カリマーの「リュック」、汎用性の高い「リッジ」がユーザーの一番人気
ヤマケイオンラインのユーザーが実際に使っている登山用品を投稿するコーナー「みんなの山道具」。この記事ではユーザー投稿を登山ブランドごとにピックアップし、人気順(投稿数順)にギアをまとめた。今回は「カリマー」の「リュック」について紹介する。
文=佐藤慶典
目次
「リッジ」|シーンを選ばない老舗ブランドの中型リュック
カリマー「リッジ」ユーザーのおすすめ度(みんなの登山道具より)
ひと昔前、日本の登山用リュックサックを席巻したブランド「カリマー(Karrimor)」。「背負い心地なら、カリマーかミレー」と言われた時代があったことを、中高年の方は覚えていることでしょう。
創業は1946年、イギリスのランカシャー地方。カリマーは世界的なクライマーや遠征隊にリュックを提供し、登山史に残る偉業をサポートしてきました。現在の国内市場のように、多くのバックパックブランドが乱立する前から、カリマーのリュックは日本に輸入され、登山者に長年愛用されてきた実績があります。
そんな老舗ブランドのトップセラーモデルが「リッジ」です。1999年の発売以来、中型リュックの定番ともいえる存在となった「リッジ」は、2016年にフルモデルチェンジが行われ、優れた背負い心地と快適に使える機能性を手に入れました。
2018年12月現在のラインナップは、容量は30Lと40Lの2種類。両サイズとも、タイプ1~3の3種類の背面長が用意されています。以前はタイプ1と2だけだったので、大柄な人向けのタイプ3が加わったことで、より背面長の適応範囲が広くなりました。
「リッジ」は使い手や使用場面を選ぶ極端な仕様にはあえてせず、中型リュックとして、必要十分な要素を備え、「背負いやすく、疲れにくい」をていねいに追及してきたモデルです。
荷物を入れた際に、パックが後ろへ引かれることのないよう、ボディデザインはやや重心を高く設計。ボトムは下山の際に、岩などに干渉しないよう、絞り込んだ形状に。
ベルト類は、より日本人の体形に合うようにアップデートされました。ショルダーハーネスは取付角度を見直し、パッドの硬さを部分的に変え、ヒップベルトは、V字ベルトで立体的に腰骨を包み込む形状に。カリマーの伝統的な「腰で支える」荷重分散が生かされ、長く背負っても疲れにくくなっています。
フロントには縦ファスナーのポケット、サイドやヒップベルトにもポケットを備えています。ヘルメットを携行する機会も多くなった昨今、ヘルメットに対応した雨蓋はうれしいかぎり。ヘルメット用ループを備え、ヘルメットを収納した際に雨蓋がずれにくく、雨が入りにくいようになっています。また、「リッジ 40」は2気室構造になっており、ボトムコンパートメントを備えています。
「リッジ 30」、「リッジ 40」ともに、豊富なカラーバリエーションも魅力のひとつです。
日本の山で使える汎用性の高い中型モデル、「リッジ 30」&「リッジ 40」。中型リュックのファーストチョイスとしてふさわしい一品と言えます。
カリマー「リッジ」で行った山行記録
製品情報
カリマー「リッジ 40」
- 価格
- 21,500円(税別)
- サイズ
- type1~type3
- 容量
- 40L
- 重量
- 1.6kg
- カラー
- 5色
カリマー「リッジ30」
- 価格
- 19,800円(税別)
- サイズ
- type1~type3
- 容量
- 30L
- 重量
- 1.45kg
- カラー
- 5色
「クーガー」&「クーガーグレース」|夏の縦走〜雪山登山で活躍する中・大型リュック
「クーガー」はカリマーで定番の中・大型リュックです。
2018年12月現在、男性用モデルは「クーガー 45-60」、「クーガー 55-75」、「クーガー 75-97」、女性用モデルは「クーガーグレース 45-60」、「クーガーグレース 55-70」をラインナップしています。メイン気室上部の巾着部分の生地により、大きく容量が可変できるのが特長です。
「クーガー」は、2017年のアップデートにより、フィット感の向上が図られています。バックパネルのフレームは、これまでの縦方向のアルミバー2本に加え、横方向にもバーが追加されました。
また、背負ったままで、無段階で背面長が調整できる独自のシステム「SAシステム(カリマー独自の背面調整機能)」のフィッティング度を飛躍的に向上させました。これにより、高い剛性が実現し、フィット感がアップし、また、歩行時のブレが抑制され、安定した歩行が可能となっています。
ショルダーハーネスの形状は一新され、チェストストラップを強く引かなくてもフィットしやすくなりました。また、ヒップベルトも立体的に腰骨を包み込むようにステッチが刻まれ、2本のストラップでV字に締めることで、パックの重心がしっかり腰に乗るようになりました。
剛性やフィット感の向上に加え、使い勝手も追求されています。
