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山岳マラソンで学ぶ、1泊2日テント泊登山の軽量化の秘訣。気象情報を制する者は軽量化を制する!?

登山道具の買い方・選び方、ショップのスタッフに聞きました!
道具・装備 2018年06月13日

1泊2日テント泊登山に行くとなると、必要な装備は多岐にわたる。テント、マット、シュラフ(寝袋)、防寒具、食料などをザックに詰めていくと、あっという間に重量が増えていく。これを軽量・コンパクトにするための「ウルトラライト」テクニックを、最近話題の「山岳マラソン」から学んでみよう!

 

最近、「登山装備の軽量化」「コンパクト化」「ウルトラライト」というテーマは登山界の大きなトピックスの1つとなっている。とくにテント泊登山における軽量化は、山を楽しむ・快適に歩く上で大きなファクターとなっている。

じわりと人気が高まっている山岳マラソン競技では、この登山装備の軽量化/コンパクト化というテーマは競技を有利に進めるうえで欠かせないテクニックだ。実際、山岳マラソン競技に出場するような人たちは、どのような軽量化を行っているのだろうか?

そこで今回は、実際に「石井マウンテンマラソン(以下、IMM)」へも出場している、ICI石井スポーツ登山学校の東秀訓さんに、実際の現場で行われている直伝の軽量化テクニックを教えてもらった。

 

普段の装備の総重量の8~9割、「最大6割」を目指そう!

マウンテンマラソンに出場する場合、身軽に行動するためにも、登山装備の軽量化は避けては通れないテーマになります。ただし軽量化は、IMMやOMM(オリジナル・マウンテン・マラソン)のような競技の中だけの話ではなく、夏山でのテント泊、さらには冬山登山でも大いに役立つテクニックになります。

これからお話する「軽量化の考え方」は、テント登山をする人の多くのためになるものと考えていますので、山岳マラソン競技に興味のない人にとっても、ぜひ参考にしてほしいテクニックです。

まず、軽量化に繋がる要因がどこにあるか考えてみましょう。方法としては、ひとつが今持っている装備を工夫して減らすこと、もうひとつが快適さを少し我慢して減らすことです。

前回も説明したように、登山の装備の基本的な発想は、「必要なものを足していく」ことになります。

★前回記事:マウンテンマラソンが教える登山スキル

登山中に、途中で補給できるものは限られているので、必要なものを忘れずにしっかり持っていくとのは、登山の大前提です。ただし、これを進めていくと日頃の生活をそっくりそのまま山に持ち込むということになってします。

通常の1泊2日のテント泊登山での必須装備というのは決まっていて、これは山岳マラソンでの必須装備のレギュレーショとほぼ同様で、外すわけにはいきません。

これらの必須装備を、普通の登山を想定して用意した場合の重量を「10」とすれば、簡単な工夫と少しの我慢で「9~8」くらいまでは割と簡単にできると思います。8~9割となると実感としては「ちょっとコンパクトになったかなぁ」程度だと思います。

さらにこれを、もうひと工夫もふた工夫して、今回は6割まで減らすことはできる! というお話を進めていきたいと考えています。

 

天候の読み、情報収集で装備・服装をセレクト

6割に減らすための最初のステップは、「天候の読み」という要因です。普段の登山でも同様ですが、天気や気象条件を知ることによって、その日の気候にフィットした服装を選ぶことができ、軽量化できる可能性が出てきます。

例えば、IMMの場合は、会場で選手登録して実際に競技がスタートするまでには1時間ほど時間がありますが、この時間は装備の内容を再度チェックする時間と考えてください。

登山で言えば、例えばマイカーで登山にいったときのようにデポできる(保管できる)環境で、登山口に到着して実際に登り始めるまでの時間に当たります。つまり、その日と翌日の気候にあわせて装備・服装をセレクトし直す時間です。

2日間の天気予報、つまり日帰り~1泊2日の登山中であれば、今の天気予報はかなりの精度で当たります。天気予報を確認して、例えば雨がしっかり降りそうだとなったら、GORE-TEXの3レイヤーのしっかりとした雨具が必要になると考えるし、雨に降られる可能性が非常に低いとなった場合は、2.5レイヤーの薄い、ミニマム構成の雨具を選ぶという選択もできます。

雨の心配がほぼなく、もっと軽くしたいというのであれば、防風程度に使える程度のものも選択肢の1つになります。これだけで、場合によっては100g以上の軽量化が実現できわけです。

その日の天候に合わせて、雨具を変えるというのは、簡単に考えられる軽量化の方法です。

 

10日間天気予報、36時間雨雲予想、そして標高を考えて服装を用意!

天気予報や気温予想についての調べ方についても説明しておきましょう。まずは一般的な気象情報ですが、大まかな場所であれば10日前から調べることができます。

★「tenki.jp」10日間天気予報

さらに、登山であれば、もう少し深掘りして「登山を予定している場所の、その時期の例年の気象状況」を確認してほしいと思います。

おおよその傾向は、実は意外と簡単に調べられて、気象庁のホームページの「過去の気象データ検索」から見ることが出来ます。

★気象庁ホームページ:過去の気象データ

この気象庁のホームページでは、例年の日毎のデータを調べられます。古いものは1976年からデータがあり、日毎の最低・最高の平均気温、平均降水量が確認でき、おおよその天気や気温の傾向がわかるようになります。

