待ちに待った旅の再開。山形県・神室山から、北東北の残り16座へ。田中陽希さん旅先インタビュー第27弾

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8月19日に盛岡市内から山麓へ移動し、翌8月20日は、百名山の岩手山に登りました。

ルートは馬返し登山口からで、八合目避難小屋の「薪歩荷」に協力しようと、7本の薪を加え、荷物は18kgになりました。

薪を背負ってスタート! 標高をグングン上げていく


6年前は濃霧で展望がなかったのですが、今回は山容を見ながら登ることができました。風はありましたが、雲はなく、気持ちの良い日に登れました。奥宮へもお参りし、お鉢を歩いて登頂、最高の展望でした。下山は焼走りコースで、コマクサを見ながら下山し、国の天然記念物である焼走り溶岩流を見に行きました。

展望の良い岩手山。お鉢をぐるっと回り、焼走りコースで下山


翌8月21日には、二百名山の姫神山に、5年ぶりに登りました。

この日はタフな行程で、まず15kmの舗装路移動から。暑さも予想されたので、日の出前に出発しました。9時に登山口についたときには少しバテました。地域につながりの深い山で、岩手山とともに、地元の小中学校の校歌にも歌われている山だそうです。

遠くに岩手山。姫神山も円錐形で展望の良い山だ


信仰の山、円錐形の姫神山へは、表参道である城内コースから登りました。前回とは違うコースで、13箇所も霊場がありました。前日の疲れが残っているなかでしたが、コースタイム2時間のところを、1時間10分で登ることができました。前日登った岩手山は雲に隠れていましたが、展望は良かったです。一本杉登山口へと下山しました。

 

八幡平からは連日登山で一気に。5年前、暴風雨だった秋田駒では…

移動日を挟んで、8月23日は、八幡平温泉からアスピーテラインを上っていきました。朝は曇っていましたが、予報より天気がよくなっていきました。途中ですれ違った方から、山頂で待っている人がたくさんいると聞いていました。この日は藤七温泉まで移動するだけで、登頂予定ではなかったのですが、途中から、天気も良さそうなので今日登ってしまおう、と予定を変更しました。

八幡平へ。アスピーテラインを進む。
この日は登山予定ではなかったが、予定を変更して登ることに


黒谷地湿原の登山口から入り、前回は通らなかった源太森に立ちました。八幡平の顔を正面から見ているような印象で、予想以上の眺めでした。源太森から八幡沼を抜けて、週末の多くの登山者の方に囲まれて八幡平に登頂しました。

下山後は、前回行けなかった藤七温泉へ。泥パックを楽しんだのですが・・・。

初めて登った源太森からの眺めは素晴らしかった/八幡平山頂の展望デッキにて


前日登頂した八幡平ですが、 8月24日早朝、もう一度、八幡平からの日の出を見る計画でいました。宿から約300m登るので、3時50分に起きるつもりだったのですが、前日の泥パックで目がヒリヒリしてなかなか寝付けずにいたら、寝坊してしまい4時20分に起きたのです。日の出時刻は5時10分。急いで支度をして、諦めずに、ダメ元で走りました。5時になんとか到着し、日の出に間に合ったのでした。

八幡平から見た景色は、この旅で、ベスト3に入るほどの日の出だった


そこで見た日の出の景色は、今年一番、というか、この旅で、ベスト3くらいの日の出でした。無風で、雲がゆったり動いていきました。沼に写っている様が良かったのかもしれません。

一度、宿に戻って、この日は、「裏岩手縦走コース」を歩きました。百名山の旅のときから話を聞いていて、いつか歩きたいと思っていた縦走路です。年初の計画では、残雪期に岩手山からスキー縦走の予定だったのですが、夏の縦走になりました。

行ってみたかった裏岩手縦走路。東北の山らしいトレイルが続く


とても気持ちの良いコースで、予定より遠回りして、三ツ石山まで進み、松川温泉に下山しました。

8月25日は、松川温泉をスタートし、裏岩手縦走コースの三ツ石湿原まで登り返し、山を越えて、もう一度登り、三百名山の烏帽子岳(乳頭山)を目指すルートで、登り400m、下り600m、さらに登り800mと、けっこうハードな一日でした。

登って下ってまた登るハードなコース取りで烏帽子岳へ。初めて山容を見ることができた


烏帽子岳は三百名山のひとつですが、二百名山の旅で秋田駒ヶ岳を登った時、暴風雨の中を縦走してきて、登頂したことがありました。三百名山ですが、5年ぶりの2度目の登頂となりました。

