東北の名峰・栗駒山。「神の絨毯」の全山紅葉だけではない、春から秋まで魅力たっぷりの山

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カバー写真=murozoさん

奥羽山脈のほぼ中央に位置する栗駒山は、宮城・岩手・秋田の三県にまたがる名峰だ。栗駒(くりこま)山という山名は宮城県での呼び名で、岩手では須川(すがわ)岳、秋田では大日(だいにち)岳とも呼ばれている。標高1626mの山頂からは、鳥海山、月山、蔵王連峰、岩手山、早池峰などの東北の名峰の数々が見渡せる。

栗駒山の魅力はさまざまだが、とくに有名なのが紅葉だ。9月下旬~10月上旬に最盛期を迎える紅葉は、全山が色づき「神の絨毯」と呼ばれるほど美しいことで知られる。「日本百名山」の深田久弥氏も、そのあとがきで「栗駒山も百名山に入れるべきであったかもしれない」と記しているほどの名峰なのだ。

火山である栗駒山は、周囲に湖沼や高層湿原が点在し、迫力ある火山地形と相まって独特の景観を見せている。また麓には温泉が数多く点在し、温泉とともに山旅を楽しみたい山だ。

「神の絨毯」の名にふさわしい、全山紅葉の栗駒山(写真/ブナ太郎さん

花の季節・新緑の季節もすばらしい!

紅葉が美しいということは、新緑の時期も美しい山でもある。秋に山を彩るカエデ類、ブナ、ミズナラ、ナナカマド、ドウダンなどは、5月初旬ころから一斉に芽を吹き、美しい新緑色に山肌を染める。

また、栗駒山は高山植物の美しい山としても知られる。まだ残雪が残る6月からは山上ではみごとなお花畑を楽しめ、サクラソウの仲間ヒナザクラで「花の百名山」(田中澄江選定)に選ばれている。なお、残雪が消えるのは例年6月中旬以降となる。

初夏は美しい高山植物が山を彩る(写真/kotobukimaruさん

さらに、宮城県側から6つ、岩手県から2つ、秋田県から1つと、登山コースが豊富なことも魅力のひとつ。宮城県側のいわかがみ平、岩手・秋田県側の須川温泉から山頂をめざすのが一般的で、それぞれのコースに違った表情を見せるのも栗駒山の魅力となっている。

柔らかな印象を受ける宮城県側の景観に対し、秋田、岩手県側は火山活動の痕跡が色濃く残り、火山地形も体験できる縦走コースも魅力的だ。自身の力量を見極めて、登山計画を立ててほしい。

季節を変えて、何度となく楽しめるの栗駒山の魅力ある登山コースを紹介する。

いわかがみ平から中央コース&東栗駒コース

宮城県側からの登山で、最もポピュラーな登山口となるのがいわかがみ平だ。ここからは東栗駒コースと中央コースという、2本の登山コースが延びている。

東栗駒コースは、東栗駒山を経て登るコースで山頂までは約2時間。沢沿いの段差の大きい大きな岩を苦労しながら登り、東栗駒山を過ぎると展望が広がり、高山植物の群落が現われる。栗駒草原と呼ばれる場所にヒナザクラが咲くのは6月中旬となる。

5月下旬、東栗駒山からの栗駒山。まだ残雪が多い(写真/aotoさん

中央コースは最短で登れるコース(約1時間半)。南斜面のため日当たりがよく、紅葉期はとくに秋色が映える。この2つのコースを登山・下山で利用して周回するのが魅力的だ。

なお、いわかがみ平は紅葉最盛期(9月下旬~10月中旬)の混雑対策のため、3.5km手前にある「いこいの村栗駒跡地駐車場」から先は交通規制が敷かれている。マイカーでのアクセスの場合は、シャトルバスを利用する。

南斜面の紅葉は陽の光で一際美しい(写真/8000さん

行程・コース

最適日数:日帰り 3時間10分
総歩行距離:6,716m /上り標高: 555m 下り標高: 555m
行程:いわかがみ平(08:00)・・・徒渉点(08:40)・・・東栗駒分岐(09:30)・・・栗駒山(須川岳)(10:00)・・・いわかがみ平(11:10)
高低図
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