関東周辺の日帰りで登れる百名山15コース

谷川岳(写真:shiro さんの登山記録より)

文/編集部、猪山文章

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群馬、山梨、埼玉、神奈川…関東周辺の日帰り百名山を紹介

深田久弥の『日本百名山』の中から、関東周辺の日帰り可能な15コースをピックアップ。いずれも魅力たっぷり、レベルも初級~中級なので、次にどこに登ろうかと悩んでいる初級者にもおすすめだ。

なお、「日帰り」は、入下山が日帰り可能なコースを紹介している、という意味なので、都内を朝に出て日帰りで帰宅するのは厳しい山もある。山麓で前後泊したり、コースに山小屋があれば一泊してもいいだろう。

また、基本的に無雪期登山として紹介しているが、3月時点ではまだ積雪があり、公共交通も冬季アクセスとなっている山が多い。夏山シーズンの計画として役立てていただきたい。計画時には積雪状況、アクセスについて確認を。

噴煙立ち上るダイナミックな火山 那須岳(中級/栃木)

那須岳は茶臼岳、三本槍ヶ岳などの山々の総称。主峰の茶臼岳まではロープウェイを使って往復1時間半で登れるので、初心者やファミリー、遠足の小学生の姿も見られる。

那須連峰の最高峰・三本槍ヶ岳まで足を延ばせば、充実した登山になる。紅葉の時期は、特に紅葉が美しい姥ヶ平に向かうのもおすすめだ。

日程に余裕があれば、三斗小屋温泉に泊まって、山中の秘湯を満喫してみてはどうだろう。

行程・コース

【日帰り】ロープウェイ山頂駅から那須連山を往復
■総コースタイム5時間55分 標高差+850m、-1,151m
山頂駅(08:00)・・・茶臼岳(08:40)・・・峰ノ茶屋跡(09:05)・・・朝日岳分岐(09:40)・・・朝日岳(09:50)・・・朝日岳分岐(09:55)・・・清水平(10:30)・・・中ノ大倉尾根分岐(10:45)・・・三本槍岳(11:20)・・・中ノ大倉尾根分岐(11:45)・・・清水平(11:55)・・・朝日岳分岐(12:40)・・・峰ノ茶屋跡(13:10)・・・県営駐車場(13:45)・・・山麓駅(13:55)

高低図

関連する登山記録

中禅寺湖の湖畔にたたずむ下野富士 男体山(中級/栃木)

観光地としても人気の日光・中禅寺湖の湖畔に堂々とそびえる男体山。二荒山神社のご神体でもあり、初夏から秋の開山期間に、登拝料1000円を支払い入山する。

コースは二荒山神社からの往復という単純な行程だが、ひたすら急登が続き、ガレ場もあり、コースタイムも約7時間と、初心者にはややキツい。交通アクセスが難しいが志津小屋方面へ抜けることも可能。

開山期間中は、通常朝6時から二荒山神社で受付を開始するが、8月の登拝祭期間には、夜間登山が可能で、ご来光を目的にする登山者で賑わう。

行程・コース

【日帰り】中禅寺湖畔から男体山を往復
■総コースタイム 5時間35分、標高差:+1284m、-約1284m
二荒山神社前(08:00)・・・三合目(08:50)・・・四合目(09:10)・・・八合目(10:30)・・・男体山(11:20)・・・八合目(11:50)・・・四合目(12:50)・・・三合目(13:05)・・・二荒山神社前(13:35)

高低図

首都圏からのアクセスも便利 日光白根山(初級/群馬・栃木)

日光白根山(2578m)は、丸沼高原から標高2000mまでロープウェイで登れる手軽さで人気の山だ。

山頂には中禅寺湖や男体山、遠く富士山など360度の展望が広がる。時間と体力に余裕があれば、五色沼まで足を延ばしてみるのもいいだろう。

花名の由来となったシラネアオイをはじめ、カニコウモリやイワカガミ、ハクサンシャクナゲなど、様々な花も魅力だ。

日光白根山ロープウェイ利用のコースのほか、湯元温泉や菅沼からのコースもある。

行程・コース

【日帰り】ロープウェイ山頂駅から日光白根山を周回
■総コースタイム 4時間15分、標高差:+817m、-約817m
山頂駅(08:00)・・・七色平分岐(08:40)・・・日光白根山(10:20)・・・分岐(10:55)・・・弥陀ヶ池(11:05)・・・分岐(11:10)・・・七色平北分岐(11:45)・・・山頂駅(12:15)

