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「日本3百名山ひと筆書き」は3年目に突入! 磐梯山、西吾妻山、安達太良山、一切経山。一山ずつ、じっくり山と向き合い、登っていく

田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き」旅先インタビュー
ガイド・記録 2020年05月07日

田中陽希さんの「日本3百名山ひと筆書き」は3年目に突入。会津若松市内で年末年始を過ごした陽希さんは、磐梯山で3年目の登山をスタートさせた。西吾妻山では樹氷原を歩き、噴火規制レベルの下がった一切経山を登った。暖冬で雪が少ない中で、あるコトを決断するのだった・・・。

POINT
  • 3年目のスタートは磐梯山から
  • まるで迷路のような西吾妻山の樹氷原。山頂はGPSで確認
  • 「雪が増えるのを待つ」。250座に登頂後に下した決断

 

旅は3年目に突入! 磐梯山、西吾妻山、焦らずにひとつひとつ登る

1月4日、天気予報を見て、翌日に会津若松を出発することを決め、もう一度、蚕養國神社にお参りしました。

翌日、磐梯山の麓の猪苗代町へ18km移動しました。久しぶりにバックパックを背負って歩いたことで、ようやく3年目がスタートした、と感じました。

磐梯山への移動。バックパックを背負って、いよいよ旅を再開


磐梯山でもまずは下見登山です。猪苗代リゾートスキー場が雪不足でオープンできてなかったので、許可をもらって登り、森林限界の標高1500m付近まで登りました。

磐梯山の南斜面の積雪量は少なく、山頂から標高差300m下まで登ったところで、下見登山を終了しました。天気予報を見て、明日は裏磐梯へ抜けると決めました。

磐梯山も下見登山から


1月7日、押立(おったて)温泉の宿を、夜明けとともに出発し、2020年の1座目、全体で247座目の磐梯山を目指しました。朝から風もなく快晴で、下見を生かして、前日の半分の時間で1500mまで登ることができました。山頂からは360度の大展望で、猪苗代湖と会津盆地、越後、日光、会津の山、朝日連峰、月山、飯豊連峰、蔵王、次に目指す吾妻連峰が見えました。

天気良く、磐梯山は展望抜群


北側は雪が多かったのですが、暖冬の影響で、有名な「イエローフォール」はできていなかったようで、立ち寄らず、山を下ってから、小野川湖近くのペンションまで歩きました。

北斜面には雪が多かった


次に向かうのは、吾妻連峰の西吾妻山と一切経山でした。

1月9日は、早稲沢コースから西大巓までを下見登山しました。初めて登るコースで、5時間かけて西大巓まで登りました。20時くらいまで、西から一切経山まで吾妻連峰を縦走するかを悩んでいたのですが、下見によって、1泊2日で冬の吾妻連峰の縦走は厳しいと判断しました。

1泊2日で西吾妻山だけを登る。初日はこんな天気


天気予報をいろいろ見ても、それぞれバラバラで、2泊3日は天気が安定しそうにありません。そこで、まずは西吾妻山だけをしっかり登ることを考えました。引き返す、日帰りする、小屋1泊で登るの3つ選択肢で考えている中で、小屋泊の準備をして臨みました。

1月10日、視界不良の中を進む中で、小屋泊と決め、西吾妻小屋へ。小屋内は気温−6℃で、テントも立てて泊まりました。結果として、この日は一度も晴れませんでした。

気温が低く、避難小屋内にテントを張る


翌11日も、朝は真っ白だったので、直接山頂に登らず、時間をかけてゆっくり登って、吾妻神社、天狗岩とめぐり、梵天岩で1時間、天気を待ちました。

天気がなかなか回復しなかったが・・・


9時頃からようやく晴れ始めて、10時になったら、樹氷が姿を表しました。

樹氷があることはわかっていたのですが、どのくらいの量、どのくらいの広さであるのかは、全くわかっていなかったので、「すごいところにいるんだな」と驚きました。

雲が晴れたら別世界。樹氷の数と大きさに驚く


樹氷原は迷路のようで、本当に動物や恐竜にも見えました。これまでで一番の景色を写真に残しました。山頂標識は雪に埋まって見当たりませんので、GPSで山頂に立ったことを確認しました。

スノーモンスターの迷路を歩く


西吾妻山から一切経山への縦走はしたかったですけど、あそこまでホワイトアウトしていましたし、天気も読めませんでした。この季節は、前向きな「仕方がない」が大切だと感じました。この日も結果としては、4時間ちょっとしか晴れていなかった中で、最高の快晴の中を歩けました。

縦走ではなく、西吾妻山だけを登ると決めて、3つ目の選択肢、「1泊2日」にしてよかったなと思いました。

裏磐梯でクロスカントリーの練習をする小学生を見て、昔を思い出す

 

強風の安達太良山、規制解除の一切経山を登り、帰宅を決める!?

