山の斜面を染めるツツジを見に行こう! 強く・長く・大きく・美しく咲く花――

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さまざまな種類があるツツジ。4月上旬から6月まで各地の山で見頃を迎える。人気が高いツツジの山のコースガイドを紹介する。

目次

構成=山と溪谷オンライン、カバー写真=てんてんさんの登山記録より、長沢背稜のツツジ

ミツバツツジ、シロヤシオ、アカヤシオ・・・色も種類もさまざま

春~初夏に、登山中に最も多く見かける花といえば「ツツジ」だろう。花数が多いうえに、花も大振りで存在感がある。一斉に咲くと山の斜面を染める、美しく映える花だ。

ひと口に「ツツジ」といっても、ツツジにはさまざまな種類がある。「ミツバツツジ」「ヤマツツジ」などのようにツツジの名前がついたものから、「シロヤシオ」「アカヤシオ」「ミヤマキリシマ」のように、花名だけではツツジかどうかわからない種類のものもあるが、これらはすべてツツジの仲間だ。

なお、ツツジの種類や見分け方については、高橋修さんのコラム「ツツジの花の見分け方のポイント」もぜひ、参考にしてほしい。

愛鷹山周辺に咲くアシタカツツジ(写真=えいちゃんさん

ツツジは全国各地、山でも街でも見ることができる樹木の花だ。街では、サクラの散るころから街路樹や公園の植栽などで咲き始める。山のツツジは、早いものは4月中旬ごろから咲き始めるが、標高の高い場所で咲くものは6月に見頃を迎えるものもあり、長い期間楽しめる花でもある。

また花の色についてもさまざまで、一般的なピンクのほか、赤色、アカヤシオなどの赤紫の花、シロヤシオのように真っ白の花、オレンジ色のレンゲツツジなど、バラエティに富んでいる。

鳴虫山 雪景色を背景にアカヤシオが咲く(栃木/1104m)

日光の市街地から気軽に登れる鳴虫山(なきむしやま)は、日光の山々の展望とアカヤシオのコントラストが美しい山だ。

鳴虫山でアカヤシオが咲くのは4月下旬から5月上旬と早く、まだ日光の山々が雪化粧しているころ。また、カタクリも同じ時期に咲くので、さまざまな楽しみのある山となる。

雪化粧の女峰山とアカヤシオのコントラストが美しい(写真=dari88さん

また5月中旬にはトウゴクミツバツツジやシロヤシオも咲くので、4月~5月はツツジを常に楽しめる。5月は新緑も萌え始め、山全体は一層美しくなる。

行程・コース

最適日数:日帰り 4時間5分
総歩行距離:8,407m /上り標高: 742m 下り標高: 667m
行程:東武日光駅(08:00)・・・鳴虫山登山口(08:15)・・・神ノ主山(09:05)・・・鳴虫山(10:05)・・・合方(10:25)・・・独標(10:50)・・・憾満ヶ淵(11:40)・・・西参道バス停(12:05)
高低図
コースの詳細を見る

関連する登山記録

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この記事に登場する山

栃木県 / 日光山系

鳴虫山 標高 1,104m

 日光市街地の南方にあり、日光連山と大谷(だいや)川を挟んで対峙する。大懴法(だいせんぽう)岳とも呼ばれ、山頂には二等三角点が置かれている。 「この山に雲がかかると雨になる」といういい伝えから鳴虫山になったといわれる。  古くから日光の修行僧が参詣した山で、合方と呼ばれる修行場の跡もある。  日光連山の展望台として、春には山々をピンクに染めて咲くヤシオツツジ、足元には可憐なカタクリの花が目を楽しませてくれる。  東京方面からの日帰り登山も可能で、駅から歩いて登れる山としても人気があり、多くのハイカーが訪れている。  山頂までは日光駅から歩いて2時間ほど。  ここから合方経由で、日光八景の1つに数えられている「含満ガ淵」に下っても、起点から4時間もあれば充分なので、時間が許せば近くの名所、旧跡を訪ねるのもよい。

栃木県 群馬県 / 那須・日光

袈裟丸山 標高 1,961m

栃木県日光市と群馬県沼田市、みどり市との境にあり、日光火山群に属する成層火山である。  北から南へ奥袈裟、中袈裟、後袈裟、前袈裟と並び、袈裟丸連峰を形成している。通常一等三角点の置かれている前袈裟を袈裟丸山と呼んでいる。  訪れる人の少ない静かな山として知られ、またツツジの名所でもある。賽ノ河原、小丸山南面はヤシオツツジ、ヤマツツジ、レンゲツツジが順番に花開き、山肌を染める景観はまさに山上の楽園である。  山頂からの眺望には恵まれないが、途中の小丸山からは360度の眺望が満喫できる。  わたらせ渓谷鉄道沢入駅から山頂まで6時間(塔ノ沢コース)。弓ノ手コースもほぼ同じだが、林道歩きが長いのでマイカー利用の場合は2時間ほど短縮される。

東京都 埼玉県 / 奥多摩

蕎麦粒山 標高 1,473m

 奥多摩の日原から仙元峠を越えて、武州へ下ってゆく山稜上にそびえる山。斉藤真指著『多摩郡村誌』には一名三角山とも、秩父方面にては火打山ともいう、と記している。仙元は浅間が正しいようだ。火打とは山頂付近の岩石が燧石質であることに由来する。  この山へは、通常、日原からヨコスズ尾根を登って一杯水(いつぱいみず)を経て登頂。下山道は仙元峠から仙元尾根を通って浦山口に出るが、交通が不便なので、蕎麦粒山頂から南へ延びる鳥屋戸尾根を下って笙ノ岩山から日原川へ下る人が多い。笙ノ岩山は古文書では小ノ岩山と記されるが、試行錯誤して登ったこの山にも尾根通しに歩きやすい踏み跡ができている。  コースタイムは奥多摩駅を起点に日原から登り、一杯水を経て蕎麦粒山頂に立ち、帰りは笙ノ岩山、川苔橋を経て奥多摩駅まで約5時間30分。

今がいい山、棚からひとつかみ

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