| 旭岳ビジターセンター
2022.05.17
旭岳温泉から姿見までの登山道はまだ完全に残雪の下です。道迷いに注意
「次はどの山に登ろう?」と考えたとき、まず思い浮かべるのが日本百名山という人も多いだろう。百名山はその人気ゆえにアクセスも登山道も整備が行き届いていて、規模の大きさの割には比較的登りやすい山も多い。
そこで今回注目したのが、ロープウェイ(リフト、ゴンドラ、ケーブルカーを含む)が通っている百名山登山だ。ロープウェイを使えば、足だけで登るよりも短時間に登山できるので、登山経験が少なかったり、体力に自信のない人でも気軽に百名山に挑戦できる。
そして何より、ロープウェイから見下ろす浮遊感たっぷりの絶景やレジャー感も、通常の登山では味わえない醍醐味といえる。さらにはロープウェイが家族や友人を山に誘う魅力的な文句にもなるだろう。夏休み、家族や友人に山の醍醐味を伝えるのに、大きな味方となるはずだ。
ただし、ロープウェイ利用の登山は短時間で一気に標高を稼げる分、高山病を発症しやすくなるので注意が必要だ。高山病対策のために、水分補給や深呼吸を適宜行い、山頂駅に着いてもすぐに行動せず、高所に慣れてから登り始めるようにするなど、対策も行っておくことも肝心だ。
ちなみに、ロープウェイを使ってアクセスできる百名山は以下になる。なお、中にはあまり標高を稼げない場所や、山頂を目指すとかえって難易度が高くなるケースもあるので、注意が必要だ。
今回はこのうちの8つの山を厳選して紹介するので、週末や夏休みの登山計画の参考にしてほしい。
大雪山・・・大雪山旭岳ロープウェイ&大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイ
八甲田山・・・八甲田ロープウェイ
月山・・・月山ペアリフト
蔵王山・・・蔵王ロープウェイ
吾妻山(西吾妻山)・・・天元台高原ロープウェイ+リフト
安達太良山・・・あだたら山ロープウェイ
那須岳・・・那須ロープウェイ
谷川岳・・・谷川岳ロープウェイ+リフト
妙高山・・・妙高高原スカイケーブル
苗場山・・・かぐらスキー場・第1高速リフト
日光白根山・・・日光白根山ロープウェイ
四阿山・・・パルコールつま恋リゾート ゴンドラ
筑波山・・・筑波山ケーブルカー&ロープウェイ
五竜岳・・・ゴンドラ「テレキャビン」&アルプス展望リフト
御嶽山・・・御岳ロープウェイ&ゴンドラリフト「スカイラブ」
霧ヶ峰・・・車山展望リフト
蓼科山・・・信州白樺高原リフト
八ヶ岳(赤岳)・・・サンメドウ清里パノラマリフト&フラワーリフト
木曽駒ヶ岳・・・駒ヶ岳ロープウェイ
剣山・・・剣山観光登山リフト
石鎚山・・・石鎚登山ロープウェイ
阿蘇山・・・阿蘇山ロープウェー(火山活動のため休止中)
*ほか、武尊山は川場スキー場が営業している冬季のみ利用可能
北海道の中央に位置し、大雪山系の主峰の旭岳。標高は2291mと道内で最も高く、「北海道の屋根」とも呼ばれている山だ。、アイヌ語でカムイミンタラ(神々の宿る庭)と呼ばれ、山頂からの展望は広大で、同じ大雪山系の山々をはじめ、遠く天塩岳、暑寒別岳、芦別岳、さらには利尻山まで望むことができる。
旭岳に登るには旭岳ロープウェイを使った最短ルートが便利だ。麓の旭岳温泉から標高1600mの姿見駅まで標高差約490mを一気に上る。姿見は夏は高山植物が、秋は紅葉が美しい場所だ。旭岳の姿を映す姿見ノ池などを散策しながら、旭岳の頂を目指したい。火山礫の登山道を白煙を上げる火口を見下ろし歩けば、2時間ほどで山頂に到着だ。
なお、旭岳への往復では物足りないなら、いろいろ大雪山系をめぐるのも楽しい。天然の中岳温泉を楽しめる(足湯程度)に立ち寄ったり、美しい高山植物と紅葉が楽しめる裾合平(すそあいだいら)を経由したり、東へと縦走して黒岳を経由して、大雪山層雲峡・黒岳ロープウェイで下山することもできる。
麓の旭岳温泉の近くには旭岳ビジタセンターがあり、長靴やスノーシューなどのレンタルも行なっている。情報収集に立ち寄るといいだろう。
★関連リンク:旭岳ロープウェイ
