| 谷川岳登山指導センター
2024.04.23
麓の雪が解け春らしくなってきましたが、まだまだ冬山装備が必携です
深田久弥の『日本百名山』の中から、関東周辺の日帰り可能な15コースをピックアップ。いずれも魅力たっぷり、レベルも初級~中級なので、次にどこに登ろうかと悩んでいる初級者にもおすすめだ。
なお、「日帰り」は、入下山が日帰り可能なコースを紹介している、という意味なので、都内を朝に出て日帰りで帰宅するのは厳しい山もある。山麓で前後泊したり、コースに山小屋があれば一泊してもいいだろう。
また、基本的に無雪期登山として紹介しているが、3月時点ではまだ積雪があり、公共交通も冬季アクセスとなっている山が多い。夏山シーズンの計画として役立てていただきたい。計画時には積雪状況、アクセスについて確認を。
那須岳は茶臼岳、三本槍ヶ岳などの山々の総称。主峰の茶臼岳まではロープウェイを使って往復1時間半で登れるので、初心者やファミリー、遠足の小学生の姿も見られる。
那須連峰の最高峰・三本槍ヶ岳まで足を延ばせば、充実した登山になる。紅葉の時期は、特に紅葉が美しい姥ヶ平に向かうのもおすすめだ。
日程に余裕があれば、三斗小屋温泉に泊まって、山中の秘湯を満喫してみてはどうだろう。
高低図
観光地としても人気の日光・中禅寺湖の湖畔に堂々とそびえる男体山。二荒山神社のご神体でもあり、初夏から秋の開山期間に、登拝料1000円を支払い入山する。
コースは二荒山神社からの往復という単純な行程だが、ひたすら急登が続き、ガレ場もあり、コースタイムも約7時間と、初心者にはややキツい。交通アクセスが難しいが志津小屋方面へ抜けることも可能。
開山期間中は、通常朝6時から二荒山神社で受付を開始するが、8月の登拝祭期間には、夜間登山が可能で、ご来光を目的にする登山者で賑わう。
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日光白根山(2578m)は、丸沼高原から標高2000mまでロープウェイで登れる手軽さで人気の山だ。
山頂には中禅寺湖や男体山、遠く富士山など360度の展望が広がる。時間と体力に余裕があれば、五色沼まで足を延ばしてみるのもいいだろう。
花名の由来となったシラネアオイをはじめ、カニコウモリやイワカガミ、ハクサンシャクナゲなど、様々な花も魅力だ。
日光白根山ロープウェイ利用のコースのほか、湯元温泉や菅沼からのコースもある。
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群馬・新潟県境に位置する谷川岳。2000m未満の山ながら大岩壁や高山植物がみられ、多くのクライマーや登山者を魅了してきた。
一般ルートでは、ロープウェイで天神平へ行き、天神尾根を歩くのが人気。雪どけ後に花の季節が訪れ、天神平や双耳峰(トマノ耳、オキノ耳)の間などがお花畑に彩られる。10月上旬頃の紅葉も魅力だが、降雪の可能性もあるので注意。ロープウェイの運行時間を確認し、余裕を持って行動しよう。
そのほか、西黒尾根や田尻尾根のルートもある。
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沖武尊を主峰に、前武尊、剣ヶ峰、家ノ串、川籠岳(中ノ岳)、剣ヶ峰山などが連なる武尊山。深田はその障壁のような山なみに惹かれ、登頂以前、上州の山へ登るたびに眺めては憧れを募らせていたという。
武尊神社駐車場(裏見ノ滝駐車場)から、剣ヶ峰山、沖武尊をつなぐのが最短の周回コース。急坂、行者ころげなどの難所、信仰を感じる石碑や祠、山頂や稜線からの眺望……と、バラエティに富む山行を味わえる。
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関東平野に裾野を広げる美しい山容を持ち、群馬を代表する上毛三山の一山。赤城山は複数の山々からなる複成火山の総称で、最高峰は1828mの黒檜山だ。
首都圏からのアクセスの良さも魅力。黒檜山だけでなく、地蔵岳、長七郎山など赤城山を構成する山々を訪ねてみるのもいいだろう。
赤城山周辺では登山をはじめ、キャンプやサイクリング、カヌーなどアウトドアが四季を通じて楽しめる。冬は大沼のワカサギ釣りが有名だが、雪山登山も比較的初級者向きだ。
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標高877m(女体山)の筑波山は、百名山で最も低い山だ。
筑波山の美しい山容は東京からもよくわかり、江戸の人々には「東の筑波、西の富士」と並び称された。万葉集など和歌にもしばしば詠まれ、古くから信仰と親しみをもたれてきた山だ。
コースは南北に複数あり、さらにロープウェイとケーブルカーも走っているので、様々なプランニングが可能。奇岩巡りを楽しむなら、白雲橋コースまたはおたつ石コース経由がおすすめ。御幸ヶ原には展望台と休憩所がある。
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山容があずまやに似ていることが名前の由来という四阿山(あずまやさん)。スキーリゾートや夏の避暑地として人気の菅平にそびえ、深田は四阿山と根子岳がなければ菅平の値打ちはなくなるとまで言っている。