高低図

上越国境にそびえる双耳峰 谷川岳(初級/群馬・新潟)

群馬・新潟県境に位置する谷川岳。2000m未満の山ながら大岩壁や高山植物がみられ、多くのクライマーや登山者を魅了してきた。

一般ルートでは、ロープウェイで天神平へ行き、天神尾根を歩くのが人気。雪どけ後に花の季節が訪れ、天神平や双耳峰(トマノ耳、オキノ耳)の間などがお花畑に彩られる。10月上旬頃の紅葉も魅力だが、降雪の可能性もあるので注意。ロープウェイの運行時間を確認し、余裕を持って行動しよう。

そのほか、西黒尾根や田尻尾根のルートもある。

 

行程・コース

【日帰り】ロープウェイで天神平に立ち天神尾根を谷川岳山頂へ
■総コースタイム 4時間30分、累積標高差 +707m、-899m
天神峠(08:00)・・・分岐(08:15)・・・熊穴沢避難小屋(08:45)・・・谷川岳肩ノ小屋(10:10)・・・トマの耳(10:20)・・・オキの耳(10:30)・・・トマの耳(10:40)・・・谷川岳肩ノ小屋(10:45)・・・熊穴沢避難小屋(11:50)・・・分岐(12:15)・・・天神峠(12:35)

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上州に連なる信仰の山 武尊山(中級/群馬)

沖武尊を主峰に、前武尊、剣ヶ峰、家ノ串、川籠岳(中ノ岳)、剣ヶ峰山などが連なる武尊山。深田はその障壁のような山なみに惹かれ、登頂以前、上州の山へ登るたびに眺めては憧れを募らせていたという。

武尊神社駐車場(裏見ノ滝駐車場)から、剣ヶ峰山、沖武尊をつなぐのが最短の周回コース。急坂、行者ころげなどの難所、信仰を感じる石碑や祠、山頂や稜線からの眺望……と、バラエティに富む山行を味わえる。

行程・コース

【日帰り】武尊神社から武尊山(沖武尊)を周回
■総コースタイム 6時間35分、標高差+約1,304m、-約1,304m
武尊神社駐車場(08:00)・・・須原尾根分岐(08:50)・・・武尊沢徒渉点(09:50)・・・武尊山(沖武尊)(11:55)・・・手小屋沢避難小屋(13:25)・・・須原尾根分岐(13:55)・・・武尊神社駐車場(14:35)

高低図

関東平野に堂々とそびえる 赤城山(初級/群馬)

関東平野に裾野を広げる美しい山容を持ち、群馬を代表する上毛三山の一山。赤城山は複数の山々からなる複成火山の総称で、最高峰は1828mの黒檜山だ。

首都圏からのアクセスの良さも魅力。黒檜山だけでなく、地蔵岳、長七郎山など赤城山を構成する山々を訪ねてみるのもいいだろう。

赤城山周辺では登山をはじめ、キャンプやサイクリング、カヌーなどアウトドアが四季を通じて楽しめる。冬は大沼のワカサギ釣りが有名だが、雪山登山も比較的初級者向きだ。

行程・コース

最適日数:  日帰り 4時間5分
総歩行距離:  5,131m  上り標高: 577m  下り標高: 577m
行程: 大洞(08:00)・・・黒檜山登山口(08:25)・・・猫岩(08:55)・・・黒檜山(10:05)・・・天空の広場(10:10)・・・黒檜山(10:15)・・・花見ヶ原分岐(10:25)・・・駒ケ岳(11:15)・・・下降地点(11:30)・・・大洞(12:05)

高低図

低山ながら歴史あり、見どころあり 筑波山(初級/茨城)

標高877m(女体山)の筑波山は、百名山で最も低い山だ。

筑波山の美しい山容は東京からもよくわかり、江戸の人々には「東の筑波、西の富士」と並び称された。万葉集など和歌にもしばしば詠まれ、古くから信仰と親しみをもたれてきた山だ。

コースは南北に複数あり、さらにロープウェイとケーブルカーも走っているので、様々なプランニングが可能。奇岩巡りを楽しむなら、白雲橋コースまたはおたつ石コース経由がおすすめ。御幸ヶ原には展望台と休憩所がある。