高低図
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2022.05.17
旭岳温泉から姿見までの登山道はまだ完全に残雪の下です。道迷いに注意
山形と福島にまたがる吾妻連峰。東エリアでは火山活動が見られ、一部で通行に制限があるが、西エリアは重厚な森林に覆われている。吾妻連峰の最高峰で西エリアにある西吾妻山は、山上の豊かな自然と開放感をたっぷりと味わえる。
山頂付近の大凹の水場周辺にはコバイケイソウやチングルマなどの高山植物の花畑が広がり、また人形石では岩が石畳のように広がるなど、緑が広がる山域となっている。
西吾妻山へは天元台ロープウェイに加え、夏山リフト3本を乗り継ぐと便利だ。まずは白布温泉にある湯元駅から天元台高原ロープウェイに乗り、さらに天元台スキー場のリフトを3本乗り継いで、一挙に標高1820mの北望台まで進める。標高差は900m、所用時間にして50分と、乗りごたえも十分だ。
リフトを降りてからは、飯豊・朝日連峰の眺めが望めるカモシカ展望や大凹、梵天岩を経て、山頂まで周回コースを歩くのが一般的だ。ここからはリフト山頂駅へ戻っても良いし、白布温泉への下山路を降りても良い。
なお福島側にあるグランデコスキーリゾートのパノラマゴンドラを使い、西大嶺経由で登ることもできる。
麓にある米沢市の白布温泉は、奥州三高湯のひとつで湯治場としても知られる名湯だ。下山後にぜひ立ち寄りたい。
※2019年7月25日現在、2019年6月に起きた突風によるロープウェイゴンドラの支柱接触事故により、ロープウェイ運行を休止中。代行運転を実施している。
高低図
山形のほぼ中央に位置する月山は、標高1984mと出羽三山の中で最も標高が高い。古来から信仰の対象とされ、山頂には月読大神を祀る月山神社があり、また松尾芭蕉の句碑が立てられていることでも知られる。
傾斜が緩く広い山容と、日本でも屈指の豪雪の山は多くの高山植物に恵まれ、350種以上の花々が6月末から9月中旬まで山を彩り、花の百名山の一座となっている。独立峰のため展望も素晴らしく、晴れた日には鳥海山や朝日連峰、蔵王など抜群の眺望を楽しめる。
月山は北側にある羽黒口の弥陀ヶ原から登るのが容易で一般的だが、南側の姥沢小屋から敢えて登ってみるのはいかがだろうか? 大きく標高は稼げないが、月山スキー場のリフトが利用できる。月山スキー場は4月~7月まで国内唯一に夏スキーが楽しめるので、スキーヤーやスノーボーダ―が熱心に滑る様子と、たくさんの残雪を見ながらの登山を楽しめる。
★関連リンク:月山スキー場リフト
高低図
八ヶ岳と美ヶ原の間に広がる霧ヶ峰。この呼び名は南北15km・東西10kmに広がる高原の総称で、最高峰は車山となる。
標高1924mの車山山頂へは、車山高原SKYPARKのリフトを利用できる。リフトを2本乗り継ぐと、標高差350mを約15分で登ることができる。リフトを降りたら山頂は目の前、日本百名山の中でも、最も楽に登れる山の1つと言われる。
山頂からの眺望は抜群で、八ヶ岳はもちろん、富士山や南・中央・北アルプス、御嶽山、四阿山、浅間山など360度の大パノラマが広がる。
景色を楽しんだ後は、霧ヶ峰高原全体を散策して歩くのが楽しい。山頂から蝶々深山方面に進み、八島ヶ原湿原を周り、車山肩を通り、山頂駅へと戻る約4時間のコースを楽しみたい。
例年7月中~下旬に車山肩を咲き誇るニッコウキスゲや、約1万年もの年月をかけて形成されたという八島ヶ原湿原では8月にヤナギランが群生する。他にもマツムシソウなどが自生し、一帯は高山植物のサンクチュアリとも呼ばれている。
高低図
長野県と群馬県にまたがる四阿山。読み方は「あずまやさん」で、日本武尊を祀り上田城の守護神とされた歴史をもつ山だ。登山する場合は、菅平高原からの登山をはじめ、東西南北さまざまな場所から登れるが、東山麓にはパルコールつま恋スキー場のゴンドラを利用するのが、最も楽チンだ。ゴンドラ山頂駅からは4時間30分ほどで往復できる。
