話題のクライミングを始めたい。何から揃えれば? 後編
岩場のトレーニングにクライミングを始めてみたいという登山者は、まず何から揃えれば良いのか。「話題のクライミングを始めたい。何から揃えれば? 前編」ではクライミングシューズについて書いたが、今度はウェアとボルダリングに欠かせないチョークについて取り上げたいと思う。登山用のウェアとの違いは何か、チョークはそもそも何に使うのかなどを引き続き好日山荘 池袋西口店の福元さんに聞いてみた。
- クライミングジムで着るものはファッション性重視でOK?
- 登山や外の岩場でも使えるものを選ぶ時のポイントは…
- チョークは何のために使うの? 吸水性に注目!
登山用ウェアとクライミング用のウェアの違いは?
編集部N:前回はクライミングシューズとアプローチシューズについてお伺いしました。今度は、クライミングで着るウェアについて聞きたいと思います。
前回の記事:「話題のクライミングを始めたい。何から揃えれば? 前編」
福元さん:まず、クライミングジム(以下、ジム)で着るウェアについてご紹介しましょう。登山用のウェアは速乾性が重要なので、化学繊維製のものを着ている方が多いと思いますが、ジムで着るウェアはファッション性を重視して選ぶ人も多いです。機能や用途が違うので、好日山荘 池袋西口店では登山用ウェアとは売り場を分けています。
クライミング用のウェア売り場。華やかなデザインのものが目立つ
福元さん:クライミングウォール(以下、ウォール)を登る時に背中がよく見えるので、Tシャツのデザインは背中側に大きな柄が入っているものが多いですね。クライミング用のパンツも登山用のものとは素材やデザインが違います。登山用のパンツと違ってウォールでの動きやすさやファッション性に特化しているものが多いので、標高の高いところへ行く場合や、長時間歩くようなシーンには向いていません。クライミングジムで自分らしくオシャレにしたいという方にオススメです。例えば、デニム生地を使ったクライミングパンツもあります。
山登りには不向きとされるデニム生地だが、インドアクライミングでは問題ない
福元さん:登るたびにデニムの風合いが変わる。そんなファッションとしての魅力があるアイテムが人気です。
編集部N:登山者の目線で選ぶなら、山でもクライミングでも使えるものがほしいところです。また、岩稜帯のトレーニングをしたい場合は、外の岩場で使うことも視野に入れて製品を選びたいですね。そういった場合は、どんな製品がオススメですか?
福元さん:本格的に外の岩場を登る時は、ビレイ中(ロープによって自他の墜落時に備えること)や狭い岩場での移動など、ウェアの脱ぎ着で温度調整できないシーンもありますので、温度差があっても着脱なしで快適でいられるものが良いでしょう。上着なら、薄手のフリースのようなものがいいと思います。パンツは、生地が厚めで擦れに強いものがオススメです。例えば、バーグハウスの「ファスト クライム パンツ」は擦れやすい部分を強度の高いケブラー繊維で補強してあります。さらに生地に耐久撥水性があり、伸縮性・速乾性にも優れているので、クライミングジムのみならず登山や外の岩場でも力を発揮してくれるでしょう。
バーグハウス「ファスト クライム パンツ」
編集部N:山でも使えるものは、登山者として選びやすいですね。
福元さん:クライミングで着るウェアは、ジムなどのインドアではファッション性重視でOK。外の岩場に行く場合は、伸縮性と耐久性を重視して選ぶといいでしょう。
そもそも、チョークとはなにか?
編集部N:クライミングといえば、腰に下げているチョークバッグが印象的です。そもそもチョークを使う目的はなんでしょうか。
福元さん:吸水性に優れた炭酸マグネシウム(チョーク)を手につけることで汗を吸い取り、手指の汗で滑ってホールドから落ちるのを防ぎます。パウダータイプとリキッドタイプがありますが、チョークをつけてすぐに登れるパウダータイプを使うのが一般的です。つけてから乾かす時間が必要なリキッドタイプはまんべんなく手につき取れにくいので、ここぞというときやパウダーを使う前のベース作りで使うのがオススメです。
左からリキッドタイプ、パウダータイプ
福元さん:チョークの相性は人それぞれあります。相性が悪いと逆に滑りやすくなってしまう場合もあるので、クライミングを長く続けたいと思っている方は、自分用のチョークを、チョークバッグに入れて持っておくといいでしょう。
編集部N:チョークバッグの選び方でポイントはありますか?
福元さん:外の岩場でのクライミングや、岩場の取り付きまで長距離歩くような時は軽いチョークバッグがオススメです。ポケットが付いているものもあるので、貴重品をいれるのもいいでしょう。
ポケットが付いているチョークバックは、鍵などの小物の収納に便利
岩についたチョークを落とすためのブラシも持っておきたい
福元:ジムで使う場合や岩場でボルダリングをする場合は、置き型のバケットタイプがオススメです。応急処置のアイテムもポケットに入れておけるので、便利ですよ。
バケットタイプは大人数でも使いやすい
編集部N:自分のチョークバッグを持つと、気分も盛り上がりますね。クライミングにハマったら、マイチョークバッグも揃えたいところです。
福元さん:はい。ぜひ自分のスタイルにあったシューズ、ウェア、そしてチョークバッグを見つけてみてください。
プロフィール
福元 菜美(好日山荘 池袋西口店)
2013年に好日山荘に入社。登山歴7年、クライミング歴3年。屋久島にトレッキングに行った時に、モッチョム岳に登るクライマーを見たことがきっかけで山に目覚める。とんがった山好きで、アルパインクライマーに憧れる登山女子。実はサーフィン歴のほうが長い。
好日山荘 池袋西口店
日帰りハイキングから長期縦走、クライミング、沢登りまでさまざまな登山スタイルに対応する品揃えを誇る登山用品店。2階にある「マウントラボ」では、ロープワーク講習や山道具の選び方講座など、さまざまな勉強会が開催されている。
所在地/東京都豊島区西池袋3丁目27-12 池袋ウエストパークビル
TEL/03-5958-4315
営業時間/時短営業中につき好日山荘のWebサイトを参照
アクセス/池袋駅西口方面「1b」出口すぐ。
http://www.kojitusanso.jp/shop/kanto/#tokyo
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