

どんな課題をコースのどこに設定するか、それもトレーニングのひとつです。ここでは、奥高尾山稜の景信山・城山周辺をモデルコースとして、課題の設定と解き方をレクチャーしていきましょう。

 

周辺の目標物からコースの起点となるバス停の位置を特定

コースの起点、小仏バス停に降り立ったら、GPSをオンにする前に、さっそく地形図で現在地を確認してみましょう。

小仏バス停は地形図に記号として表されていませんが、周辺で目標物を見つければ、位置を特定することができます。

また、小仏バス停から登山道入口までの間にも、よい目標物があります。これらを確認しながら歩いてみましょう。地形図を整置するため、表示はヘディングアップに設定します。

 

尾根上にチェックポイントを置いて現在地確認

小仏バス停から歩いてきた道路(1車線)が2回急カーブすると、景信山への登山道入口があります。もし行き過ぎると、進行方向左前方へ、長い石段が分かれるので目印になります。

さて、登山道入口からは、どんな地形を登っていくでしょうか。等高線の描かれ方を見ると、尾根であることがわかります。

この尾根上に2カ所、現在地を確認するポイントを設定してみましょう。とくに目標物は見当たらないので、地形の変化や傾斜の緩急に着目します。

例題として、標高480m地点と530m地点にポイントを設定してみます。どちらの地点も大きな変化がなく、地図読み練習にはやや難しい条件ですが、登山道の前後・左右の地形を観察すると、位置を特定することができるでしょう。

現在地の答え合せは、そのつどGPSをオン・オフするか、あらかじめ地形図をプリントし、プリントと地図アプリを使い分けます。

 

登山道の分岐で進路を確かめる

標高600mを越えると、景信山から東へ延びる明瞭な尾根に達します。ここには分岐の道標がありますが、ヘディングアップを利用して進路確認をしてみましょう。スマートフォンを自分の正面で持ち、地形図を見ながら、景信山が画面の上にくるように体を回転させます。

景信山を向いたら、顔を上げて前方を見ます。その方向に延びている道が景信山への進路です。

スマートフォンを正面に持って、体を景信山の方向に回転。正しい進路かどうか、道標でも確認してみよう

 

試しに、ほかのコースにも体を向け、カーソル(矢印)の向きを確かめてみましょう。

景信山と逆方向も試してみよう。目前には、わずかに盛り上がった小ピークの地形がある

 

動作としては、スマートフォンを体の正面で持ち、手首を振るのではなく、しっかり体ごと回転することが大事です。

なお、景信山へは、すぐ先にもうひとつ分岐があります。等高線を読むと、一方は斜面を横切っていく巻き道。尾根の登りが続くほうが進路です。

 

※本記事は『地図アプリで始める 山の地図読み』をWEB用に編集して掲載したものです。

 

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地図アプリを使って手軽に学べる、デジタル時代の山の地図読み講座。デジタル時代の山歩き、地図がしっかり読めるようになりたい登山者にとって必携の一冊です。


『地図アプリで始める 山の地図読み』
著: 佐々木 亨
発売日:2021年5月19日
価格:1760円(税込)

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【著者略歴】
佐々木 亨
1961年東京生まれ。幼少のころから家族で山歩きに親しみ、 丹沢や八ヶ岳、北アルプスに登る。10代後半には社会人山岳会 に所属、オールラウンドな登山に取り組む。 1985年に編集プロダクション・フォーエバーを設立。山岳ライターとして各地の山と自然の取材を続けている。主な著書に 『ヤマケイ アルペンガイド 八ヶ岳』『山麓から登る世界文化遺産富士山』『詳しい地図で迷わず歩く! 奥武蔵・秩父354㎞ 特選ハイキング30コース』(いずれも山と溪谷社)などがある。 初級者から指導者向けまで、各地の登山教室では地図読みの講師を務める。FacebookなどのSNSでは、日常の話題とともに、読者との交流や著書のフォローアップを行なっている。埼玉県鶴ヶ島市在住。 

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