筑波山――首都圏からの日帰り登山にオススメ! 眺望、パワースポットめぐり、自然観察、古道歩きを楽しむ
文・編集=鈴木志野
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日本百名山で最も低い標高ながら、その存在感は随一の山、それが筑波山だ。平野にそびえる山容は標高以上に大きく見える山で、登山コースは初心者でも楽しめるが、変化に富んだコースが四方から延びている。何度でも訪れたい魅力にあふれるコースを紹介する。
変化に富んだコースが充実。何度でも訪れたい魅力にあふれる百名山
「東の筑波、西の富士」と称えられる茨城県のシンボル、筑波山。男体山と女体山の2つの峰をもつ双耳峰で、それぞれの標高は871m、877mと決して高い山ではない。しかし、広く平らな関東平野にそびえるため、その存在感は大きい。
よく晴れた日であれば、東京都内からでもその美しい山容を眺めることができる。また、山頂に立てば、日光や那須連山、霞ヶ浦、太平洋、東京スカイツリー、富士山と、ぐるりと関東一円を見渡すことができ、低山とは思えない高度感を楽しめる。
さらに、朝は藍、昼は緑、夕は紫と山肌の色を変える美しさから「紫峰」とも呼ばれるほど、山容が美しいことでも有名。また、「日本百名山で一番低い山」としても知られている。
筑波山は、山そのものが御神体として崇められていて、山全体が筑波山神社の敷地となっている。そのため、登山道はもともと参道だったものが多い。標高の低さから初心者向けの山として紹介されるが、登山道は岩場も多く、所々に危険な箇所もあって意外に手強い。軽い気持ちで登れるわけではないので、しっかりとした登山装備が必要だ。
おすすめの季節は、中腹の梅林で梅まつりが開かれる2~3月や、ツツジの美しい5月、さらに紅葉のシーズンとなるが、これらの時期を外しても充分に楽しめる。特に冬季は晴天率が高く空気が澄んで眺望を楽しめるのおすすめだ。一方、真夏は低山ゆえに、しっかりとした暑さ対策が必須となる。
アクセスについては首都圏から日帰りが可能だ。各コースの登山口には駐車場も多いが、ハイシーズンは非常に混雑するので公共交通機関の利用が賢明だ。つくばエキスプレスのTXつくば駅利用が最も一般的で、ロープウェイなどの乗車券がセットになった筑波山きっぷが便利でお得だ。なお、つくばTXつくば駅から登山口まではバスで30~40分かかるので、乗り継ぎには気をつけたい。
そんな筑波山に登る登山道は山麓の各方面から延びていて、それぞれのコースを合わせて山全体を楽しんでほしい。また、中腹や山頂付近を周回したり、麓の古道を歩いたりできるので、いつ、何度訪れても、さまざまな楽しみ方ができるだろう。
なお各山頂には筑波山神社の本殿が、山麓にも筑波山神社や薬王院などの寺社あるので、登頂の際にはぜひお詣りをしたい。また、女体山にはパワースポットとされるガマ岩などの巨岩・怪石や大スギなどの巨樹が点在し、男体山には珍しい植物が群生する自然研究路も整備されているので要チェックだ。
なお、男体山にはケーブルカー、女体山にはロープウェイが通っているので、天候やスケジュール、メンバーに応じて利用するのもいいだろう。
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男体山の表登山道を往復する、最もポピュラーな御幸ヶ原コース
筑波山を登るのに最もポピュラーなのが筑波山神社から表参道を登るコースだ。筑波山神社から中茶屋跡、男女川(みなの)源流の湧水、御幸(みゆき)ヶ原を経て、男体山山頂に到着するコースで、往復で約3時間半のコースとなる。
登山道はほぼケーブカーの線路に沿っていて、間近にケーブルカーを見ながら登る場所も多いので安心感が高い。また、登山道中には直径1mを超えるスギの巨木や男女川の清水など、自然を豊かなポイントを楽しめるうえに、茶店が並びにぎわう山頂広場・御幸ヶ原も通るので、筑波山登山をさまざまな面から満喫できる。
ただし、急坂や木の根が露出した場所や岩場もあるので、初心者は慎重に進みたい。なお、下山はケーブルカーを利用したり、下に紹介するように「白雲橋コース」を使ったりするのも一般的だ。
行程・コース
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