多発するクマ事故。登山者が知っておくべきリスク回避と対処法とは

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2023年秋、東北や北陸を中心に、クマに襲われて死傷する事故が相次いでいる。人身事故は過去最悪ペースで推移。登山者がクマによる事故に遭わないためにできることはなにか、専門家らによるノウハウと、遭遇事例を紹介しよう。

構成=山と溪谷オンライン、写真=PIXTA

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なぜクマ事故が多発するのか

環境省が10月10日に発表した速報値によれば、2023年のクマによる人身事故は9月末までに全国で105件発生。これは過去最悪ペースで、特に東北地方で多く、岩手県26件、秋田県28件と、半数以上を占めている。10月に入ってからもクマに襲われる事故は毎日のように発生しており、長野県、富山県、岩手県などでは死亡事故も起きている。

なぜ今年に限ってクマ事故が多いのか。各地で報告されているのは、ブナをはじめとする堅果類が少ないということだ。東北森林管理局が東北5県の145カ所で実施している調査では、ブナの実は東北5県すべてで「大凶作」となっており、森にクマの食べ物が少ないことが明らかになっている。ブナの実の凶作は花の咲き方で予想できることから、各県では春の時点でブナの凶作を予想し、クマ事故への警戒を呼びかけていた。

そして秋を迎え、予想通り事故が多発する事態になってしまっている。登山中やきのこ狩りなど、山の中での事故も起きてはいるが、山麓の住宅地など、市街地での被害が多いことも今年の傾向だ。エサを求めて山から市街地へと出てくるクマが多いことが、その理由とみられる。

アプローチの山麓から山中まで、登山者がクマに遭遇することは決して珍しくない。ここでは、山と溪谷オンラインの過去記事のなかから、クマ事故を避けるためのノウハウを解説した記事や、「みんなの登山記録」から、クマとの遭遇を記述した記録を紹介しよう。

クマによる人身事故は、被害者にとってはもちろん、襲撃する側のクマにとっても不幸な事故だ。登山者と野生動物とがこうした悲惨な事態に直面しないためにも、充分な対策が求められる。

クマ関連過去記事

「みんなの登山記録」に見る、クマとの遭遇

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