一切経山をスキップし、安達太良山を先に登ることにして、1月13日は、沼尻登山口から下見登山をしました。標高1650mの障子ヶ岩付近まで登ったのですが、目標の船明神山は全く見えずに、引き返しました。雪が少なく、灌木が覆いきれていない。これまでで一番むずかしいコンディションでした。

灌木が覆いきれていない。これまでで一番むずかしいコンディション


その後、3日間の停滞。「山からの『待て!』が続いている」


1月17日、天気予報は晴れだったのに、朝は曇っていました。翌日の予報も悪かったので、この日に賭けて、回復を期待して登り始めました。下見の時より積雪が増えてトレースも消え、さらに登りにくくなっていました。障子ヶ岩までホワイトアウトの中で、船明神山を越えて、最後の1時間でようやく晴れたものの、稜線は風が強く、とても寒かったです。とにかく晴れてくれてよかった。信じて登ってきて報われたという気持ちでした。

見事なエビの尻尾ができていた。安達太良山山頂手前でようやく晴れてくれた


百名山の時以来の安達太良山でしたが、あの時は磐梯山から安達太良山に一日2座でしたので、今回は安達太良山としっかり向き合うことができました。

1月18日は、26㎞の移動で、標高750mから200mまで下り、再び750mへ。高湯までは急なので、ハードな行程になりました。

次の一切経山は、2018年にスタートした時点では噴火警戒レベルが高く、登ることができない山でした。当初は手前の家形山までで登頂とする予定でしたが、2年経って噴火警戒レベルが下がり、タイミング良く、一切経山に登れることになりました。

この日の天気は微妙で、半分半分の確率で考えていました。踏み跡があるかもわからなかったので、引き返す覚悟を持って、登り始めました。踏み跡はあったのですが、あっという間に、先行者に追いついてしまい、そこからはラッセルすることになりました。その前日のトレースもあったのですが、途中まででした。

噴火規制レベルが下がり登れることになった一切経山


山頂からは、大穴火口からは白い噴煙が見られ、吾妻小富士のきれいな火口がはっきりと見えました。こういう形の火口跡を見たのは初めてでした。

ここまでいくつかの山が下見、本番と登ったのに対して、一切経山は、下見なしで登頂できました。

吾妻小富士は雪を纏ってきれいな火口を見せていた


節目の250座に登頂し、下山後、ホテルで考えて、一度自宅に帰ることを決めました。雪が少なすぎて登りにくい山が多く、もう少し雪が増えるのを待つ必要があったのです。

荷物を半分くらい事務所に送り返し、福島から神奈川まで320㎞の移動しました。

福島から神奈川へ、320kmの帰宅開始


岳温泉にあるソースカツ丼の名店は、残念ながら休業日


1年ぶりの紅白だるま(1月22日、福島県白河市)


栃木県へ入る。ロード移動では、投げ捨てゴミに憤慨(1月23日)


宇都宮市ではザ・ノース・フェイスの直営店2店舗に立ち寄る(1月24日、25日)


さいたま市でも直営店に立ち寄る(1月28日)、荒川を渡り東京都へ(1月29日)


神奈川県大和市へ。1年1か月ぶりの帰宅(1月30日)

 

*****

自宅に戻った田中陽希さんは、約2週間の間、計画の練り直しと次の山への準備・調査、宿の手配などを休むことなく行った。

2月11日には大和市で旅先交流会を開催。約400人のファンが集まった。



神奈川県大和市での交流会の様子。約400人のファンが集まった


そして、2月12日、再び自宅を出発。251座目を目指して、旅を再開させたのだった。


東北へ戻る途中、山と溪谷社にも立ち寄り ”萩原編集長” に計画を説明

 

取材日:2020年2月14日
取材協力=グレートトラバース事務局

 

関連リンク

「日本3百名山ひと筆書き」に挑戦中の田中陽希さんを応援しよう!
もっと知りたいという方は、ウェブサイトで。
グレートトラバース事務局ウェブサイト
http://www.greattraverse.com/

 

今回のレポートで登った山のまとめ

磐梯山 [1月7日]

西吾妻山 [1月11日]

安達太良山 [1月17日]

一切経山 [1月19日]

記録・ルポ
教えてくれた人

田中 陽希

1983年、埼玉県生まれ、北海道育ち。学生時代はクロスカントリースキー競技に取り組み、「全日本学生スキー選手権」などで入賞。2007年よりチームイーストウインドに所属する。陸上と海上を人力のみで進む「日本百名山ひと筆書き」「日本2百名山ひと筆書き」を達成。
2018年1月1日から「日本3百名山ひと筆書き グレートトラバース3」に挑戦中!

http://www.greattraverse.com/

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