行程・コース

【1日目】おたつ石・迎場・白雲橋コースで筑波山周回
つつじヶ丘(08:00)・・・弁慶茶屋跡(08:40)・・・女体山(09:20)・・・御幸ヶ原(09:35)・・・男体山(09:50)・・・御幸ヶ原(10:00)・・・弁慶茶屋跡(10:45)・・・酒迎場(11:25)・・・大洗神社(11:50)・・・つつじヶ丘(12:15)

高低図

高原リゾートの爽快な山歩き 四阿山(初級/長野・群馬)

山容があずまやに似ていることが名前の由来という四阿山(あずまやさん)。スキーリゾートや夏の避暑地として人気の菅平にそびえ、深田は四阿山と根子岳がなければ菅平の値打ちはなくなるとまで言っている。

群馬側を含め複数のコースがあるが、花の百名山・根子岳と合わせて菅平から周回するコースが人気だ。6月にはレンゲツツジが美しい。冬季も比較的登りやすいので、雪山初心者やスノーシューハイキングにもおすすめだ。冬季はあずまや高原ホテルからの往復コースが人気。

行程・コース

【日帰り】菅平から根子岳・四阿山を周回
■総コースタイム 5時間5分、標高差+約1,017m、-約1,017m
菅平牧場登山口(08:00)・・・根子岳(10:00)・・・分岐(11:10)・・・四阿山(11:25)・・・分岐(11:35)・・・中四阿(12:10)・・・菅平牧場登山口(13:05)

高低図

美しさと荒々しさが魅力の活火山 浅間山(初級/長野)

ゆったりと美しい裾野を広げる浅間山は、現在でも火山活動が活発な火山。登山前には警戒レベルを気象庁のHPで確認しよう。

山頂へ近づくと荒涼とした火山礫の道に変わり、ダイナミックな火山の力を感じる景観が魅力だ。車坂峠または、浅間山荘から入山する。黒斑山は浅間山の絶好の展望台だ。百名山挑戦時に入山規制で前掛山に登れないときは、黒斑山で代替することも。

行程・コース

最適日数:  日帰り 6時間50分
総歩行距離:  12,000m
行程: 浅間山荘・・・二の鳥居・・・火山館・・・Jバンド分岐・・・前掛山・・・Jバンド分岐・・・火山館・・・二の鳥居・・・浅間山荘

高低図

奥秩父を代表する名峰 金峰山(中級/山梨・長野)

山梨・長野県境にあり、奥秩父の盟主として名高い金峰山。頂上にそびえる五丈岩が目立ち、周辺からもこの山をよく見つけられる。

最短かつ最もにぎわうのは、大弛峠から朝日岳を経るルート。大弛峠へ至る林道川上牧丘線の開通期間である6月頃〜11月頃に歩いてみよう(バスも例年、同時期の土日祝のみ運行。要確認)。

ほか、廻り目平や瑞牆山荘からのルートもある。途中の山小屋に泊まり、瑞牆山とセットで登ってもいいだろう。

行程・コース

最適日数:  日間
総歩行距離: 
行程:

高低図

針葉樹の森から花崗岩の頂へ 瑞牆山(中級/山梨)

「まるで針葉樹の大森林から、ニョキニョキと岩が生えているような趣である」。深田が記すとおり、瑞牆山は樹林帯と花崗岩の姿が特徴的な山だ。

6月中旬は道中のシャクナゲ、10月中旬〜11月上旬には紅葉が見頃に。岩の山頂に立つと、目前の金峰山、八ヶ岳やアルプスなどが見渡せる。

瑞牆山荘から富士見平を経て、南面を登るのが最短コース。北面の不動沢沿いのコースと合わせて周回する場合、みずがき山自然公園を起点にもできる。

行程・コース

【日帰り】富士見平から瑞牆山へ
■総コースタイム 5時間、標高差 +836m、-836m
瑞牆山荘(08:00)・・・富士見平小屋(08:50)・・・瑞牆山(10:50)・・・富士見平小屋(12:20)・・・瑞牆山荘(13:00)

高低図

峠とともに親しまれる山 大菩薩嶺(大菩薩岳)(初級/山梨)

中里介山の小説『大菩薩峠』で知られ、多くの人が訪れる大菩薩嶺。深田は加えて初心者に恰好の山だからであるとし、東京から日帰り可能、変化のある安全なコース、雄大な展望、2000mの高さの空気が吸えること、を挙げている。

最寄り口の上日川峠を起点に周回し、大菩薩峠〜大菩薩嶺の草尾根歩きを満喫しよう。上日川峠への県道201号、218号は冬期通行止(バスも例年4月中旬〜12月中旬の土日祝を中心に運行。要確認)。