群馬側を含め複数のコースがあるが、花の百名山・根子岳と合わせて菅平から周回するコースが人気だ。6月にはレンゲツツジが美しい。冬季も比較的登りやすいので、雪山初心者やスノーシューハイキングにもおすすめだ。冬季はあずまや高原ホテルからの往復コースが人気。
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ゆったりと美しい裾野を広げる浅間山は、現在でも火山活動が活発な火山。登山前には警戒レベルを気象庁のHPで確認しよう。
山頂へ近づくと荒涼とした火山礫の道に変わり、ダイナミックな火山の力を感じる景観が魅力だ。車坂峠または、浅間山荘から入山する。黒斑山は浅間山の絶好の展望台だ。百名山挑戦時に入山規制で前掛山に登れないときは、黒斑山で代替することも。
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山梨・長野県境にあり、奥秩父の盟主として名高い金峰山。頂上にそびえる五丈岩が目立ち、周辺からもこの山をよく見つけられる。
最短かつ最もにぎわうのは、大弛峠から朝日岳を経るルート。大弛峠へ至る林道川上牧丘線の開通期間である6月頃〜11月頃に歩いてみよう(バスも例年、同時期の土日祝のみ運行。要確認)。
ほか、廻り目平や瑞牆山荘からのルートもある。途中の山小屋に泊まり、瑞牆山とセットで登ってもいいだろう。
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| 金峰山小屋
2024.04.25
雪解けも進み、標高2200m付近から小屋までの樹林帯は積雪20〜40cmです
| 瑞牆山荘
2024.04.25
GW中、瑞牆山チェーンスパイク。金峰山6本爪アイゼンで。マイカーは駐車場混雑します
「まるで針葉樹の大森林から、ニョキニョキと岩が生えているような趣である」。深田が記すとおり、瑞牆山は樹林帯と花崗岩の姿が特徴的な山だ。
6月中旬は道中のシャクナゲ、10月中旬〜11月上旬には紅葉が見頃に。岩の山頂に立つと、目前の金峰山、八ヶ岳やアルプスなどが見渡せる。
瑞牆山荘から富士見平を経て、南面を登るのが最短コース。北面の不動沢沿いのコースと合わせて周回する場合、みずがき山自然公園を起点にもできる。
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中里介山の小説『大菩薩峠』で知られ、多くの人が訪れる大菩薩嶺。深田は加えて初心者に恰好の山だからであるとし、東京から日帰り可能、変化のある安全なコース、雄大な展望、2000mの高さの空気が吸えること、を挙げている。
最寄り口の上日川峠を起点に周回し、大菩薩峠〜大菩薩嶺の草尾根歩きを満喫しよう。上日川峠への県道201号、218号は冬期通行止(バスも例年4月中旬〜12月中旬の土日祝を中心に運行。要確認)。
ほか、西方の大菩薩峠登山口側からのルートもある。下山後は甲斐大和方面のやまと天目山温泉、塩山方面なら大菩薩の湯に立ち寄ってもよいだろう。
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奥秩父の北端にある両神山は、古くから山岳信仰の対象とされてきた。ノコギリの刃のように険しい山容は、遠くからでも分かる。
山頂手前にある両神神社にはイザナミ・イザナギが祀られ、神の眷属とされるオオカミの"狛犬”が鎮座する。
コースは複数ある。代表的なものは表参道コース。いずれのコースもクサリ場があるが、表参道コースは比較的少なく、登りやすい。クサリが連なる岩稜を歩く八丁尾根コースでは、滑落死亡事故も起きているため、慎重な計画を。
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『日本百名山』で「丹沢山」を挙げた深田は「個々の峰ではなく、全体としての立派さからである」と記し、丹沢山塊として紹介している。
その一座で、とりわけ人気なのが塔ノ岳。ヤビツ峠から鳥尾山を経る表尾根と、大倉からの標高差約1200mを結ぶ大倉尾根がよく歩かれている。これらを日帰りでつなぐと、歩きごたえのある縦走に。
塔ノ岳から丹沢山へ足を延ばして山小屋に泊まり、ゆっくり丹沢を楽しむのもよいだろう。
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| 秦野ビジターセンター
2024.03.15
日陰には雪が残っています
| 西丹沢ビジターセンター
2022.08.02
用木沢出合~犬越路区間、用木沢出合~白石峠区間の通行止め解除
| 蛭ヶ岳山荘
2024.04.23
遅霜も降りずすっかり春らしいくなった蛭ヶ岳。山頂のマメザクラ一輪開花。季節は芽吹きとお花開花へ
温泉街があり観光地として人気の伊豆。伊豆半島の最高峰が天城山の万三郎岳だ。
伊豆半島の固有種「アマギシャクナゲ」の群落があり、花期の5月中旬~6月上旬は人気が高い。植生保護のため、現在は一部が通行止めになっている。ブナやヒメシャラの林も美しいので、混雑する花期を避けて静かな時期に登るのもおすすめだ。
下山後には伊豆の名湯で汗を流そう。
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