IMMに例えると、静岡県の稲取がいちばん近い場所になりますが、5月の下旬で確認すると、最高が22℃、最低が15℃くらい、降水量は非常に少ないことが確認できます。

5月の静岡県・稲取の気象状況を確認してみると、5月後半は最高気温は22℃前後、最低気温は15℃前後、降水量は6mm程度という傾向を確認できる

 

さらに地形的なことも踏まえると――、大会の会場は稲取より標高が最大で1000mあたりまで上がるので、100mで0.7℃の気温が下がると仮定すると、最低気温は7~8℃あたり、と予想できます。

この気温から類推すると、「夏の八ヶ岳くらいかなぁ」などと予想でき、「シュラフ(寝袋)は3シーズンではなくサマーシーズンでいけるのではないか」など、予想しながら準備できるようになります。

山で連想できなくても、自分がふだん住んでいる場所と比較・確認できれば、だいたいの気候の様子を把握することができるでしょう。闇雲に「寒いかもしれない」と恐れてないで、しっかりデータを活用して数字で確認して、そのときに応じた登山用具を用意できるようにしてほしいと思います。こうした工夫の積み重ねが、装備の9割~8割、さらには6割へと導く前提となります。

 

当日の天候は「雨雲の動き」も確認する

当日の気温の予想は、こうしてある程度予想できますが、やはり最大の要因は当日の天気です。雨が降るか降らないか、日差しが強いかどうかによって、用意する装備はもちろん、行動中に必要な水分についても大きく変わります。

実は軽量化に大きく左右するのが水の量で、500mlを節約すれば、500gも軽量化が可能になります。どうも天気は曇りがちで涼しいというのであれば、水を飲む量を抑えることも考えられるし、すごくいい天気で暑くなりそうという場合は、十分な量の水分を用意する必要があります。

持参する水や行動食というのは重量に大きく響くので、当日の天気傾向は10日ほど前から天気を見て、どきどきわくわくしながら、天気を見てみてください。気温が高い時/低い時、雨の時/晴れの時、というのを予想して、装備を2種類くらい想定しながら用意するのも良いでしょう。

そして登山当日の天気の予想に、私が最終的に利用しているのが「GPV 気象予報」です。

★GPV気象予報 (スマートフォン版はこちら

このWebサイトでは、地域別では39時間、最大で264時間の雨雲の動きを確認できます。「Yahoo! 雨雲レーダー」も有効ですが、最大で6時間までです。一方、GPV 気象予報は大雑把で確率は下りますがすが39時間まで予想できるので、登山で言えば1泊2日の雲の動きを確認できます。

もちろん、予想は絶対ではなく傾向を知ることだけしかできませんが、「今降っている雨が何時頃にやむのか」などであれば、十分に見当をつけられます。経験的には、12時間以内であれば信頼性は高めです。さまざまな気象情報に目を通して、用意する装備を考える習慣を身につけてください。

 

発汗量が多くなるので、汗戻りさせないアンダーウェアを!

こうして気候に合わせて着るもや装備を選ぶことで軽量化を図れますが、やはり登山中は多くの汗をかくことになるので、ベースレイヤーの着替えは必ず用意したいところです。

着替えは多くは用意できないと思うので、不快になりにくい工夫はしておく必要があります。そこで汗が肌に戻らないメッシュのもを使うことは、かなり有効な方法です。

ミレー/ドライナミックメッシュ 3/4スリーブ
ファイントラック/スキンメッシュ®ロングスリーブ

こうしたインナーを使うことで、ベースレイヤーの着替えを少なくできる効果はもちろん、汗濡れの衣類を持たずに済むことも重量に影響も与えます。

汗で濡れたままの服装で寝るのは辛いし、衣服が乾いていれば寝る時の防寒対策も少なめで済むようになります。汗濡れを防げれば、いちばん嵩張るシュラフを小さくできることにもなるので、汗戻り対策は効果的な軽量化となるでしょう。

 

ここまでをまとめると――

  • しっかり天気予報を確認する
  • その地域/山域の気象条件の傾向を知っておく
  • 山域の標高と気象条件の傾向を組み合わせて、もっと詳しい予想を立てる
  • 直前に雲の動きを確認して雨の心配がどの程度が確認する

こうして、どういう気象条件にさらされる可能性があるのか確認して、用意するウェア類や寝具について考えてくださいください。

※次回は、テント・ザック・寝具編へ――

 

教えてくれた人

東 秀訓

高校の教員時代に国民体育大会山岳競技に出場。当時の踏査競技(オリエンテーリング形式に近い)で2回入賞の経験がある。
競技生活とともに生徒とヒマラヤへ遠征。その他ヒマラヤ6000mの数座登頂・アルパインスタイル初登攀や8000mの登頂、アルプスEDルートの登攀、モンブラン、マッターホルン、ドリューの秀峰に登る。
現在ICI登山学校事務局勤務と共に、長野県山岳総合センターアドバイザーを務める。
石井マウンテンマラソンには、サポートとして活躍しながらも、選手としても出場する。

石井山専新宿東口ビックロ店

首都圏最大級の山・アウトドアの大型専門店。「安全」をテーマに、ユーザーのライフスタイルに合わせたさまざまな商品を提案している。店内では、登山学校の講習やワークショップなども開催中。

住所/東京都新宿区新宿3-29-1 ビックロ 新宿東口店内 8F
TEL/03-5312-9550
営業時間/11:00~20:00
アアクセス/新宿三丁目駅A5直結、新宿駅・西武新宿線西武新宿駅下車徒歩5分  ⇒ホームページ

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