ほか、西方の大菩薩峠登山口側からのルートもある。下山後は甲斐大和方面のやまと天目山温泉、塩山方面なら大菩薩の湯に立ち寄ってもよいだろう。

行程・コース

【日帰り】上日川峠を起点に、大菩薩嶺、大菩薩峠を周遊
■総コースタイム 3時間15分、標高差 +540m、-540m
上日川峠(08:00)・・・福ちゃん荘(08:30)・・・大菩薩嶺(09:30)・・・賽ノ河原(10:00)・・・大菩薩峠(10:10)・・・富士見山荘(10:50)・・・福ちゃん荘(10:55)・・・上日川峠(11:15)

高低図

クサリ連なる信仰の山 両神山(中級/埼玉)

奥秩父の北端にある両神山は、古くから山岳信仰の対象とされてきた。ノコギリの刃のように険しい山容は、遠くからでも分かる。

山頂手前にある両神神社にはイザナミ・イザナギが祀られ、神の眷属とされるオオカミの"狛犬”が鎮座する。

コースは複数ある。代表的なものは表参道コース。いずれのコースもクサリ場があるが、表参道コースは比較的少なく、登りやすい。クサリが連なる岩稜を歩く八丁尾根コースでは、滑落死亡事故も起きているため、慎重な計画を。

行程・コース

最適日数:  日帰り 6時間55分
総歩行距離:  9,974m  上り標高: 1635m  下り標高: 1635m
行程: 日向大谷口バス停(08:00)・・・表参道登山口(08:05)・・・会所(七滝沢道分岐)(08:35)・・・八海山(09:35)・・・滝分岐(09:50)・・・清滝避難小屋(10:15)・・・鈴ヶ坂(七滝沢道分岐)(10:35)・・・両神神社(11:05)・・・両神山(11:45)・・・両神神社(12:15)・・・鈴ヶ坂(七滝沢道分岐)(12:35)・・・赤滝入口(13:25)・・・会所(七滝沢道分岐)(14:25)・・・表参道登山口(14:50)・・・日向大谷口バス停(14:55)

高低図

丹沢山塊で高い人気を誇る山 塔ノ岳(中級/神奈川)

『日本百名山』で「丹沢山」を挙げた深田は「個々の峰ではなく、全体としての立派さからである」と記し、丹沢山塊として紹介している。

その一座で、とりわけ人気なのが塔ノ岳。ヤビツ峠から鳥尾山を経る表尾根と、大倉からの標高差約1200mを結ぶ大倉尾根がよく歩かれている。これらを日帰りでつなぐと、歩きごたえのある縦走に。

塔ノ岳から丹沢山へ足を延ばして山小屋に泊まり、ゆっくり丹沢を楽しむのもよいだろう。

行程・コース

【日帰り】表尾根を塔ノ岳に向かい、大倉尾根を下山する
■総コースタイム 7時間20分、標高差+1244m、-1715m
ヤビツ峠(08:00)・・・護摩屋敷の水(08:25)・・・二ノ塔(09:25)・・・三ノ塔(09:45)・・・烏尾山(10:15)・・・政次郎ノ頭(11:15)・・・新大日(12:05)・・・木ノ又小屋(12:15)・・・塔ノ岳(12:45)・・・金冷シ(13:00)・・・花立山荘(13:15)・・・茅場平(13:30)・・・小草平(13:50)・・・駒止茶屋(14:20)・・・雑事場ノ平(14:50)・・・観音茶屋(15:00)・・・大倉(15:20)

高低図

下山後は伊豆の温泉へ 天城山(初級/静岡)

温泉街があり観光地として人気の伊豆。伊豆半島の最高峰が天城山の万三郎岳だ。

伊豆半島の固有種「アマギシャクナゲ」の群落があり、花期の5月中旬~6月上旬は人気が高い。植生保護のため、現在は一部が通行止めになっている。ブナやヒメシャラの林も美しいので、混雑する花期を避けて静かな時期に登るのもおすすめだ。

下山後には伊豆の名湯で汗を流そう。

行程・コース

最適日数:  日帰り 4時間20分
総歩行距離:  8,300m  上り標高: 833m  下り標高: 833m
行程: 天城縦走路入口・・・四辻・・・石楠立からの沢出合・・・万三郎岳登り口・・・万三郎岳・・・石楠立・・・万二朗岳・・・四辻・・・天城縦走路入口

高低図