標高は2354mの四阿山は、山頂からは嬬恋村や浅間高原、浅間山や草津白根山、北アルプスなどの展望が広がり、日帰りでも気軽に登れる山として初心者やファミリーから人気が高い。また、冬~春の積雪期にも、スノーシュなどを駆使して登る登山者も散見される。
最も一般的なものはロープウェイ山頂から往復するコースだが、時間と体力に余裕があれば高山植物の宝庫として知られる野地平を散策しながら下山するのがおすすめだ。夏にはドウダンツツジやシャクナゲ、レンゲツツジなどの植物が見られ、秋の紅葉も美しい。
★関連リンク:パルコールつま恋リゾート パルキャビン
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標高2956mと、堂々とした風格を見せる中央アルプスの主峰・木曽駒ケ岳。中央アルプス駒ヶ岳ロープウェイを使えば、1662mから2612mまでを約7分半で一気に上ることができ、そこから登頂までは往復3時間ほどと、気軽に名山に登ることができる。
学校登山なども盛んに行われていて、アルプス気分を手軽に味わうにはちょうどよく、夏山シーズンに登山初心者が挑戦するのに絶好の山と言える。
木曽駒ケ岳は、北・南アルプスを望む眺望に加え、特産種のコマウスユキソウをはじめミヤマキンバイ、チシマギキョウなどたくさんの種類の高山植物を観察でき、花の百名山にも数えられる。
もっと歩き足りない人は、山頂から長く続く馬の背と呼ばれる稜線を歩き、中央アルプス随一の氷河湖・濃ヶ池を巡るコースを繋いだり、岩場が険しい宝剣岳を超えるルートを選んでも良い。
★関連リンク:駒ヶ岳ロープウェイ
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御嶽山は2014年秋の噴火以降、山頂(剣ヶ峰)への立ち入りができない状態が続いていた。しかし、夏山登山の期間中はヘルメット着用などの条件付きで規制が解除になり、いよいよ山頂に行くことができるようになった。
古くから富士山や白山に並ぶ信仰の山とされてきた御嶽山は、ライチョウが住む穏やかな自然広がる景色と、噴煙立ちのぼる地獄谷という対象的な様相を見せる独立峰だ。最高峰の剣ヶ峰は標高3067mで、その周囲を摩利支天山などの外輪山が囲み、また峰々の間をエメラルド色の山上湖が点在するという美しい景色を楽しめることでも知られる。
御岳ロープウェイを利用すると、標高2150mの7合目までの580mを約15分で上がることができる。そこから山頂までの往復は約6時間だ。日帰りで3000m峰の山の大きさを存分に味わえる。
規制解除になったとはいえ、活火山であることを忘れずに、現地の指示にしたがって慎重に行動してほしい。
★関連リンク:御岳ロープウェイ
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鹿島槍ヶ岳と唐松岳にはさまれた後立山連峰の中央に位置する五竜岳。男性的で豪傑な山容は登山者を魅了する。百名山の中でも険しい部類に入る五竜岳、山頂に立つにはいくつかのルートがあるが、唐松岳方面から来ても、鹿島槍方面から来ても、遠見尾根を登っても、いずれも厳しい登りが多い上に長時間を要する。
麓からテレキャビン(ゴンドラ)などを使うと時間と体力の節約をすることができるが、それでも通常は1泊2日以上の計画となる。エスカルプラザにある、とおみ駅からテレキャビンを利用し、さらにアルプス展望リフトに乗り換えれば、大きく標高を稼ぐことがでる。それでも、リフト降り場:大きなケルンが立つ地蔵ノ頭から登り始めても、往復で10時間以上となる。
登山道も険しいので、初心者やファミリーなら、白馬五竜高山植物園周辺を30分ほどで廻るアルプス平自然遊歩道や、往復3時間ほどの小遠見山トレッキングコースを楽しみたい。特徴的な山容の五竜岳を見ながらの登山は、十分にアルプス気分を満喫できる。
★関連リンク:白馬五竜テレキャビン
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