雨蓋はヘッドクリアランスを保てる(ヘルメット後部が雨蓋に当たらないようにする)設計になっています。エクステンションパネル(生地)を調整し、雨蓋を後方へスライドすることで、ヘルメットの後部が雨蓋に当たらないようにできます。
メイン気室へのアクセスは、ワンアクションで開閉できる「クイックアクセスオープニング」を採用しているため、グローブをしていても開閉がスムーズに行えます。本体サイドには大容量のポケットを装備。長期縦走などでの荷物の増減に対応しやすく、サイドアクセスではないため、濡れ物などを入れておくのにも重宝します。ただ、パンパンに荷物を入れてしまうと、本体からポケットが横へ飛び出すため、腕の振りに影響したり、岩場やトラバースでは邪魔になったりこともあるので注意が必要です。
フロントの大容量ポケットは長期縦走などではもちろん、雪山登山でも活躍します。マチがあり、大きく開くフロントポケットには、アイゼンやスノースコップなど、かさばるアイス&スノーギアを収納することができます。
夏の縦走登山から、残雪期のテント泊登山、さらに雪山登山までを視野に入れるなら、選択肢のひとつに入れるといいでしょう。
カリマー「クーガー」で行った山行記録
製品情報
カリマー「クーガー 55-75」
- 価格
- 31,500円(税別)
- サイズ(背面長)
- 43~54cm
- 容量
- 55~75L
- 重量
- 2.68kg
- カラー
- 3色
カリマー「クーガー グレース 55-70」
- 価格
- 31,500円(税別)
- サイズ(背面長)
- 38~50cm
- 容量
- 55~70L
- 重量
- 2.55kg
- カラー
- 3色
「ジャガー」&「ジャガーグレース 」|長期縦走で真価を発揮。大型リュックのハイエンドモデル
「ジャガー」は、カリマーの大型リュックの最上位モデルです。かつては男性用のみでしたが、2016年のモデルチェンジにより、「ジャガー60+10」に加え、「ジャガーグレース55+10」という女性用モデルが追加されました。「ジャガー」は、カリマーのテクノロジーがすべて注入された長期山行やエクスペディションなどに向くハイエンドモデルに仕上がっています。
背面には、背負ったままでも背面長を調節できる「SAバックシステム」を搭載するため、どんな体格にもフィットするとともに、体調や山行シーンに合わせた微妙な重量バランスの調整が可能となっています。
また、専用設計のハイブリッドタイプのフレームが、本体の形状維持と歩行時のブレを抑制。PE(ポリエチレン)プレート内蔵のヒップベルトが腰骨をぐるりと包み込むようにフィットし、点ではなく、面で効率よく荷重を腰に伝達します。これらの優れたバックパネル機構やフィット感に秀でたベルト類、重量バランスのよさなどが、「カリマーのリュックは長時間背負っても疲れにくい」と言われるゆえんでしょう。
外観はとてもシンプルです。重心が背中から離れないよう、メイン気室はやや細身にデザイン。フロントに縦ファスナーのポケット、これにサイドポケット、ヒップベルトポケットといった仕様です。ボトム部分は、岩などとの干渉を防ぐため、そぎ落とした形状になっています。大型モデル、「クーガー」にも搭載される、ヘルメット着用時のヘッドクリアランスを保つ機構も装備されています。
生地には加水分解に強い特殊コーティングを施した210デニールと420デニールの「シルバガード」ファブリックを採用しています。重量は「ジャガー60+10」が2400gとなっています。
「クーガー55-70」が210デニール と600デニールの生地を使用し、サイドポケットなどを備え、重量2550gであることを考慮すると、「ジャガー」はより軽量でシンプルな仕様であることがわかります。「クーガー」のようなガバっと開くフロントポケットではないため、アイス&スノーギアの収納などには、パッキングの慣れや、拡張用のループを使用した外着けで対応するといった工夫も必要となるでしょう。
抜群の背負い心地はそのままに、シンプルかつ軽量に仕上げたハイエンドモデル。ミニマルなスタイルや長期縦走や遠征などにぜひ。
カリマー「ジャガー」で行った山行記録
製品情報
カリマー「ジャガー60+10」
- 価格
- 34,000円(税別)
- サイズ(背面長)
- 44~54cm
- 容量
- 48L
- 重量
- 1.45kg
- カラー
- 3色
カリマー「ジャガーグレース 55+10」
- 価格
- 32,000円(税別)
- サイズ(背面長)
- 41~52cm
- 容量
- 60+10L
- 重量
- 2.25kg
- カラー
- 2色
「みんなの山道具」ユーザーのおすすめ度調査
ヤマケイオンラインのユーザーが実際に使っている登山用品を投稿するコーナー「みんなの山道具」。この記事ではユーザー投稿を登山ブランドごとにピックアップし、人気順(投稿数順)にギアをまとめた。