東京から行ける魅力的な山々。山岳ガイドに教わる“登山 はじめの一歩”(1)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
東京から登りにいける山のことを知りたい

質問: 先日、友人に誘われて高尾山に行きました。行きはケーブルカーで高尾山駅まで行き、そこから山頂まで登りました。下山は登山道を使って、高尾山口駅まで歩きました。山頂で食べたお弁当は格別に美味しく、久しぶりに汗をかいて、「山登りっていいな」と思いました。
東京に住んでいて、登山の知識はありません。こんな私でも登れるような山が東京の近くにもありますか?

冬の空気の澄んだ晴れた日に、新宿の高層ビルの展望台から西の空を見渡すと、真っ白な富士山がカッコよく聳えています。その富士山の左右に見える山々は、上手に計画を立てれば、日帰りで登れる山が多数あります。

 

背景に相模湾を、行く手には富士山を臨む 丹沢

白山 竜ヶ馬場通過 写真/みやさんの登山記録より

 

新宿から見たときに富士山の左手に広がる山域は、丹沢の山々。最高峰は蛭が岳1673mで、首都圏の登山者に親しまれている山々です。小田急線の渋沢や秦野、新松田からアクセスがしやすく、また、中央線 藤野駅方面から訪れる登山者もいます。

かつてはブナの山として知られていました。残念ながら、高度成長期の大気汚染で表丹沢のブナの木は枯れてしまった歴史があります。それにしても、富士山が近くに仰げ、相模湾を見下ろしながらの登山は最高です。

▽特集記事
初心者もベテランも楽しめる!丹沢登山日帰り人気コースを紹介!

最も多くの登山者が訪れる塔ノ岳でも、登山口から山頂までの標高差は1000m以上あります。最初は必ずしも山頂に立つ事だけにこだわらず、途中のポイントを目的地としても良いでしょう。

 

甲府盆地を眼下に銀屏風の南アルプスを眺める大菩薩

大菩薩嶺 大菩薩峠は展望が最高 写真/山が好き!さんの登山記録より

 

新宿から見たときに富士山の右手に広がるのは、大菩薩の山々。小説『大菩薩峠』で有名ですが、最高峰の大菩薩嶺は2057mで日本百名山の一つです。四月では積雪があることも多く、北側の谷の雪が消えるのは五月になってからです。

この大菩薩連嶺は東西10km、南北12kmの大きな山塊ですが、標高1700m近い上日川峠までバス、タクシーが入るようになっています。 大菩薩嶺から西側に大きく富士山、南アルプス、八ヶ岳、奥秩父を臨むことができる明るい尾根を大菩薩峠まで歩き、上日川峠に戻るコースなら3時間前後です。かつては青梅街道 裂石の大菩薩登山口(標高900m)から登るのが一般的だったので、昔から登山をしている僕としては、3時間程度で歩けるように“なってしまった”と思ってしまいますが、おススメのコースなので、ぜひ登ってください。

▽モデルコース *会員登録して閲覧してください
初心者もベテランも楽しめる!丹沢登山日帰り人気コースを紹介!

さらにこの山塊は、南に向かって変化に富んだ小金沢連嶺・南大菩薩の山々が連ねています。東には「牛ノ寝通り」という明るい自然林の尾根が奥多摩へと続き、北には黒川鶏冠山などの静寂の山があります。少しずつ、登るエリアを広げていったら良いでしょう。

 

澄んだ渓谷美と森の美しさが残る奥多摩

海沢探勝路から御岳山 写真/ぼっけもんさんの登山記録より

新宿から見たときに富士山を基準に大菩薩のさらに右側と手前に広がるのは奥多摩と呼ばれ、多摩川水源の山々です。最高峰は唐松尾山2109m。

東京都最高峰で日本百名山の雲取山(2017m)周辺は標高2000mを越える亜高山が連なります。そこを起点に青梅、あきる野市の里山へと少しずつ標高を下げた山塊が広がります。駅(JR青梅線、五日市線沿線)から直接登山口へ行けるアクセスのより山が多いのですが、手つかずの自然が残ってる魅力的な山々です。高尾山と同様にケーブルカーがある御岳山周辺は、気軽に山の良さを楽しめる山域として覚えておくと良いでしょう。

▽特集記事!
奥多摩ナビ - みんなが楽しめる東京の奥座敷の山

少し足を延ばせば、東京に住んでいても日帰りで取り付きやすい山が多くあります。天候が安定し、体調の良い時を選んで好条件のもとでチャレンジしてください。次につながる良い経験になるでしょう。

プロフィール

山田 哲哉

1954年東京都生まれ。小学5年より、奥多摩、大菩薩、奥秩父を中心に、登山を続け、専業の山岳ガイドとして活動。現在は山岳ガイド「風の谷」主宰。海外登山の経験も豊富。 著書に『奥多摩、山、谷、峠そして人』『縦走登山』(山と溪谷社)、『山は真剣勝負』(東京新聞出版局)など多数。
 ⇒山岳ガイド「風の谷」
 ⇒質問・お悩みはこちらから

山の疑問・難問、山岳ガイドが答えます!

登山に必要な知識は、どのように学んでいますか? 今知るべき、知識や技術に関する質問を、山岳ガイドが次々に回答していきます。

編集部おすすめ記事