烏帽子岳の山頂からは大展望で、前回、見えなかった秋田駒の姿が見えました。これで岩手の山は終わりになり、乳頭温泉郷の黒湯温泉に下山しました。

三百名山だが、5年前にも登頂した烏帽子岳


秋田駒ヶ岳は、 5年前、身体が飛ばされるような暴風雨の中、登りました。山頂手前の阿弥陀池の避難小屋で、荷物をおいて、山頂を往復しただけ。

この山も、「3百名山ひと筆書きをやろう」という原動力になった山のひとつ。天気の良いときに、改めて登りたかった山です。

秋田駒ヶ岳に近づいていく。前回は暴風雨で何も見えなかったという


2回目の登頂でしたが、焼石岳と同じく、初めて登った気分でした。今回は晴天で、男女岳、男岳から大展望が見られました。複雑な火山地形の山で、阿弥陀池付近では穏やかな姿が見られる一方、200mくらいの落差の岩壁も見られました。砂礫の斜面にはコマクサも咲いていました。

地形変化に富む秋田駒ヶ岳を、今回はたっぷり味わった


連日の登山の疲れと、この日の暑さでバテ気味だったため、「ムーミン谷」と呼ばれるお花畑には立ち寄れなかったですが、改めて秋田駒ヶ岳の良さを体感できた山行になりました。

連日の登山を終え、残暑の移動日には、日本一深い田沢湖で湖水浴。
持っているのは、テント用のエアマット


8月28日は、秋田県の各地で、この夏一番の猛暑という日でした。この日移動で歩いていた大仙市は36℃! 照り返しもあるアスファルトの道路では、体感温度は40℃くらいありました。

8月29日、二百名山の和賀岳に登りました。

前日は、和賀岳に登っている夢を見ました。5年前、猛暑と雨の中で、長く難しいヤブ漕ぎのルートを使ったので、その記憶があったのでしょう。今回は一番歩かれているというコースを往復しました。薬師岳・小杉山を越えて、和賀岳を目指すのですが、薬師岳からは気持ちの良い稜線でした。

薬師岳からは気持ちの良い稜線歩き。小杉山から山頂へ向かって歩く


前日が猛暑の中を歩いたので、この日は曇天でちょうどよかったです。東北北部では最難関と思っていた和賀岳、節目の270座目を無事に登ることができました。

東北北部で最難関と思って臨んだ和賀岳に無事登頂。節目の270座目となった


下山道で、薬師岳まで来たところで、雲が取れ、和賀岳までの稜線がきれいに見えました。その下では登山道の草刈りをする地元の方に会いました。草刈りは毎年やってくださっているそうで、感謝を伝えて下山しました。

振り返ると稜線の先に和賀岳が見えた/下山後、真木白滝でアイシング!


8月31日、角館の武家屋敷集落を通って、次の山へ向かいました。

今年もあと4か月。北海道のことを考えると、登れる期間は実質あと2か月半でしょう。

 

取材日=9月24日、10月13日
取材協力=グレートトラバース事務局

 

関連リンク

人力10,000kmの山旅。日本3百名山ひと筆書きに挑戦中の田中陽希さんを応援しよう!
もっと知りたいという方は、ウェブサイトで。
グレートトラバース事務局ウェブサイト
http://www.greattraverse.com/

 

今回のレポートで登った山

神室山 [7月20日]

栗駒山(須川岳) [7月30日]

焼石岳 [8月2日]

五葉山 [8月10日]

早池峰山 [8月16日]

岩手山 [8月20日]

姫神山 [8月21日]

八幡平 [8月23日]

烏帽子岳(乳頭山) [8月25日]

秋田駒ヶ岳 [8月26日]

和賀岳 [8月29日]

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プロフィール

田中 陽希

1983年、埼玉県生まれ、北海道育ち。学生時代はクロスカントリースキー競技に取り組み、「全日本学生スキー選手権」などで入賞。2007年よりチームイーストウインドに所属する。陸上と海上を人力のみで進む「日本百名山ひと筆書き」「日本2百名山ひと筆書き」を達成。
2018年1月1日から「日本3百名山ひと筆書き グレートトラバース3」に挑戦し、2021年8月に成し遂げた。

https://www.greattraverse.com/

田中陽希さん「日本3百名山ひと筆書き」旅先インタビュー

2018年1月1日から、日本三百名山を歩き通す人力旅「日本3百名山ひと筆書き グレートトラバース3」に挑戦中、田中陽希さんを応援するコーナー。 旅先の田中陽希さんのインタビューと各地の名山を紹介!!

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