群生するアジサイ、ツツジ、スズラン・・・ 梅雨の6月に登りたい花の山
6月は梅雨の雨を受けて花々がみずみずしく輝く季節。この時期だからこそ登りたい、花の名山を紹介します。
文=石丸哲也
目次
1万5000株というアジサイや名木をたずねて
金比羅山(こんぴらさん)・南沢あじさい山
JR五日市線武蔵五日市駅~千年杉~南沢あじさい山~金比羅山~五日市駅/日帰り 3時間25分
日の出山から南東へ延びる金比羅尾根は御岳山(みたけさん)や日の出山からの下山によく利用されている。その末端の金比羅山北面には都内指折りのアジサイの名所、南沢あじさい山が広がる。付近には名木や史跡、美術館もあり、金比羅山とあわせて歩いても実働半日。手頃で楽しみの多いハイキングができる。
武蔵五日市駅からしばらくは山あいの車道歩きだが、車は少なく、早くもアジサイの花が点々と見られる。丸太で造られた赤い帽子の妖精ZIZIは彫刻家、友永詔三氏の作品だ。友永氏の美術館にも寄れる。コース最奥の深沢屋敷跡は地域の有力者、深澤家の屋敷跡。三多摩自由民権運動を象徴する「五日市憲法草案」が発見され、東京都の史跡に指定されている。千年の契り杉は幹周り約7.8m、高さ約45mの大木。2本の幹が20mほどの高さで繋がっていることが名前の由来とされる。山抱きの大樫は石灰岩の露頭に根を張ったウラジロガシ。高さは20mほどだが、枝の差し渡しは30m近く、幹周りは約6.5mもあり、生命力の強さを感じられる。
南沢あじさい山は地主の南沢忠一さんが半世紀にわたり、谷あいの斜面に植え続け、現在はクラウドファンディングで保全されている。入口付近は白やピンクなど様々な品種が、奥には水色のアジサイが多く植えられ、それぞれに目を楽しませてくれる。
林道を進み、指導標に従って山道を登り金比羅尾根に出たら尾根道を南下する。金比羅山は直下に金比羅神社、休憩舎とトイレがあり、山頂の巨岩基部の石祠に山岳信仰の歴史がしのばれる。春はサクラやツツジが咲く金比羅公園を下り、車道に出たら、住宅地を縫って武蔵五日市駅へ戻る。金比羅山から南へ下り、秋川に臨むカフェ「野外テラス水の音」、秋川南岸の遊歩道に寄るコースも楽しい。
MAP
6月に見られる花
1万5000株という南沢あじさい山のアジサイは都心などより遅れて6月下旬~7月上旬ごろ見頃となる。同じ頃、コース沿いで野生のウツボグサ、オカトラノオ、テリハノイバラなど、植栽されたビヨウヤナギ、タチアオイなどの花も見られる。
山麓情報
深沢小さな美術館は彫刻家、友永詔三氏の個人美術館。木彫、ランプ、NHKの人形劇「プリンプリン物語」のために友永氏が製作したパペットなどが展示され、ファンタスティックな世界に浸れる。10~17時、水・木曜と12~3月休館。入館料500円。南沢あじさい山は例年6月中旬~7月上旬の9~17時開園、期間中無休。入山料600円。
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山を歩く、花を楽しむ
全国で人気の花の山、関東周辺「花の百名山」のコースガイドや、花に関するコラムを掲載。
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